「iPhoneは強いと再認識」 榛葉副社長に聞く、ソフトバンクのモバイル戦略(2/3 ページ)
iPhone 3GからiPhoneを扱ってきたソフトバンクでは、必然的に“iPhone商戦”に力が入る。2017年はiPhone 8/8 Plusの発売に合わせ、「半額サポート for iPhone」や50GBの「ウルトラギガモンスター」を発表。同社のモバイル戦略を、iPhoneを中心に榛葉淳副社長に聞いた。
1年でも2年でも新しいiPhoneに乗り換えしやすく
―― iPhone 8/8 Plusの導入に合わせて、「半額サポート for iPhone」を始めました。これは、なぜでしょうか。
榛葉氏 繰り返しになりますが、考え方としては、「あなたファースト」「ストレスフリー」をキーコンセプトにしています。ある意味当たり前のことかもしれませんが、これだけデバイスが素晴らしくなり、機能も上がり、いろいろなことができるようになった中で、もう1回、ストレスに思っていることは何なのかを調査しました。
他社には「ピタットなんとか」のようなプランがあり、それに追随しないのかとよく聞かれます。もちろん、他社は注視してはいますが、それ以上にわれわれをご支持いただく方が何を求めているのか。それを何回も議論しました。そこで、やはり挙がってくるのは、月々のご利用料金です。iPhone 8/8 PlusやiPhone Xのデバイス価格が高くなることは分かっていたので、毎月お支払いいただく価格を、なんとか知恵を絞って安くできないか。お支払い料金のストレスフリーを考えたわけです。
半額サポートは、単純に支払いの回数を倍にするので24回を48回にすれば1カ月あたりの金額は半額になります。さらに、われわれの場合には月月割もつきます。他社も追随されてきましたが、そういったものと比べても、価格的には優しくなっています。
ただ、それだけだと、単に分割の回数が増えただけになってしまいます。通常は2年で乗り換えを考える方が多い。iPhoneの老舗として、国内で独占的にやらせていただいた経験からも、やはり2年ぐらいが大きなモメンタムになることは分かっていました。そのため、2年後に「次の次のiPhone」があるときは、残りの24回の料金を私どもで負担させていただく。
お客さまからすると、契約いただいた翌月から2分の1の価格になって月月割もつき、2年後には残りの割賦の支払いが免除されることになります。実際、iPhone 8/8 Plusの発売から3週間ぐらいたちましたが、非常に好評で、狙い通りにお客さまに受け止められています。
―― 端末価格のガイドラインが改正され、2年前の同程度の端末の買取価格が実質価格の下限になりました。この影響もあったのでしょうか。
榛葉氏 ご指導はご指導として準拠しています。ただ、今回は、それよりもどうやったら月々のお支払い金額が安くなるかを工夫しました。お客さまへの見え方や、ショップの運営が複雑になる形は避けるべきだと思い、月月割も今までと同じように適用しています。
メンバーにお願いしていたのは、資料がなくても、耳で聞けば理解できる仕上げにしないといけないということです。割賦を48回にすると、取りあえず毎月の支払いは2分の1になるので、2年後に新しいiPhoneに機種変更するかどうかご判断いただければいいような形にしました。
―― 確かに、利用しないならしないで残りを払うだけなので、ユーザーが損をするわけではないですね。判断を先送りにするだけなので、取りあえず入っておいてもよさそうです。
榛葉氏 応用編として、1年での機種変更も作りましたが、あれも単純です。さすがにあと36カ月分の負担はできないので、そこは後12カ月分をお支払いいただければ、残りはソフトバンクが負担するという形にしました。まずお申し込みいただき、1年後にどうしても機種変更したというときはそこでしてもいいですし、2年後でもいい。お申し込みいただくときに、1年にするか、2年にするかの判断をしなくてもいいということです。
50GBに正比例して値段が上がったら意味がない
―― 一方で、同じキャリアでないと当然利用できないので、さらにキャリア間の流動性は低くなりそうな気がします。
榛葉氏 このプログラムを違う視点で見ると確かにそうなりますが、(ソフトバンクの考えは)月々のご負担を軽減したいというところにあります。囲い込みというより、とにかく最新のiPhoneを、より軽い負担で使っていただきたいという考えです。
―― 各社がアップグレードプログラムを入れると、MNPが減りそうですが、実際はいかがでしょうか。
榛葉氏 数字は発表できませんが、新規のご指名が多く、好調です。総販は機種変更と新規の合計ですが、新規だけを見ても満足できる水準で、思いが伝わったと感じています。既存ユーザーだけでなく、今回のプログラムがいいと思い、4人で申し込んでくださるような方もいます。
