2014年、スマートフォン業界カレンダー――WindowsPhoneに再起はあるか:石川温のスマホ業界新聞
2014年のスマホ業界はどうなっているだろうか。国際的なイベントから各キャリアの動向まで、今後の動向を予想してみた。
2014年、スマホ業界にとっては「変化」の年になるだろう。これまで急速に普及が進んだスマホだが、成長に一服感が出て、踊り場にさしかかりつつあるように思う。しかし、その一方で、新たなプレイヤーが登場。業界に変化をもたらすのではないかと期待される。
2014年はスマホ業界にどんなニュースが起こるのか。いま、予想できる範囲で俯瞰してみたい。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年1月4日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
まず、1月にアメリカ・ラスベガスで米国最大の家電関連展示会「CES」が7日から開催される。しかし、スマホ業界的には、さほど大きな発表は行われる予定はない。各メーカーとも、2月下旬からスペイン・バルセロナで開催されるMWCに照準を合わせている模様だ。サムスン電子、ソニーの新製品発表合戦に期待したいところだ。
日本国内では1月は春商戦モデルの発表時期であるが、NTTドコモ、ソフトバンクモバイルともにすでに春モデルは発表済み。KDDIに関しては年末モデル発表時に「ファブレットの発表をする予定」と田中孝司社長が明らかにしている。ここ最近のKDDIにおける商品ラインナップ戦略を見ると、グローバルですでに発売しているモデルをそのまま持ってくる可能性が高い。昨年、グローバルで発売された、大きな画面の端末や曲がったディスプレイの端末が出てくる雰囲気が漂っている。
春商戦は売れ残っているiPhone 5cがばらまかれるなか、個性的なAndroidがどこまで売れるかが注目だ。
4月には、イー・アクセスとウィルコムの合併が控えている。ブランドや端末ラインナップ、サービスなどはまだ未定のようだが、ソフトバンクグループの「LCC」として、かなり面白い存在になりそうだ。iPhoneをメインにして、プレミアムブランドに走るソフトバンク、Androidと低価格サービスを売りにするイー・アクセス+ウィルコムというセグメント分けができるというのが自然な流れだろう。ちなみに、秋にはPHSのMNPも予定されている。NTTドコモやKDDIユーザーから、どれだけ音声通話定額の需要を獲得できるかが注目となるだろう。
そこに対抗できるか、興味深いのがNTTドコモとKDDIのVoLTEだ。音声通話をLTE網に流すことで、コーデックを変え、音質の向上が期待できる。さらに、接続料の問題を克服し、通話料定額を実現できるようになると、ウィルコムの勢いを止めることにもつながる。いずれ、音声通話料金で儲けられなくなるのは目に見えているだけに、各キャリアがいつ音声通話定額に踏み切るかが見物と言える。
また、4月にはマイクロソフトの開発者向けイベント「BUILD」がサンフランシスコで開催される。スティーブ・バルマーCEOの後継者が誰になるのか、そろそろ明らかになってもいいころでもある。スマホ業界的には、ノキアを軸に「Surface Phone」が果たして出てくるのかが気になるところだ。先日、アメリカのマイクロソフトストアを見てきたが、WindowsPhoneに関しては、ノキア製ばかりで他メーカーはほとんど目立っていなかったのが寂しかった。
ここはSurfaceもしくは自社ブランドを投入し、てこ入れをする必要があるのではないか。日本でもSIMロックフリーでWindowsPhoneを売れるようになると、法人を中心にかなりの引き合いがあるだろう。日本マイクロソフトにはその気はなさそうだが、ぜひともSIMロックフリーの自社ブランドモデルを出してもらいものだ。
6月に入ると、アメリカ・サンフランシスコでは、例年通りであれば、グーグルが「Google I/O」、アップルが「WWDC」といった開発者向けイベントを開催する。アップルに関しては、WWDCでのiPhoneやiPadの後継モデルの発表は過去のタイミングを見る限り難しいだろう。やはり、新製品となると9月あたりに発表、発売というのが現実的となる。すでにiPhone5、iPhone5sで2年間、同じデザインできており、今年はフルモデルチェンジになるのは間違いないだろう。「iPhone6」が、大画面化をしてくるのか、否か。またNFCを搭載してくるのか、といったところが注目される。ただ、iPhone5sを見る限り、機能的にもデザイン的にも完成度は高まっているだけに、iPhone6で人々をあっと驚かせるというのは相当、難しいように思える。
9月にはドイツ・ベルリンで欧州最大の家電展示会「IFA」が開催となる。ここでも、サムスン電子、ソニーあたりが新製品発表を仕掛けてくるだろう。ここで発表されたものが年末商戦の目玉となるのは間違いない。
以上のように大まかなスケジュールが決まっている中、NTTドコモがTizen、KDDIがFirefox OSスマホをいつ投入してくるのかが、注目となりそうだ。
関連記事
- 石川温のスマホ業界新聞:2013年、印象深かった業界キーマンインタビュー――今年も貴重なお時間をいただき、ありがとうございました
2013年もさまざまなモバイル業界のキーマンにインタビューしてきた。その中でも特に印象深かった5人をピックアップし、前年を振り返ってみたい。 - 石川温のスマホ業界新聞:2013年、スマホ業界で印象に残ったニュースBEST5――ドコモiPhone取り扱い開始で日本メーカー2社が撤退
2013年振り返り企画第2弾として、スマホ業界で印象的だったニュース5つをピックアップした。端末以外にも話題の絶えない1年だった。 - 石川温のスマホ業界新聞:2013年、歴史に残るスマートフォンBEST5――いい意味でも悪い意味でも「記憶に残ったあの一台」
2013年もスマホ業界はさまざまな話題があった。ここでは「歴史に残る」という観点で、印象に残った5つの端末をピックアップした。 - 石川温のスマホ業界新聞:孫社長が「UQへの2.5GHz割り当て」に猛抗議――「泣き寝入りはしない。行政訴訟で断固戦う」
7月26日の電波監理審議会で、2.5GHz帯の新たな周波数をUQに割り当てるとの答申が出たが、これに異を唱えたのが、ソフトバンクの孫社長と宮川潤一CTO。総務省の廊下で行われた囲み取材で、2人の「恨み節」を聞くことができた。 - 石川温のスマホ業界新聞:なぜドコモからiPadは発売されないのか――NTTドコモ・加藤薫社長の囲みにツッコミ
10月25日のNTTドコモ決算発表会で、加藤社長の囲みが行われた。ドコモはiPadを発売するのだろうか。今後の戦略も含めて話を聞いてきた。 - 石川温のスマホ業界新聞:「AndroidもFirefoxもネットワークも気合いを入れていく」――KDDI・田中孝司社長単独インタビュー
800MHzプラチナバンドLTEを開始し、ネットワークの優位性をアピールしているKDDI。田中孝司社長に単独インタビューし、ネットワーク中心に話を聞いた。 - 石川温のスマホ業界新聞:ドコモdマーケットを統括する熱い男――NTTドコモ/阿佐美弘恭スマートライフビジネス本部長
NTTドコモは7月1に組織改編を行った。これを機に組織をまとめ上げる立場として「スマートライフビジネス部」本部長になった阿佐美弘恭氏に、ドコモのコンテンツビジネスの方向性について聞いた。
関連リンク
© DWANGO Co., Ltd.