iPhone 7/7 Plusを1週間使って感じた「進化」と「不満」:石野純也のMobile Eye(9月12日~23日)(3/3 ページ)
過去最高の予約数を記録し、順調な船出となった「iPhone 7」と「iPhone 7 Plus」。防水やFeliCaに対応したことも、日本市場での人気に拍車を掛けたようだ。そのiPhone 7/7 Plusを1週間ほど使ってみて分かったことをレポートしたい。
日本での決定打になりそうな防水・防塵とFeliCaへの対応
一部は賛否両論ありそうだが、全体として見れば、機能は順当に進化しているiPhone 7と7 Plus。とはいえ、こうした違いは、新しいiPhoneを使っていればいるほど、感じにくい部分かもしれない。例えばカメラも確かにキレイになり、比較すれば違いは分かるが、iPhone 6で決定的に不満があったかといえば、そうでもない。感動を覚える一定の閾(しきい)値は、既に過去のiPhoneで超えてしまっているのだ。
こうした機能以上にインパクトがあったのが、防水(耐水)・防塵への対応だ。この仕様は特別日本向けというわけではないが、日本市場でこそ、セールスに大きな影響を与えると予想している。実際、iPhoneのライバルを見ると、プレミアムモデルでは防水対応が一般的になりつつある。防水・防塵は、もともと日本市場で人気のあった仕様で、フィーチャーフォン時代は、シーズンのテーマとして大半の端末を防水にしたキャリアもあった。スマートフォンになってもその流れは受け継がれ、日本メーカーはこぞって防水に対応した。
グローバルでは、日本発のソニーモバイルがまず防水をアピールし始め、トップシェアのサムスン電子がここに追随し、一般化した流れがある。サムスン電子は「GALAXY S5」で防水に対応したものの、フルモデルチェンジを行った「Galaxy S6」「Galaxy S6 edge」でこれを撤廃したが、ユーザーからの不満を受け、「Galaxy S7」「Galaxy S7 edge」で復活させているほどだ。
日本でも売れ行きを左右する仕様といわれており、スマートフォンのシェアで半数近くを占めるiPhoneがここに対応したインパクトは決して小さくない。セールス面での期待ができる以上に、ユーザーとしては、利用シーンが広がることが歓迎されそうだ。これまでiPhoneを持ち込めなかった、または持ち込むのがためらわれたお風呂やキッチンでも利用できるようになり、“肌身離さず持ち運ぶ”という表現がより適切になっている。高額な製品だけに、急な雨に降られたときの心配がないのも、うれしいポイントといえる。
さらにインパクトが大きかったのが、FeliCaへの対応だ。iPhone 7/7 PlusではApple Payの通信にFeliCa方式が使えるようになり、チャージ型の電子マネーではSuicaが、クレジットカードではiD、QUICPayがそれぞれサービスを開始する。フィーチャーフォンやAndroidのおサイフケータイと比べると対応サービスが少ないのは残念だが、一方で、Apple Payならではの利便性もあり、少なくとも話を聞く限りでは、利用のハードルが低くなっている。
例えば、Suicaであれば、カードをタッチするだけで情報を取り込むことができ、標準のマップアプリとも連携。目的地まで行く場合に残高が足りないときに通知してくれるなど、インテリジェントな機能も加わっている。チャージもApple PayでiDやQUICPayを使って行えるという。
おサイフケータイのモバイルSuicaは、カードのSuicaとは別に発行しなければならず、JR東日本グループのビューカードでないと年会費もかかってしまっていた。アプリのユーザーインタフェースも、フィーチャーフォン時代のものを引きずっている。こうした障壁を取り除き、スマートフォン時代にふさわしいSuicaに再設計したというのが、Apple Payで使えるSuicaといえるだろう。
とはいえ、FeliCa版Apple Payのサービスインは、10月下旬となっており、筆者もまだ取材で話を聞いただけで、実際の利用はできていない。どこまでスムーズに使えるのかの判断は、ここでは保留としておく。それでも、長年おサイフケータイを愛用してきた1人である筆者にとって、これはうれしい機能進化であることは間違いない。
日本で人気の防水に対応し、根強い愛用者がいるFeliCaもApple Payと融合する形で利用できるようになった。もちろん、カメラやスピーカー、パフォーマンスなど、スマートフォンで重視される部分もしっかり性能は向上している。デザイン面での変化の少なさもあり新鮮味が感じられないところはあるものの、iPhone 7/7 Plusはより“隙がなくなったiPhone”だといえる。
iPhone 7 Plusの使い勝手には不満が残る
ただし、5.5型のiPhone 7 Plusに関しては、そのサイズゆえに、どうしても使いづらい印象があり、今回もその印象は払しょくできなかった。デザインの観点では、やはり他の大画面スマートフォンに比べ、ベゼルが太く、ホームボタン周りのスペースも広いため、片手で持ったとき、画面の上部に指が届きづらい。そもそも、その原点ともいえるiPhone 6 Plusは、Appleが初めて大画面スマートフォンに挑戦した機種で、まだ試行錯誤の様子もうかがえた。
そこから3世代目にあたるiPhone 7 Plusで、持ちやすさなどに、大きなアップデートがないのは残念な部分だ。その間、競合他社は大画面での持ちやすさを追求し、毎年、メーカーによっては半年に1回、さまざまな工夫を盛り込んでいる。ソフトウェアにしてもそうで、例えば、画面上部左からアイコンが自動整列される機能は、いまだにそのまま。iPhone 7 Plusだけは手動で下にアイコンを並べられるなど、iPhone 7との違いを出してもよかったはずだ。
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