―― そこは家族割が効いているのでしょうか。この流れで、ウルトラギガモンスターについての導入経緯を教えてください。
榛葉氏 毎月、月末になると容量の心配をされる方がいます。それを受け、ちょうど1年前にギガモンスターを発表しました。当時も、そんなに必要ないのではないかという声はありましたが、1年たって分かったポイントが2つあります。
1つは、(ギガモンスター契約者の)28%の方が上限に達したことがあります。一気にそのレベルまで来てしまいました。2つ目は、申し込んでいただいた方のアベレージを見ても、過去1年の倍ぐらいはご利用になっているということです。いかに、今まで我慢して使われていたかということだと思います。
そこで今回は一気に50GBにしました。単純計算ですが、動画であれば200数十時間、30日で割ると、1日あたり7時間程度になり、それを元に、発表会では「実質無制限」とお話ししました。せっかくiPhoneを使っていただき、いろいろと見たいものがあるのであれば、Wi-Fi環境がなくても見ていただきたい。僕の顔色を見ていただければ分かると思いますが、これも驚くほどのご支持をいただけました。
もう1つ重要なのが、50GBを作って値段がそれに正比例していたら、意味がないということです。今回は30GBで8000円(税別、以下同)だったところを、20GB増やして50GBで7000円にしました。容量が増え、1000円ディスカウントしているのです。また、今回は家族でのお申込みが増えています。1人増やして夫婦やお子さんと一緒に申し込めば、(みんな家族割で1人あたり)5500円になる。4人だと5000円になるので、料金は5GBと同じです。大盤振る舞いという声もいただいていますが、50GBという単位で価格もそれぐらいにしないとご満足いただけないということです。
ファミリーの定義も、日本の場合、血縁や戸籍になろうかと思いますが、今回は同じ住所でいいことにしました(ソフトバンクは以前から同一住所を家族と定義している)。典型的な例では、ご結婚する前に一緒に住まれていて、厳密にいうと籍は入っていないが一緒に生活しているという人で、これはもう家族と見なします。他にも、スポーツの世界や芸能の世界で、寝食を共にして一緒に住んでいる方。シェアハウスで一緒に住まれている方もそうです。ただし、何らかの基準がないといけないので、住所で切らせていただきました。ご家族で入っていただければ、末永く使っていただけます。
関連キーワード
iPhone 8 Plus | ソフトバンク | iPhone 8 | iPhone X | Xperia XZ1 | MVNO | 格安SIMカード
関連記事
新iPhone発売で攻めるソフトバンク 「料金」「通信容量」「速度」で差別化を
新iPhone発売に合わせて、ソフトバンクが攻めの施策を打ってきた。「毎月の通信料金が高い」「速度制限が気になる」「サポートが心配」というユーザーの不満解消を目指す。混雑時の低速化を抑える取り組みも強化する。48回払いで新iPhoneが最大半額に ソフトバンクの「半額サポート for iPhone」
ソフトバンクが9月22日に「半額サポート for iPhone」を提供する。iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone Xが対象。48回払いにすることで、iPhoneの実質価格が最大半額になる。ソフトバンク、月額7000円で50GBの「ウルトラギガモンスター」を提供 家族割引も
ソフトバンクが、月額7000円で50GBまで通信できる「ウルトラギガモンスター」を提供する。従来のデータ定額 30GBより1000円安い。家族で入ると月額料金を割り引く施策も行う。ソフトバンクは新iPhoneで「ウルトラギガモンスター」をアピール
ソフトバンクは、ソフトバンク銀座にて「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「Apple Watch Series 3」の発売セレモニーを開催。宮内謙社長が、ソフトバンクの料金プランや買い替えプログラム、家族割をアピールした。また、上戸彩さんと古田新太さんが駆け付けてセレモニーを盛り上げた。ソフトバンクが冬春モデルを発表 「Xperia XZ1」や「AQUOS R compact」など4機種
ソフトバンクが2017~18年冬春モデルを発表。ラインアップは「Xperia XZ1」「AQUOS R compact」「MediaPad M3 Lite s」「DIGNOケータイ2」の4機種。「AQUOS R」の新色も追加する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.