Pixelが国内でシェア急増も「8/8 Pro」は大幅値上げ 競合からは“包囲網”も:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
Googleは、Pixelシリーズの最新モデル「Pixel 8」「Pixel 8 Pro」を10月12日に発売する。日本市場参入当初はパイが小さかったPixelだが、廉価モデルのaシリーズを含めたコストパフォーマンスの高さやAI関連機能が評価された結果、シェアを急速に高めている。一方、円安の影響でPixel 8/8 Proは価格が高騰。競合メーカーの製品作りにも影響を与えている。
Pixelの影響を受けるAndroidの競合、対抗モデルで包囲網を引く
急速にシェアを伸ばすPixelだが、この市場の変化は、他のメーカーのモノ作りにも影響を与えている。AQOUSシリーズを開発するシャープも例外ではない。同社の通信事業本部で本部長を務める小林繁氏は、「プラットフォーマー自身が提供する商品(Pixel)が出てきて、Android(の市場に)地殻変動が起きてきた。否応なくその影響を受けるので、商品の作り方や考え方を多少シフトしなければならない」と語る。
シャープのAQUOS senseは、ほどよい価格とスペックのバランスが受け、累計1000万台以上を日本で販売してきたが、価格帯がPixelのaシリーズと近く、影響を受けていることが伺える。小林氏も「最初の商品を作ったときはフラグシップから機能を移植し、コストを合わせていくモノ作りだったが、昨今はそこがまったく変わって激戦区になっている」と話す。
10月3日に発表した「AQUOS sense8」にも、対Pixelを意識した跡が見え隠れする。同モデルの市場想定価格は5万円台後半で、Pixel 7aより若干安いだけなく、5000mAhの大容量バッテリーを搭載。カメラのセンサーも1/1.55型と、ミッドレンジモデルの中では大型だ。さらに、RAW合成によるHDRや、被写体を分析してパーツごとにかるノイズリダクションなど、画像処理の性能が向上。6.1型のディスプレイは1Hzから90Hzの間でリフレッシュレートが可変するなど、Pixel 7aにない機能までふんだんに盛り込まれている。
ソニーも、Xperia 5シリーズのコンセプトを大きく変え、若年層への訴求を強化している。10月に発売する「Xperia 5 V」は、「Xperia 1 V」で好評だった2層トランジスタ画素積層型CMOSセンサーの「Exmor T for mobile」を受け継いだ一方で、従来搭載していた望遠カメラの採用を見送った。素材を選んでいくだけで簡単に動画のクリップが作れる「Video Creator」アプリを内蔵するなど、これまでのXperiaよりターゲット層を広げているのもこのモデルの特徴だ。
価格は、ソニー直販のSIMフリーモデル(オープンマーケット版)が13万9700円。Xperia 5 Vのコンセプト変更はiPhone対抗の色合いも濃いが、価格帯が近いことに加え、手になじむサイズ感や、処理能力の高さなど、Pixel 8と競合する点も少なくない。シャープも、2023年にAQUOS Rシリーズを2つに分け、スタンダードモデルに位置付け直した「AQUOS R8」は価格を13万円台に抑えた。ハイエンドモデルが機能をふんだんに盛り込み、20万円前後に高騰する中、各社とも、より手ごろなモデルを増やしている。ミッドレンジとハイエンドの双方でPixel包囲網が徐々に広がりつつあるといえそうだ。
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