SIMフリー市場にも“復活”のFCNT arrows We2/We2 Plusの反響、ハイエンド機やらくらくスマートフォンの今後を聞く(2/3 ページ)
FCNTがレノボ傘下の新体制の元で送り出す第1弾のスマホが、「arrows We2」「arrows We2 Plus」の2機種だ。同時に、オープンマーケット(SIMフリーマーケット)にも再参入を果たした。復活したばかりの同社が、なぜこの市場の開拓に取り組んでいくのかを聞いた。
arrows We2もarrows We2 Plusも相当踏み込んだ納入価格に
―― オープンマーケットはコストパフォーマンスが重視される傾向も強いと思います。今回の商品は2機種とも、そういった部分も考慮された価格設定になっていると思いますが、ここにはレノボグループの力も生かされているのでしょうか。
外谷氏 レノボグループの傘下になって使えるリソースやアセットはふんだんに使おうということで、すぐに取り掛かれる購買関連などは既にレノボの力を使っています。全ての部品ではありませんが、既にコストメリットは出ています。ベースの部分でのコストカットは、今までよりも強化されています。
販売価格という面だと私からからコメントするのが難しいのですが、納入価格については非常に頑張りました。arrows We2もarrows We2 Plusも、私の感覚では相当踏み込んだ納入価格になっています。そこからは、販売事業者のお考えで、それぞれがベストな販売方法で販売しています。そのような調達価格を踏まえて、よりユーザーに還元していこうと踏み込んでいただけたのが、IIJさんであり、楽天モバイルさんでした。発表会で価格を見たときには、私自身も驚きました。
―― 購買というところでいうと、arrows We2のチップセットがモトローラの「moto g64 5G」と同じMediaTekの「Dimensity 7025」です。この型番のチップを採用したメーカーはほとんどないと思いますが、やはりここも共同で調達しているのでしょうか。
外谷氏 そこがまさに調達のところで、私どもはこれまでMediaTekさんのチップをまったく使ってきませんでした。それが使えるようになったのは、モトローラで使っているからというところがあります。おっしゃるように、Dimensity 7025はわれわれのために、MediaTekとモトローラ、FCNTの3社でチューニングして作っています。われわれだけに提供する決まりではありませんが、この瞬間として採用している端末はわれわれだけになっています。
Dimensity 7025は、「Dimensity 7020」をベースに、クロック周波数などをチューニングしています。提供したい体験価値に合わせて、パフォーマンスをチューニングしたとご理解いただければと思います。これまで使っていたクアルコムともそういう話をしてこなかったわけではありませんが、これもレノボグループに入ったことによるシナジー効果だと思っています。
ユーザーからの指摘にはソフトウェア更新で改善できないかを検討中
―― 先ほど反響を問いたかったというお話がありましたが、実際に発売してみていかがでしたか。
外谷氏 メディアの方々に好意的に書いていただけたこともあり、忖度(そんたく)抜きで伝えたいメッセージが広がったと感じています。今はガジェッターの方が中心ですが、ユーザーに届いている感覚は以前より大きいと感じています。発売前からですが、特にarrows We2 Plusは評判がよく、購入後のレビューやコメントも追っていますが、立ち上がりとしてはよかったという判断です。本当にやってよかったというのが正直なところですね。
一方で、厳しいお声や、「確かに」と思う指摘もあります。この1、2週間、いろいろな声を見てきましたが、そういった声は開発にフィードバックして、ソフトウェア更新で改善できることがないかを社内で探っているところです。
―― ソフトウェアアップデートといえば、初代arrows Weには3回目のOSアップデートがかかりました。廉価モデルでここまでやる機種は少ないと思いますが、arrows We2やWe2 Plusも同様にアップデートしていくのでしょうか。
外谷氏 OSアップデートの回数はarrows Weで2回、ミドルレンジモデルで3回としていて、ソフトウェア更新(セキュリティアップデート)は4年にしています。いったん、このタイミングでコミットできる回数としてお伝えしていますが、初代arrows Weは販売期間が長くなったので、そのぶん安心して使っていただきたいということで、結構無理をして提供しています。ロングランで販売していくことがあれば、継続して使っていただく取り組みをしていきたいですね。
―― 例えばGoogleのPixelだと7年というアップデート期間が保証されていますが、ローエンドモデルだとさすがにそこまでは厳しいですよね。OSの前にバッテリーなどのデバイスに寿命が来てしまいそうですし。
外谷氏 OSバージョンアップもソフトウェアアップデートもタダではなく、特にOSは非常に費用がかかるので、そこは工夫をしなければいけないと考えています。ただ、商品には耐用年数もあります。今の買い替えサイクルが4、5年だとすると、そこにはしっかり応えて強化していかなければいけないと考えています。
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