もはや「格安スマホ」にあらず――ハイエンドのSIMフリースマホが増えている理由:石野純也のMobile Eye(9月26日~10月7日)(2/3 ページ)
従来売れ筋だったミッドレンジモデルの枠を超えたSIMロックフリースマートフォンが、秋冬モデルとして続々と登場している。特にHuawei、ASUS、FREETELがハイエンド端末を投入している。MVNOのユーザー層が徐々に変化していることと関係がありそうだ。
MVNOの販売スタイルも多様化し、高くても買いやすい環境が整う
ただし、端末の“素の価格”が見えやすいSIMロックフリー端末は、大手キャリアの“実質価格”と比べると、どうしても割高に見えやすい。大手キャリアで一般的な割賦販売が定着しておらず、イニシャルコストの負担が重くなりがちなことも、ユーザーがハイエンド端末に二の足を踏みやすい要因といえるだろう。
一方で、こうした環境も、徐々に変わりつつある。割賦販売の提供を開始するMVNOが増えつつある上に、通信料と端末代がセットになった販売方法が採用されるケースも出てきた。例え、先に挙げたhonor 8をMVNOとして独占販売する楽天モバイルは、SIMロックフリースマートフォン、通信料に加え、「5分かけ放題オプション」をパッケージ化した、「コミコミプラン」を導入している。
コミコミプランは、現状ではローエンドからミッドレンジモデルまでが対象で、P9やhonor 8のようなハイエンドモデルは含まれていないが、端末の種類は徐々に広がっており、9月下旬にはASUSの「ZenFone 2 Laser」や、シャープの「AQUOS SH-RM02」がラインアップに加わっている。楽天モバイルのチーフプロダクトオフィサー、黒住吉郎氏によると、コミコミプランは「大変ご好評をいただいている」というだけに、今後はハイエンドモデルにまで拡大される可能性もありそうだ。
KIWAMI 2を発表したFREETELも、斬新な販売方法を開始した。それが「かえホーダイ」だ。かえホーダイとは、6カ月で機種変更が可能になるプログラムで、端末代と通信料、無料通話、保証サービスなどがセットで提供される。購入した端末を機種変更する場合は、プラスワン・マーケティングに利用中のものを返却しなければならないが、常に最新モデルを使い続けられるのは魅力的だ。
回収した端末は、「メーカーなのでリファービッシュして、国内外の市場で販売する」(同)予定。いわゆるリース契約に近い形だが、同様のプログラムは、Appleも米国などで展開しており、ハイエンド端末を販売する方法として注目を集めている。
かえホーダイ導入の狙いを、増田氏は「新しい機種が出たら、すぐに変えたいと思う。それは普通の消費者心理。そこに応えたいと思った」と語る。KIWAMI 2の場合、かえホーダイを使うと価格は3990円から。この最低価格には、1GBのデータ通信量や保証サービスも含まれている。より上位の料金プランを選ぶと、そのぶん料金は上がってしまうが、5GBのプランを選んでも違いは1000円ほど。仮に半年で機種変更したとしても3万円以下で済み、手軽にハイエンドモデルを試せる。
同様にau系MVNOでは、UQ mobileが「端末購入アシスト」を導入しており、大手キャリアと同じように、割引を受けながら、端末を割賦で購入できる。ASUSのZenFone 3、ZenFone 3 Deluxeは、auのVoLTEやネットワークに対応し、デュアルスタンバイで2回線同時待受けが可能だが、このモデルも発売と同時に、UQ mobileに採用された。ZenFone 3は2年利用時の実質価格が2万4000円(ぴったりプラン)か1万2000円(たっぷりオプション)。よりハイエンドなZenFone 3 Deluxeでも、実質価格が3万6000円(ぴったりプラン)か2万4000円(たっぷりオプション)となり、単体で端末を購入するより、コストを抑えられる。
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