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「株式上場」「LINEモバイル提携」――ソフトバンクのこれから

株式の上場を検討し始めたソフトバンク。最近ではLINEモバイルとの提携(子会社化)も打ち出した同社は、どうなっていくのだろうか。

 ソフトバンクグループは2月7日、2017年度第3四半期の連結決算を公表した。また同社は同日、国内通信事業を手がける子会社「ソフトバンク」について、株式上場に向けた準備を開始したことも発表した。

 ソフトバンクといえば、LINE子会社のMVNO「LINEモバイル」の株式の過半を2018年3月末までに取得する戦略的提携を発表したしたばかり。

 この記事では、同決算説明会におけるソフトバンクに関する言及を簡単にまとめる。

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ソフトバンクグループの孫正義社長

ソフトバンクグループの宮内謙副社長(ソフトバンク社長を兼任)

上場で「顧客基盤の拡大」「新規事業の創出」を狙う

 孫社長は、20年以上前から「群戦略」という考え方を持っていたという。

 投資対象分野の有力企業に20~35%出資し、緩やかなグループを形成して「300年以上成長し続ける純粋持株会社」(孫社長)を目指す――これが群戦略だ。

以前から「群戦略」を描いていたという孫社長。1999年に行われたセミナーの動画を披露しつつ現在の戦略との連続性をアピールしていた

 20~35%という出資比率は、「オペレーティングカンパニー(事業会社)は独立自尊した存在であるべき」という孫社長の考え方に由来している。ソフトバンクの上場検討は、「純粋持株会社」としてのソフトバンクグループとの“役割分担”はもちろんだが、孫社長の「群戦略」という考え方を貫く(実践する)ための方策の1つとも言える。


上場後は「国内通信事業者としてのソフトバンクに投資したい」という投資家ニーズにも応えられると説明

 ソフトバンクは今後、「Beyond Carrier(通信事業者のその先)」を目指して「顧客基盤の拡大」と「新規事業の創出」に注力するという。

 前者については、ソフトバンクブランドにおける「ウルトラギガモンスター」「SUPER FRIDAY」といった施策、Y!mobileブランドへの投資はもちろん、先述のLINEモバイルとの提携も含まれている。

 後者については、国内企業やグループ内投資ファンド「SoftBank Vision Fund」の出資先企業などと合弁事業を立ち上げるなどして新しいビジネスを創出していく。


上場に向けて「顧客基盤の拡大」と「新規事業の創出」に注力

LINEモバイルはソフトバンクの「第3のブランド」に?

 説明会の質疑応答で、ソフトバンク(国内通信事業)に関連したやりとりは以下の通り。

―― ソフトバンクを上場した場合の経営体制について伺いたい。というのも、宮内副社長(68歳)は孫社長(60歳)より8つ年上なので……。

孫社長 引き続き、宮内(副社長)が社長、私が会長ということで考えている。より自律的かつ機動的な成長のため、権限の移譲は進める。既に、ここ1~2年は宮内が中心に(ソフトバンクの事業を)成長させている。

 私も宮内も“永遠”ではないので、これから後継者を育成できる体制を準備していくことになる。

 上場に当たってのリーダーとなる社長は宮内で行きたい。“指名打者”ということで(笑)。

―― LINEモバイルに対する(ソフトバンクの)出資比率が51%になるということは、傘下に収める(=子会社化する)ことになる。既に社内にY!mobileという(割安料金の)ブランドを持っている中、今後LINEモバイルをどうしていくのか、考えを聞かせてほしい。

宮内副社長 (現時点でLINEモバイルを保有する)LINEは、日常使う「LINE」というアプリを持っている。

 LINEからすると「(アプリやサービスの)ユーザーをもっと増やしたい」と思っている。一方で我々は(国内では)独占的にやっている「Android One」のような性能が良くて安価な端末を提供することができる。マーケティング面など、(LINEと)一緒にやっていけるのではないかと考えている。

 3年ほど前に「Y!mobileにソフトバンク(ブランド)が食われてしまうのでは?」という質問をたくさん受けたように記憶しているが、実際はソフトバンクもY!mobileもしっかりとポジショニング(位置付け)ができた、

 ユーザー(契約者)にはいろいろな人がいる。そういう意味では、(LINEモバイルで)3つ目のポジショニングができるのではないかと考えている。


LINEモバイルとの提携において、ソフトバンクは端末調達やマーケティングに協力するという

―― 楽天の移動体通信事業参入表明をどう思うか。

孫社長 「情報革命」にはいろいろなプレーヤーが市場で役割を果たすことが重要。そういう意味では、楽天も情報革命を牽引する立派な“革命家”だ。楽天なりの新しい切り口で新規参入が実現すれば、業界をそれなりに刺激することになるだろう。

 我々も、インターネット業界から出てきた(移動体通信事業に参入した)者として、切磋琢磨(せっさたくま)しながら業界を革新していきたい。

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