「ARROWS A 201F」は、下り最大76Mbps/上り最大10Mbpsの高速通信サービス「SoftBank 4G」に対応する富士通製のスマートフォンだ。今回は、このフルスペックモデルの通信速度を4か所で計測し、その実力を確かめてみた。
「ARROWS A 201F」は、4.7インチのHD液晶を搭載するAndroid端末。1.5GHz駆動のクアッドコアCPUや32Gバイトストレージ、IPX8/IP5X相当の防水/防塵、NFCなど、トレンド機能のほとんどを盛り込んだフルスペックモデルだ。
数ある機能の中でも注目したいのが、下り最大76Mbps/上り最大10Mbpsの「SoftBank 4G」に対応していること。これにより、Webブラウジングや動画視聴などを快適に行える。ネットをとにかくスピーディに楽しみたい――そんなユーザーには、うってつけの1台といえるだろう。
そもそもSoftBank 4Gとは、どのような通信方式なのか。簡単におさらいしておこう。SoftBank 4Gはソフトバンクモバイルが提供する高速通信サービスの1つ。ソフトバンクのグループ会社「Wireless City Planning(WCP)」が運用する「AXGP方式」のネットワークを利用している。同サービスに対応するスマホの通信速度は、下り最大76Mbps/上り最大10Mbpsを誇る。
とはいえ、これはあくまでもスペック上の“理論値”であり、実使用でこれと同じレベルのスピードが出ることはまれだ。では、実際にはどれくらいのスピードが出るのか? 今回は計4カ所で速度計測アプリを使って実際の速度を計測してみた。
計測の条件とテストの結果は、以下の通りだ。通信速度は計測場所や通信時の周囲の状況によって大きく異なることがあるので、今回の結果はあくまでも一例であり、すべての201Fに当てはまるわけではないことにご留意いただきたい。
測定場所 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
川崎市多摩区 (屋内・9時ごろ) |
下り(Mbps) | 14.26 | 10.43 | 14.86 | 13.39 | 12.15 | 13.01 |
上り(Mbps) | 4.06 | 4.68 | 7.49 | 4.57 | 3.81 | 4.92 | |
登戸駅 (屋外・10時30分ごろ) |
下り(Mbps) | 5.42 | 5.18 | 5.7 | 5.3 | 5.2 | 5.36 |
上り(Mbps) | 2.96 | 2.82 | 6.52 | 3.22 | 2.3 | 3.56 | |
武蔵小杉駅 (屋外・11時ごろ) |
下り(Mbps) | 3.05 | 2.54 | 2.74 | 3.79 | 3.73 | 3.17 |
上り(Mbps) | 5.53 | 5.54 | 5.14 | 4.17 | 4.39 | 4.95 | |
田園調布駅(屋外・11時30分ごろ) | 下り(Mbps) | 10.23 | 9.77 | 12.02 | 13.27 | 12.93 | 11.64 |
上り(Mbps) | 1.2 | 1.26 | 1.21 | 2.69 | 2.83 | 1.83 | |
では、テストの結果を計測地ごとに振り返っていこう。初めに実施したのは、川崎市多摩区(屋外・9時ごろ)。周囲に高層ビルやマンションなどはなく、低層の住宅が並ぶ。SoftBank 4Gの電波は4本がフルに立っており、通信は安定していた。
ここでは回線が混み合っていないためか、下り速度はコンスタントに10Mbps以上の好記録を連発。下りの平均値は4カ所の中で最も速い13.01Mbpsを記録した。また、個別の記録の中では最速の14.86Mbpsも記録している。
上りの数値が高いのも印象的だ。最低でも3.81Mbps、最高で7.49Mbpsを記録している。上下とも好記録を残せたのは、テストを実施した時間が9時ごろだったということが影響したかもしれない。SoftBank 4Gのスピードを明確に感じることができた。
次にテストを行ったのは、登戸駅。小田急とJRをつなぐ連絡通路で実施した。朝のラッシュはひと段落し、乗降客は最も混む時間帯と比べると少なかった。4Gの電波は4本が立っていた。
結果は、下り平均5.36Mbps、上り平均3.56Mbps。川崎市多摩区で計測したようにコンスタントに10Mbps台を記録することはなかったが、手堅く5Mbps台を記録した。また、上りも平均はやや遅くなったが、3回目に6.52Mbpsの好記録を残した。人が比較的多い環境にしては、上々の成績といえるだろう。
3カ所目の計測地は、武蔵小杉駅。北口のバス・タクシー乗り場の近辺で実施した。周囲には新設された駅ビルやマンションなど、高層建築が立ち並ぶ。時間が10時半ごろということもあり、人はさほど多くなかった。
下りの結果は、平均3.17Mbps。2.54〜3.79Mbpsという速度は、これまでの2カ所と比較するとやや低調な成績に留まった。高層ビルやマンションの影響を受けたためかもしれない。また、SoftBnk 4Gの利用者が周囲に多くいた可能性もある。
数値はやや低いものの、実際にブラウザを使用してみると、さほど遅さは感じない。サイトの読み込みは素早く、ストレスを感じるほどではない。TwitterのタイムラインやFacebookのフィードも問題なく読み込めていた。個人的な実感だが、3〜4Mbps以上の速度が出ていれば、支障なくWebを閲覧できる印象だ。
一方、上り速度の平均は今回テストした中で最も高い4.95Mbpsを記録。最低でも4.17Mbps、最高で5.54Mbpsの安定した数値を残している。
最後にテストを行ったのは、東急線の田園調布駅。駅地下のホームで実施した。昼前の11時ごろということもあり、乗降客は少なかった。SoftBank 4Gの電波はやや不安定で、ピクトアイコンの表示が3Gの状態で速度を計測した。
結果を見ると、下り平均11.64Mbpsを記録。これは、最初にテストした「川崎市多摩区」に次ぐ好記録だ。2回目に9.77Mbpsを残し、10Mbpsを切ってしまったが、それ以外はコンスタントに10Mbps以上を記録した。4回目には今回テストした中でも最速クラスの13.27Mbpsを残している。
なぜ3G接続でありながらも好記録を残せたのか、その理由は定かではないが、周囲に人が少なかったことが影響していそうだ。また、画面のピクトアイコンは「3G」だったが、実際は4Gで通信していた可能性も考えられる。
他方、上りの結果は平均1.83Mbps。4・5回目に2.69、2.83Mbpsと、2Mbps台後半の記録を残したものの、それ以外の3回は1Mbps台に留まっている。計測場所が地下だったことが、記録がやや伸び悩んだ原因といえそうだ。
今回は計4カ所でテストを実施したが、そのうち2カ所で下り平均10Mbps以上の好成績を残せた。ほかの2カ所の下り平均は5.36Mbps(登戸駅)、3.17Mbps(武蔵小杉駅)と、数値上はやや低くなっているが、実使用においてはさほど問題を感じないレベルといえる。なにより、4Gの電波が自分の生活圏で安定的に使えたことがうれしい。今後、通信インフラの整備がさらに進めば、201Fでより快適にネットを楽しめるだろう。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia Mobile 編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日