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スマホのバッテリーはなぜ“持たない”――開発者用測定ツール「TRYGLE POWER BENCH」で分かること(2/2 ページ)

多くのユーザーが不満に感じている「スマホのバッテリー持ち」。省電力技術や大容量バッテリーの採用でもなかなか解決されない理由とはなにか? メーカーも使うスマホ向け電力測定ツールを開発したトライグルに聞いた。

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スマホの消費電力を“見える化”するTRYGLE POWER BENCH

 トライグルのTRYGLE POWER BENCHは、スマートフォンのバッテリーから流れる電流を測定する電流計の「MOBILE POWER LOGGER」、測定するスマートフォンの処理・通信ログを記録するアプリ「PROCESS LOGGER」、複数のログをPC上に重ねて表示するソフトの「POWER ANALYZER」という3つの要素から構成されている。

photophoto 電流を計測する「MOBILE POWER LOGGER」。乾電池で駆動するため持ち運びができる

 MOBILE POWER LOGGERはポータブルタイプで、スマートフォンと一緒に持ち運べるのが大きな特徴だ。電源も乾電池かAC電源(USB接続)のどちらかを選択できる。MOBILE POWER LOGGERで記録した電流の計測結果は、PROCESS LOGGERが記録したスマートフォン上のログと併せて、POWER ANALYZERで分かりやすく視覚化。待受状態はもちろん、電話の発着信やメールの送受信、特定のアプリをインストールして、なんらかのイベントが発生した場合のバッテリー消費をその都度確認できる。計測は最小1ミリ秒単位、ログは最小5ミリ秒単位で記録でき、一瞬にも満たない挙動でも消費電力を把握。また連続で電池駆動で約72時間まで記録できるため、1日の利用を想定した実際の利用環境に近い計測が可能だ。

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記録したログはmicroSDに保存。PCにUSB接続してリアルタイムで確認することも
photophoto 計測するには、スマホのバッテリーに専用アダプターを取り付ける必要がある(写真=左)。同時に2台のスマホを計測できる(写真=右)

 従来のTRYGLE POWER BENCHは、あらかじめ決められた処理を実行するベンチマークソフトアプリ「SCENARIO PLAYER」を動作させ、どれくらいの電流が流れたのかを調べていた。このほどリリースされた最新バージョンでは、上記のように、スマートフォンを実際に操作して処理や通信の状態を記録。その場合のバッテリー消費を“見える化”できるようになった。

photophotophoto 決められた操作を実行するベンチマークアプリの「SCENARIO PLAYER」(写真=左端)。SCENARIO PLAYERが動画を再生しているところ(写真=中央)。バージョン2で提供された端末の動作ログを取得するアプリの「PROCESS LOGGER」(写真=右端)

 もちろん、各メーカーの測定環境にはより高精度な電流計がある。しかしそれには安定した電源が必要で、設備は大規模だ。持ち運びにも向かないため、社内の開発環境などでしか利用できず、移動を伴うバッテリー消費を測定するのが難しい。またアプリマーケットにあるさまざまなアプリをインストールし、それを使うことでどのような処理が発生しているのかも調べにくいという。

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ログを分かりやすく視覚化するPC用ソフト「POWER ANALYZER」

 「メーカーの大きな測定設備は、ハードウェアの設計や実装を担当する技術者の“ハード屋さん”向けですね。ハードウェアそのものの消費電力はこれでしっかり測定できます。しかし現在のスマートフォンは、OSやアプリによるバッテリー消費を改善しないと、さらなる省電力化が難しい状態です。既存の測定環境はさまざまなアプリをインストールしてユーザーと同じような環境で使えませんから、OSやアプリを開発するソフトウェア技術者である“ソフト屋さん”が知りたい項目を調べにくい。測定結果を記録しているログも、ハード屋さんとしての経験が無いと分析できないケースもあります。アプリ開発者を含めたソフト屋さんの利用を想定した測定ツールが、TRYGLE POWER BENCHです」(冨森氏)

 そのTRYGLE POWER BENCHを使うと、どんなことが分かるのか。実際の測定結果をもとに、スマートフォンのバッテリー消費について冨森氏に具体的に解説してもらった。その内容は次回以降でお届けしよう。

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