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UQモバイルがついにiPhone 5sを取り扱いワイモバイル追撃へ――格安スマホ市場も「iPhone」が席巻するのか石川温のスマホ業界新聞

 UQコミュニケーションズが展開する「UQ mobile」で、「iPhone 5s」の取り扱いが決定した。同じくKDDIグループのJ:COM(ジュピターテレコム)とともに、ソフトバンクのサブブランドである「Y!mobile」に対抗しようとしているのか。

 6月29日、UQモバイルが7月15日より、アップル「iPhone 5s」を取り扱うと発表した。実は6月頭ごろより、業界関係者から「UQモバイルがiPhoneを扱うようになるらしい」という情報を得ていたのだが、なかなか確証が取れずにいたのだった。6月23日にUQコミュニケーションズは説明会を開いていたり、その直前にはインタビュー取材をしていたのだが、UQ関係者の口は相当、固かった。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2016年7月2日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。

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 iPhoneとなると、当然のことながら、アップルの意向も反映されるだろうし、KDDIの意見にも耳を傾ける必要があるだろう。本来であれば6月23日に発表したかったのだろうが、そういった苦しい立場として、UQとしては発表を1週間、遅らせざるを得なかったのかもしれない。

 6月29日にUQコミュニケーションズが、iPhone 5sを販売するとお知らせを出した時、筆者は中国で開催中であったMWC上海の会場にいた。その場に、KDDIの田中孝司社長がいたので、UQのiPhone取り扱いについて質問をぶつけようと思った。

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 すると田中社長からは「え、知らない」とすっとぼけた答えが返ってきた。UQコミュニケーションズの会長であるにもかかわらず「非常勤の会長だから」と、iPhoneの発売自体を知らぬ存ぜぬという立場を貫いたのだった。

 どうやら、総務省向けには「KDDIにとって、UQコミュニケーションズはMVNOの一社として他社と同等に扱う」というスタンスでなければならないようだ。

 かつて、J:COMが、同社のストリーミングサービスはデータ通信料が無料になるという施策を発表した際、リリース当初は「KDDIの子会社であるからこそ、ネットワークの制御がしやすい」といった答えだったはずが、いつの間にか「いや、MVNOのひとつですから、そういった優遇はありません」というコメントにすり替わっていたことがあった。

 NTTドコモからネットワークを借りるMVNOにユーザーを奪われているKDDIにとって、息のかかったUQモバイルやJ:COMに頑張ってもらうためにも端末調達やネットワークで支援したいが、そうすると、総務省から刺される可能性もあることから、立場的に「UQモバイルとは深い繋がりはない」という発言になっているようだ。

 UQモバイルでiPhone 5sを扱い始めたということは、場合によっては、J:COMでも販売する可能性があるだろう。

 今後は、iPhone 5sを中心とした「ワイモバイル」vs「UQ&J:COM」というキャリアサブブランド競争が加速していきそうだ。

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