三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」詳細発表 開けば“iPad”に近い10型サイズに まず韓国で発売
サムスンが三つ折り「Galaxy Z TriFold」を発表、12月12日から韓国や米国等で順次発売。閉じた状態は通常スマホだが、2度開くと10型の大画面が出現。折りたたみ開発10年の知見を凝縮した。モバイルAI時代に向け、携帯性・性能・生産性の3要素を1台で実現することを目指して開発された。
韓国Samsung Electronics(サムスン電子)が、三つ折り構造を採用したGalaxy Z TriFoldの詳細を正式に発表した。韓国では12月12日に販売を開始し、その後は中国、台湾、シンガポール、UAE(アラブ首長国連邦)、米国など、多くの地域にも順次展開予定だ。なお、日本における販売情報については、報道発表資料では明らかにされていない。
同社が折りたたみカテゴリーで積み重ねてきた10年の知見を凝縮したとするこのモデルは、閉じた状態では通常のスマートフォンと同じようにアプリを使い、2度の展開で10型の大画面が現れる点が最大の特徴となる。モバイルAI時代の利用スタイルに合わせ、携帯性、パフォーマンス、生産性の3つを1つのデバイスで成立させることを目指して開発された。
まるで本当に薄いタブレットを持っているかのような感覚になりそうなGalaxy Z TriFold。厚さは閉じた状態が12.9mm、完全に開いた状態ではSIMトレイ側が3.9mm、中央が4.2mm、ボタン側が4.0mmになる。重量は309gと200g台が主流のハイエンドスマートフォンとしてはヘビーだ
折りたたみの構造とヒンジ設計 スムーズな折りたたみを可能に
Galaxy Z TriFoldは、開閉のたびに3つのパネルが連動する。メインディスプレイを保護するために内向きへ折りたたむ方式を採用し、誤った折り方を検知すると警告を示すオートアラーム機能も備える。ヒンジはArmor FlexHinge(アーマーフレックスヒンジ)を改良した構造で、サイズの異なる2つのヒンジとデュアルレール機構が一体で動き、デバイス全体で重量や部品が異なるにもかかわらず、よりスムーズで安定した折りたたみを可能にする。スクリーン同士の隙間が最小限になるよう調整され、折り畳んだ状態でも厚みを抑えた。
素材面では、ヒンジハウジングにチタンを採用し、内部機構の経年変化を抑える。フレームには高強度合金のAdvanced Armor Aluminum(アドバンスドアーマーアルミニウム)を使用し、外装のセラミックガラス繊維強化ポリマーと組み合わせることで、軽量化と耐久性を両立した。製造段階では、基板のCTスキャンやレーザースキャンによる検査を行い、内部の高さや精度を細かく確認するなど、折りたたみ構造に特有の要件を満たすための工程が徹底されている。
完全に開けば10型ディスプレイを利用可能 どのような作業ができるのか
展開すると現れる10型の大画面のメインディスプレイは、3つの縦長アプリを並べたマルチタスクに対応し、ドキュメント確認や資料制作など、従来のスマートフォンでは難しかった作業が容易になる。アプリのサイズ変更や配置は自由度が高く、建築家が設計図と寸法計算、提案書作成を同時に行うといった実務に近い使い方にも向く。右下のタスクバーから直前の作業環境をすぐに復元できるため、電話応答の後にも中断した作業を滑らかに再開できる。
10型大画面は3つのアプリを並べるマルチタスクに対応し、資料作成など従来のスマホでは困難な作業を容易にする。配置の自由度が高く、設計図と計算を同時進行するような実務にも最適だ。タスクバーから直前の環境を即座に復元でき、電話後の作業再開もスムーズに行える
単体で動作するStandalone DeX(スタンドアロンデックス)にも対応しており、4つのワークスペースを切り替えながら5つのアプリを同時に使える。外部モニターへ画面を拡張する機能も備え、マウスやキーボードを組み合わせることで携帯型のワークステーションとして利用できる。Galaxy AIによる画像生成や写真編集、ブラウジング支援などの機能も10型画面に最適化され、大画面を生かした編集や比較表示が行いやすいという。
