さらに薄く、より高速に――アップルが「iPad 2」を発表:iPhone 4よりも薄い!
アップルの次期タブレット製品「iPad 2」は、A5プロセッサの採用によりCPUで2倍、グラフィックスで9倍の性能向上を実現したほか、厚さ8.8ミリとiPhone 4よりも薄くなった。
アップルは3月3日、iOS搭載タブレット端末「iPad」の後継モデルとして「iPad 2」を発表した。米国では3月11日、日本では3月25日より発売される。
従来同様、ラインアップはWi-Fi版とWi-Fi+3G版の2モデル。米国ではiPhone 4と同じくCDMA対応のWi-Fi+3G版も提供され、AT&TとVerizonが販売する。また、本体カラーは新たにホワイトを用意し、従来のブラックと2色展開になった。米国での価格は、Wi-Fi版の16Gバイトモデルが499ドル、32Gバイトモデルが599ドル、64Gバイトモデルが699ドル。Wi-Fi+3G版は16Gバイトモデルが629ドル、32Gバイトモデルが729ドル、64Gバイトモデルが829ドル。なお、現時点で日本国内での価格はアナウンスされていない。
iPad 2の主なトピックは、ボディの薄型化、プロセッサの高速化、そして2つのカメラを内蔵した点だ。具体的に見ていこう。
まず、本体サイズは185.7(幅)×8.8(厚さ)×241.2(高さ)ミリと、初代iPadの厚さ13.4ミリと比べて33%ほど薄くなった(この8.8ミリという厚さは、iPhone 4の9.3ミリをも下回る)。また、重量もこれまでの730グラム(Wi-Fiモデル)/680グラム(Wi-Fi+3Gモデル)から601グラム(Wi-Fiモデル)/613グラム(Wi-Fi+3Gモデル)と最大15%軽量化した。
内部スペックも刷新されている。プロセッサはデュアルコアの「A5プロセッサ」を初採用。CPUで2倍、グラフィックスで9倍の高速化を果たしたという。フォトライブラリの写真を高速にスクロールしたり、iMovieでビデオ編集するといった映像系の処理で真価を発揮しそうだ。一方、消費電力をiPadのA4プロセッサ並に抑えているのも特徴で、薄型・軽量化と性能向上を実現しつつ、バッテリー駆動時間はiPadと同等の最大10時間(3Gでの利用は最大9時間)を維持したという。25Whリチャージャブルリチウムポリマーバッテリーを内蔵する。
最も有力なウワサの1つとして挙がっていたカメラの搭載もトピックだ。前面上部中央に内蔵するフロントカメラは、640×480ドット/最大30fpsでの撮影が可能。一方、背面端のバックカメラは720pでのHDビデオ撮影が行え、5倍のデジタルズームが可能な静止画撮影にも対応する。画面上の被写体をタップして露出をコントロールしたり、撮影データにジオタグを付加できるのはiPhone 4と同様だ。Mac、iPhone、iPod touchでおなじみのFaceTimeによるビデオ通話をサポートしたほか、自分撮りした写真素材に多彩なエフェクトをかけて楽しめるアプリ「Photo Booth」も搭載されている。
一方、静電容量式のマルチタッチ機能を備えた9.7型液晶ディスプレイは、これまでと同じ1024×768ドット表示のIPSパネルが採用され、一部でウワサのあったRetinaディスプレイによる高解像度化は見送られた。なお、iPhone 4と同じく加速度センサー、3軸ジャイロスコープ、デジタルコンパスも内蔵。さらに30ピンDockコネクタがHDMI出力をサポートし、別売のDigital AVアダプタを介して1080pの出力が可能になった。
iPad 2の登場にあわせて、保護ケース「iPad Smart Cover」も披露されている。iPad Smart Coverは表面だけを覆うタイプのカバーで、iPad 2とはマグネットで装着する仕組み。iPadのフレームの中にはSmart Coverのジョイント部分に合うように、マグネットが内蔵されている。また、カバーをめくるとiPadがスリープ状態から復帰するギミックも持つ。
OSは、iPad 2発売の同日にリリースされるiOS 4.3を搭載する。iOS 4.3ではAirPlay経由で「写真」アプリケーション内のビデオをストリーミングできるようになるほか、SafariのNitro JavaScriptエンジンによるJavaScriptの実行速度が2倍に向上し、本体側面のスライドスイッチが回転のロックとミュートで選べるようになる。このほか、アップル純正アプリとして「iMovie」や「GarageBand」のiPad版もリリースされる。
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