arrows Alphaの「大丈夫。強いから。」の真実 FCNTの“実験室”で見た秘密と足りないピース(2/2 ページ)
FCNTが8月28日に発売した「arrows Alpha」では、あえてタレントを起用せず、「大丈夫。強いから。」というメッセージを打ち出している。arrows Alphaの強さを裏付けるべく、FCNTがメディア向けに独自の実験室を公開。MIL規格や防水とは別に、メーカー独自が行っている耐久試験を見てきた。
ハンドソープ対応は1100回洗って確認 「正の字」でカウントの驚き
arrows Alphaは、泡ハンドソープで洗えることも特徴だが、試験室では市販されている一般的なハンドソープと台所用洗剤で洗っても問題ないかを確認している。1台につき1100回洗っているが、この1100回という数字は、1日1回洗うとして365日×3(1095日)の3年分を想定したもの。
洗浄は一般的な流し台で実施しており、試験用に特別な設備を用意しているわけではない。人が洗うことを想定しているためか、あくまで作業員が手作業で1100回、1週間ほどかけて洗い続けるそうだ。洗い終えたらUSB端子を下に向けて水抜きの作業をし、仮に浸水があった場合は原因を突き止めて設計をやり直すこともあるそうだ。
驚いたのが、回数のカウントを機械化しているわけではなく、流し台の前に貼られた紙に「正の字」を記入していたこと。洗浄から記録まで全てを手作業で行っており、まさに地道な作業を継続していることが伝わった。
Suicaの誤反応を防ぐ試験も 近距離と遠距離の無線評価
この他、実験室では、NFC/FeliCaやモバイル通信など無線通信の評価も行っている。NFC/FeliCaは、おサイフケータイでの支払い、Suicaの改札通過、マイナンバーカードの読み取りなどに使われている。こちらは近距離通信なので、むやみに電波が飛ばないよう、回路の部品を交換しながら、電波が適切な距離を保てるよう制御しているという。
例えばJR東日本のグリーン車にSuicaで乗る際、座席の上方にある「グリーン券情報読み取り部」に(Suica対応の)スマホをタッチするが、このときに電波が飛びすぎると、隣の席の読取り部が誤反応する恐れがある。誤反応を防ぐため、(スマホから読み取り機までの距離が)10~20センチの間で通信ができなくなるよう調整している。
一方、モバイル通信用のアンテナを評価する際は、電波暗室を使って行う。この暗室では外からの電波を遮断し、中で電波の反射を防ぐ圏外の環境のため、高精度で電波を照射できるようになっている。この暗室ではスマートフォンをターンテーブルに設置した状態で360度回転させ、スマホ本体が受けられる電波の強度を確認する。
この他、スマートフォンのスピーカーから出力される音の大きさの試験や、騒音環境下でもスマートフォンのレシーバーから問題なく相手の音声が聞こえるかの試験も行う。これらの試験は、通話品質を担保する上で重要になる。日本ユーザーに向けて、携帯電話の基本機能にも重きを置いている姿勢が伝わる。
「利用シーン×人」を介した訴求も必要ではないか
今回公開した試験の様子は公式サイトやSNSなどで積極的に発信してもいいと思うが、それだけではarrows Alphaの魅力は伝わらないだろう。
大事なのは、日常生活でarrows Alphaの強さがどう発揮されるのか。通勤・通学中に駅のホームでスマホを落としてしまった、子どもやペットと散歩中にスマホで写真を撮ろうとしたら手からこぼれ落ちてしまった、キャンプ中に砂利のある川辺にスマホをポチャリとやってしまった……など、「スマホがもう少し頑丈だったら……」と思う場面は多い。こうした日常の利用シーンに寄り添った訴求も必要だと感じる。
そこで必ずしもタレントを起用する必要はないが、スマホを使うのは「人」。人がスマホを使えばその人の数だけストーリーがある。メーカーとして、こうしたストーリーを見つけ、arrows Alphaをもっと身近に感じさせる工夫も必要になるだろう。
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