単体で動作するDeXにより、複数のアプリや画面を同時利用できる。外部出力や入力機器と連携させれば、携帯ワークステーションとしても機能する。画像生成などのGalaxy AIも10型画面に最適化され、大画面ならではの編集や比較表示が快適に行えるという
カバーディスプレイは6.5型のDynamic AMOLED 2Xで、120Hz駆動と2600ニトのピーク輝度に対応する。
プロセッサはSnapdragon 8 Elite、ストレージは最大1TB、45Wの有線充電や15Wワイヤレス充電も
プロセッサにはGalaxy向けにカスタマイズされたSnapdragon 8 Eliteを採用し、16GBのメモリと最大1TBのストレージにより、マルチタスク作業やAI処理を円滑に実行できるという。
バッテリーは5600mAhの3セル構造で、3つのパネル内部に分散して配置される。45Wの有線充電や15Wワイヤレス充電に対応し、折りたたみの複雑な構造を持ちながらも一日を支える電力を確保した。
TecnoやHuaweiも示す三つ折りスマホの潮流
Galaxy Z TriFoldは、三つ折りスマートフォンの本格的な市場展開を象徴する製品となりつつある。海外では中国TranssionのTecnoが2024年8月28日にコンセプトモデルを公開し、Huaweiも同年9月10日にHUAWEI Mate XTを発売している。各社が相次いで新しい形態のデバイスを投入する状況を見ると、三つ折り構造はスマートフォン進化のトレンドとして定着し始めている。
Galaxy Z TriFoldのスペック一覧
- メインディスプレイ(完全に展開した場合に利用できるディスプレイ)
- サイズとパネル:10.0型 QXGA+ Dynamic AMOLED 2X
- 解像度:2160×1584ピクセル
- 画素密度:269 ppi
- ピーク輝度:1600ニト
- リフレッシュレート:1~120Hz(可変式)
- カバーディスプレイ
- サイズとパネル:6.5型 FHD+ Dynamic AMOLED 2X
- 解像度:2520×1080ピクセル
- アスペクト比:21:9
- 画素密度:422ppi
- ピーク輝度:2600ニト
- リフレッシュレート:1~120Hz(可変式)
- サイズ・重量
- 折りたたみ時:75.0(幅)×159.2(高さ)×12.9(厚さ)mm
- 展開時:214.1(幅)×159.2(高さ)×4.2(最厚部の厚さ)mm
- 重量:309g
- アウトカメラ
- 広角(メイン): 2億画素、F1.7、OIS(光学式手ブレ補正)
- 超広角: 1200万画素、F2.2、視野角120度
- 望遠: 1000万画素、F2.4、OIS、光学3倍ズーム(最大30倍デジタルズーム)
- インカメラ
- カバーディスプレイ側:1000万画素、F2.2
- メインディスプレイ側:1000万画素、F2.2
- パフォーマンスに関わるスペック
- プロセッサ:Snapdragon 8 Elite for Galaxy
- メモリ:16GB
- ストレージ:512GB/1TB
- 外部メモリ:microSD非対応
- バッテリーと充電に関するスペック
- バッテリー容量:5600mAh(3セルバッテリーシステム)
- 有線時:最大45W(超高速充電2.0/約30分で50%充電)
- ワイヤレス時:最大15W(高速ワイヤレス充電2.0)
- ワイヤレス給電:対応(ワイヤレスPowerShare対応)
- 耐久性と素材
- 防塵(じん)・防水:IP48等級(水深1.5mで30分間の耐水、1mmを超える固形物への保護)
- 前面の素材:Corning Gorilla Glass Ceramic 2
- 背面の素材:セラミックガラス繊維強化ポリマー
- フレームの素材:アーマーアルミフレーム(チタンヒンジハウジング採用)
- ソフトウェア・ネットワーク
- OSとUIの世代:Android 16/One UI 8
- ネットワーク:5G/LTE/Wi-Fi 7/Bluetooth v5.4
- SIM:nanoSIM×2枚+マルチeSIM(複数回線の登録・管理が可能)
- その他センサー:指紋センサー(側面)、顔認証など
- セキュリティ:Samsung Knox、Samsung Knox Vault
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