ドコモのパケ詰まりでIIJに「苦情」も/IIJmioは純減も「7月以降は回復している」
インターネットイニシアティブ(IIJ)の2023年度第1四半期の業績は増収減益となった。モバイル事業のうち法人向けサービスは好調だが、個人向け「IIJmio」は昨対比で減収、対四半期比で純減となった。ドコモのネットワーク品質低下の影響も出ているという。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が8月8日、2023年度第1四半期の決算を発表した。売り上げは614億2000万円(昨対比+5.6%)、営業利益は50億円(昨対比-0.5%)の増収減益となった。減益となった要因について勝栄二郎社長は「ウズベキスタン(ウズベクテレコム)向けのコンテナデータセンターの事業が期ずれしたこと」を挙げ、「内部的な手続きの承認の問題が長引いていた」ためとしている。
法人とモバイルを含むネットワークサービスの売り上げは昨対比で25億5000万増加しており、「昨年よりも順調に伸びている」と渡井昭久CFOは振り返る。モバイル単体の売り上げも昨対比で5.7%増加している。モバイル事業について、2022年度第1四半期は2.1%のマイナスだったが、これは「旧プランから新プランへの移行に伴う減収があったため」(渡井氏)。今期は新プランへの移行も落ち着き、増収となった。
IIJmioは純減も「7月以降は回復」 OCN モバイル ONEからの移行も
モバイルの内訳も見ていく。法人向けが売り上げは31億5000万円(昨対比+5.1億円)、回線数は195.1万(前四半期比+14万1000)と好調。GPSトラッカー案件の追加発注があったこと、訪日外国人増加に伴うSIMの提供が増えたことがその要因だ。
一方で個人向けの「IIJmio」は、売り上げ51億7000万円(昨対比-1億4000万)、回線数は120万3000(前四半期比-3000)と足踏みした。その要因について勝氏は「キャンペーンを控えていたこともあり、流動性が低下した」と話すが、「7月以降は回復している」とのこと。渡井氏は「年度単位で見ると、旧プランから新プランへの移行によるARPU減少は継続している」「端末販売のボリュームが低下している」ことも補足した。
6月には楽天モバイルが「Rakuten最強プラン」、UQ mobileが「コミコミプラン」「トクトクプラン」などの新料金プランを提供開始した。7月にはドコモが「irumo」を提供する一方で、「OCN モバイル ONE」は新規受付を停止するなど、通信サービスでの動きが続いている。これらの影響もありそうだが、勝氏は、OCN モバイル ONEが新規受付を停止した7月以降、「(OCNから)多少、IIJmioに移っている傾向にある」と話す。
ドコモのネットワーク品質低下はIIJmioにも影響あり
2023年前半から、都市部の一部地域でドコモのネットワーク品質が低下している、いわゆる「パケ詰まり」が起きている。現在は改善が進んでいるが、IIJmioのドコモ回線(タイプD)にも影響があったのだろうか。聞いてみたところ、「第1四半期に、そういう質の低下の苦情は寄せられるようになった」と勝氏は話す。「ドコモには伝えているが、残念なのは、そういうこと(ネットワーク品質の低下について)をドコモは発表したが、その前に連絡がなかった」と同社の対応に疑問を呈した。
KDDIがNTTグループと並んで筆頭株主に
2023年5月18日に、IIJはKDDIと資本業務提携契約を締結し、KDDIがNTTグループからIIJの発行済み株式の10%を買い付けたことで、NTTグループとKDDIは同率でIIJの筆頭株主になる。その影響について勝氏は「今までNTTを優遇していたわけではないが、(KDDIとは)新しいクラウドのサービスを開発するなど、いろいろな協業も考えられる」と話す。
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