急成長してきた格安スマホ市場に急ブレーキ?――NTTドコモの年間純増数計画が、昨年の3分の1までに減少:石川温のスマホ業界新聞
NTTドコモが2017年度第2四半期決算会見を発表した。この決算において、携帯電話回線の純増計画が年初から下方修正されたことは、隠れた重要ポイントでもある。
これまで急成長を続けていたように見える格安スマホ市場だが、もしかすると急ブレーキが掛かり始めているのかもしれない。
10月26日、NTTドコモは決算会見を実施。そのなかで、記者から「新規契約者数が予想よりも少ないが」という質問が飛んだ。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年10月28日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
決算データを見ると、年度計画は220万件の純増予想だったが、今期予想では130万に下方修正されている。
昨年の実績が391万だったことを考えると、3分の1にまで減ろうしている。
吉澤和弘社長は「去年と比べてモジュール、スマートメーターの数が今年度、落ち着いてきた。そこの数が大きな影響。また、MVNOが少し減ってきており、想定よりも落ちた」と語った。
「想定よりも落ちた」ということは、NTTドコモとしてももう少し格安スマホの勢いが伸びるかと思っていたようだが、意外にも失速し始めているのだろう。
当然、考えられるのが、キャリア勢による新料金プランの投入だ。NTTドコモ「シンプルプラン」、KDDI「ピタットプラン」によって、キャリアからMVNOヘの流出が止まっている可能性が充分に高い。
その傾向は、吉澤社長のもう一つのコメントからも浮き彫りとなってくる。KDDI「ピタットプラン」の影響を聞かれた吉澤社長は「ピタットプランに向けて、MNPでポートアウトしているという顕著な動きはない。(先日、200万契約突破という話があったが)契約変更、プラン変更がかなり動いているのではないか」という。
確かに、ピタットプランは開始当初こそ、新規契約が意外と獲れていると言う話であったが、最近は契約変更の比率が上がっているという話をする人もいるくらいだ。つまり、auユーザーの格安スマホへの流出がピタットプランにより、止まっていることが予想されるなど、格安スマホに対しての風向きが変わりつつあるのは事実のようだ。
せっかくなので、吉澤社長には「先日、楽天がフリーテルを買収したが、どのように思うか」と聞いてみた。すると、「私どもはコメントする立場にはないが、一般的な話として、MVNOも特長が必要ではないか。MVNOの中での違い、個性的なものでなければならない。MVNOのなかでも料金の立て方などで、どういう特長を出せるかが重要と言える」と語った。
ただ、フリーテルはゼロレーティングや端末販売方法など特長を出し過ぎて、結局、ドボンとなってしまったのは、相当、皮肉なことだと言えよう。
もうひとつ、吉澤社長に聞きたかったのが、「万が一、MVNOが破綻し、誰も買収しなかったときにはNTTドコモがユーザーを救済するのか」という確認だ。その点については、
「そういった傾向があった場合、スタンスとしては、ドコモの回線を使っているMVNOは、私どもと提携していると思っている。
回線を提供するのはウェルカム。ドコモも組んでソリューションを提供するのはやぶさかではない。そういう組み方、そういう連携はできる。そういった方向であれば、それにたいして、否定的なものはない」
具体的に明言はしていないが、最終的にはMVNOが破綻して救済するところがなくなった場合は、路頭に迷うユーザーをNTTドコモが救済してくれることになりそうだ。
かつては、インフォニックスがau網のMVNOとして「Tigersケータイ」などを手がけていたが、経営破綻して、結局、KDDIがユーザーとサービスを引き取ったことがある。
今回は、楽天がフリーテルを買収したが、将来的には「格安スマホと契約したが、いつの間にかキャリアと契約していた」ということになってもおかしくなさそうだ。
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