ソフトバンクの5G戦略を読み解く エリアが“超限定的”なのはなぜ?:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
ソフトバンクは3月27日に「SoftBank 5G」のサービスをスタートさせる。しかし開始当初のエリアや夏以降に拡大するエリアは、お世辞にも広いとはいえない。むしろ東京23区ですら、超限定的な“5Gスポット”でしかない印象を受ける。
料金プランは4Gから据え置き、理由は初期のエリア展開
ただし、発表された端末は4機種ともスマートフォン。モバイルWi-Fiルーターや「SoftBank Air」のサービスに利用できそうなCPEも、サービス開始時のラインアップには含まれていない。5Gには、FWA(Fixed Wireless Access)という、固定回線を代替する用途もあり、先行する米国では、Verizonなどがこうしたサービスを打ち出している。FWAのコンセプトは、まさにSoftBank Airそのものともいえそうなだけに、ラインアップがスマートフォンだけなのには、意外感もあった。
菅野氏は、「現状を踏まえると、(今のラインアップが)最適解だと考えている」としながら、その理由が5Gのエリアにあることを示唆する。同様の理由で、料金プランも4Gから据え置きになった。5Gのサービス開始に先駆け、ソフトバンクは「ウルトラギガモンスター+」を「メリハリプラン」に改定。「ミニモンスター」も、「ミニフィットプラン」へと名称や内容を微修正している。榛葉氏によると、唐突に思えたプラン改定は、「5Gのサービスインを考え、事前に発表した」ものだったという。
この新料金プランに、1000円追加することで5Gのネットワークが利用可能になる。ただし、2年間はキャンペーンとして1000円が無料になるため、事実上、金額等は4Gと同じになる。榛葉氏は、「(有料でのサービスは)ほとんどの皆さんが享受できるようになったときに始めるべきである。5Gは段階的に広がっていくため、1000円相当はキャンペーンとして2年間無料にさせていただいた」と理由を語る。一言で言えば、まだユーザーからお金をもらえるエリアになっていないということだ。
結果として5Gでの導入が確実視されていたデータ通信無制限の料金プランも、先送りにされた格好だ。5Gのエリアが限定的であれば、ユーザーが接続するネットワークは大半が4Gになる。サービス開始当初は、ネットワークの総容量はほぼ変わらないというわけだ。榛葉氏が「お客さまの声や5Gのインフラの整備状況を見ながら検討し、しかるべきタイミングがきたらご報告したい」と述べていた通り、使い放題の料金プランを投入するのは、5Gのエリアが拡大したタイミングになる可能性が高い。
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