ソフトバンクモバイル、LTE-Advancedに向けた電波干渉低減の実証実験を開始
ソフトバンクモバイルが、LTE-Advancedの電波干渉を抑える技術の実証実験を東京都で開始する。新しいシステムでは、マクロセルと極小セル間、極小セル間の電波干渉を抑えることが狙いだ。
ソフトバンクモバイルが2月13日、LTE-Advancedを対象とした「ネットワーク連携三次元空間セル構成」における実証システムの実験試験局免許を、2月5日に取得したことを発表した。実証実験はお台場エリア(東京都江東区と港区)で行う。
スマートフォンの普及で増加したトラフィックの対策を行うには、屋外マクロセルの小セル化や、マクロセルの傘下に多数の極小セルを配置することが有効とされているが、多くの基地局から電波が飛ぶため、電波干渉が起きやすい。今回発表したシステムは、電波干渉を抑えるために、屋外のマクロセルと、屋外と屋内の極小セル(ピコセルやフェムトセル)をネットワークで連携させて各基地局を制御する「ネットワーク連携干渉制御」を用いる。
屋外マクロセルと極小セル間の電波干渉は、干渉低減技術の「eICIC」に機能を追加した「連携eICIC」によって抑える。この機能では、周波数を時間軸上で分割し、マクロセルと極小セルが異なる時間の周波数資源(タイムスロット)を利用するように調節する。
極小セル間の電波干渉は、端末方向の放射電力を強め、それ以外の方向の放射電力を弱め、他セルへの与干渉電力を抑圧する「連携基地局ビームフォーミング制御」、セル境界での通信品質やスループットを改善する技術「基地局間協調送信制御」と、「極小セル向け連携eICIC」などで抑える。
今回の実証実験では、伝送品質が安定しているイントラネットと安価なインターネットを用いた場合の動作を確認するほか、周波数利用率の改善効果を評価する。実証実験で取得したノウハウや測定データは、商用サービスに向けて活用する。
関連キーワード
干渉 | 電波 | 実証実験 | 基地局 | ネットワーク | 周波数 | LTE(Long Term Evolution) | LTE Advanced | ソフトバンクモバイル | フェムトセル | イントラネット | ネットワーク伝送
関連記事
- ソフトバンクの屋外マクロセル評価技術が国際標準化を達成
ソフトバンクテレコムとソフトバンクモバイルの「時間・空間電波伝搬推定法」技術が、国際規格として標準化された。LTEやLTE-Advancedの屋外マクロセルのシステム評価に使われる。 - 4K動画も快適に:ソフトバンクモバイル、LTE-Advanced走行実証作業を銀座で公開
LTE-Advancedの実力を示す舞台として選んだのは、高いトラフィックと高いビルが細い道沿いに集中する“超都市部”と呼ぶ銀座だった。 - LTE-Advancedを見据えて:通信品質の“谷間”をなくせ――ソフトバンクが取り組む基地局間協調伝送技術を見る
ソフトバンクモバイルが、同社が検証を進めている基地局間協調伝送技術や指向性アンテナ技術のデモをお台場で開催。電波干渉による通信速度の低下を新技術で改善できることをアピールした。 - ソフトバンク、「LTE-Advanced」で使われる基地局間協調伝送技術の実験結果を公表
ソフトバンクモバイルがLTE-Advancedの主要技術に位置づけられる「複数基地局間協調伝送技術」の実証実験を行い、その結果を公表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.