LINEMO新料金プランは“楽天モバイル対抗”を強く意識 ただし経済圏やLINE連携には課題も:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
ソフトバンクは、オンライン専用ブランド「LINEMO」の料金プランを7月下旬に刷新し、「LINEMOベストプラン」「LINEMOベストプランV」を開始する。LINEMOをテコ入れし、他のブランドと差別化する狙いがある。同時に、楽天モバイル対抗も強く意識した料金体系に仕上げてきた。
ソフトバンクは、オンライン専用ブランド「LINEMO」の料金プランを7月下旬に刷新し、「LINEMOベストプラン」「LINEMOベストプランV」を開始する。“2択”の料金体系はそのままに、段階制の仕組みを導入することでユーザーごとに異なるデータ使用量に対応する構えだ。料金プランのスタート自体は7月下旬だが、6月14日には先行キャンペーンも開始。現行のミニプランに7GBを上乗せすることで、データ容量をLINEMOベストプランの上限と同じ10GBに引き上げる。
LINEモバイルを引き継ぐ形で登場したLINEMOは、料金の安さやLINEとの連携を売りにしてきた。一方で、新規契約者数の獲得では、メインブランドのソフトバンクやサブブランドのY!mobileの後塵を拝していたのも事実だ。LINEMOベストプランは、そのLINEMOをテコ入れし、他のブランドと差別化する狙いがある。同時に、楽天モバイル対抗も強く意識した料金体系に仕上げてきた。ここでは、その料金の仕組みやソフトバンクの狙いを読み解いていく。
2つの段階制料金プランを導入し、10GB以下の低容量を強化
LINEMOベストプラン、ベストプランVは、ともに段階制の料金プラン。料金は2段階で変動する形で、前者は3GBまでが990円(税込み、以下同)、それを超えると2090円に料金が上がり、10GBを超えると通信速度が300kbpsに制限される。LINEMOベストプランVは、20GBまでが2970円で、超えた時の料金は990円上がって3960円になる。こちらも30GBを超えると制限があり、通信速度は1Mbpsに低下。Y!mobileなどと同様、公正性のための2段階制限も用意されており、LINEMOベストプランは15GB、LINEMOベストプランVは45GBを超えるといずれも速度は128kbpsまで下がる仕組みだ。
LINEMOベストプランは現行のミニプラン、LINEMOベストプランはスマホプランを置き換えた料金プランで、下限のデータ容量は変わっていない。これらに2段階目が加わり、2つのプランで4つの容量をカバーできるようになった格好だ。ただし、LINEMOベストプランVに関しては5分間の音声定額がセットになり、料金そのものは上がっている。スマホプランに5分の音声定額をつけるより安いため、人によっては値下げになる一方で、音声定額が不要な人には値上げになる点には注意が必要だ。
LINEのデータ通信を通信量の計算から除外する「LINEギガフリー」や、「LINE MUSIC」を6カ月間無料にするサービスなどは継続する。ただし、スマホプランの特典として用意されていた「LINEスタンプ プレミアム for LINEMO」は、どちらの料金プランにもつかない。これは、LINEの有料スタンプが使い放題になるサービス。別途契約することは可能だが、スタンプ目当てでスマホプランを契約していた人は考慮しておきたいポイントといえる。
ソフトバンクが主力と考えているのは、990円から2090円に変動するLINEMOベストプランだ。現状のLINEMOは、「ミニプランの方が多く売れている」(ソフトバンク 専務執行役員 コンシューマ事業推進統括 寺尾洋幸氏)。市場全体でも、「10GB以下の方は、全体の4分の3」(同)と数が多い。「この辺を狙うと、市場的にはLINEMOベストプランの方が多くなる」(同)という。もともとLINEMOは20GBプランでスタートしたが、より低容量のユーザーにターゲットをシフトした格好だ。
小容量であれば現行のミニプランでフォローできそうだが、データ通信のトラフィックは年々増加しており、容量が足りないユーザーも増えてきた。寺尾氏によると、2024年4月時点で実に34%のユーザーがデータ容量を超過しているという。こうしたユーザーが増えると、「ご満足いただけていないので、解約率が高くなる」(同)。新規契約の獲得だけでなく、解約抑止の観点でも現状の3GBよりデータ容量が多い料金プランを導入することが必要だったというわけだ。
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