「iPad Air(M3)」の実力検証 変わらない良さと不満、刷新したMagic Keyboardの意外な効果も(2/3 ページ)
先代の発売から1年未満の新機種となる「iPad Air(M3)」をレビュー。最も大きく変わったのは、プロセッサがM2からM3へとアップグレードされたこと。刷新したMagic Keyboardは、ファンクションキーよりもメリットを感じた部分があった。
シンプルなデザインと、継続採用されたeSIMオンリーの仕様
注意点としては、キーボードのカラーがホワイト1色になったこと。装着した際の雰囲気がかなりカジュアルになるため、重厚感のあるデザインを求めている人にはやや厳しい印象も受けた。短期使用のため、汚れが気になる状態にはなっていないが、iPad Airのケースも兼ねているだけに経年劣化が目立たないかもやや心配になった。
なお、Magic Keyboard込みでの重量は、実測値で1085gとわずかながら1kgをオーバーしている。この数値、実はiPad Proよりも重い。これは、iPad Pro(M4)が薄型化と同時に、やや軽量化も果たしていたためだ。結果として、約1kgの中での数十gの差しかないため、持ったときの違いは分からなかったが“Air”という語感ほど、軽やかではないことは念頭に置いておきたい。
大きな差分はこのぐらい。ここからは、iPad Air(M2)のときのおさらいに近い内容だ。まずデザインだが、背面のカメラが存在感あるiPad Proに対し、iPad Air(M3)のそれはシングルカメラで主張が少なく、シンプルにまとめられている。それとカラーバリエーションの豊富さがマッチし、カジュアルさを感じさせる仕上がりに見える。
スペースブラックとシルバーの2色しかないiPad Pro(M4)と比べると、より軽やかな印象を受ける。この辺は、Airという名称を体現しているといえる。今回試用したのはブルーだが、鮮やかな青というより、青みがかった程度の着色にとどめられており、上品に仕上げられている印象だ。色の選択肢が豊富な点で、選びやすいiPadといえる。
比較的目新しいところでは、iPad Air(M2)からインカメラの位置が変更になり、ディスプレイベゼルの長辺側に移っており、この仕様もiPad Air(M3)に承継されている。iPad AirはFace IDには非対応だが、この移動によって、横位置で使った際にZoomなどのビデオ会議で自分の映像が中央に配置されやすくなる。カメラの位置が分かりやすく、使い勝手がいい。
また、セルラー版はeSIMオンリーになっている。これはよしあしで、メリットとしてはSIMカードスロットがなくなり、デザイン的にすっきりしたところが挙げられる。昨今のeSIM対応状況を踏まえると、国内利用では大きな問題にはならないだろう。一方で、eSIMに対応していないMVNOを使おうとしたり、海外渡航などで現地SIMを使ったりすると、SIMカードレスで困ることもある。使える回線が減ってしまう不自由はどうしても残る。
例えばどうしてもiPadで直接通信したいときだけ、iPhoneからSIMカードを移すというような使い方はできない。主流の使い方ではないことは確かだが、テザリングでルーター的に使いたいときや、Wi-Fiが混雑する場所でだけ一時的にモバイルネットワークにつなぎたいというときに対応できない。せめて、iPhoneとiPad間でeSIMクイック転送に対応していればいいのだが……。この点は、今後の課題といえる。
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