生産工程を変えて実現したディスプレイ面の加色――「AQUOS SERIE SHL25」の秘密を聞く:開発陣に聞くシャープ夏モデル(au編)(2/2 ページ)
“EDGEST”スタイルのハイスペック端末「AQUOS SERIE SHL25」が、KDDIから発売された。新開発のバックライト「PureLED」やIGZO液晶を搭載し、EDGESTならではの楽しさを味わえる。それに加え、AQUOS SERIEだけが採用した前面加色も興味深い。開発陣に、AQUOS SERIEならではの特徴を中心に話を聞いた。
au版AQUOS独自の機能にも注目
―― SHL25は「WiMAX2+」と「キャリアアグリゲーション」対応ですが、そのことで本体が厚くなったり、バッテリー持ちに影響が出たりはしませんか。
福山氏 部品は増えていますが、バッテリーの持ちに影響はほとんどないですね。心配していたんですが、チップなどで省電力化が図られています。
―― アンテナの部品が増えたのですか。サイズへの影響はあったのでしょうか。
福山氏 アンテナなどの部品は増えましたし、影響もなくはないですが、ここまで収めたという感じです。
後藤氏 チューナーパーツが2つ必要で、基板に実装する部品が増えています。単純にやっただけではサイズが大きくなってしまうので、それを抑えてこのサイズにするというのは、確かに苦労した部分です。KDDIさんは今夏モデルで画面が5インチ以上の端末をラインアップされましたが、その中でも本当に小さく収まっています。ショップの方々にも、片手で操作できる5インチオーバーは貴重だと評価いただいています。
福山氏 入れるものをすべて入れて、ここまでのサイズに抑えられているモデルは、そうないかなと思っています。また、バッテリー容量もSHL23から150mAh容量を増やして3150mAhになり、キャリアさんの基準で実使用時間を計測して約4日間使用できます。もちろん搭載アプリによって変わりますので、一概にいえないところもありますが。
―― 画面が大きくなって、それでも使用時間が伸びたのは、バッテリー容量が大きくなったことが要因として大きいのでしょうか。
福山氏 そうですね。画面の大きさ自体は、そこまで大きなマイナス要因ではないです。
―― 動画の連続再生時間が、SHL23の15.7時間からSHL25では19.7時間と、大幅に伸びていますね。
福山氏 動画でも省電力が効くIGZOの効果ですね。
―― ほかにau版AQUOSならではの特徴はあるのでしょうか。
福山氏 他社モデルは、ウェルカムシート(ロック画面)には写真を5枚しか設定できません。しかも見るときはすべて順送りです。SHL25はフォルダを複数指定できるようになっていて、見る際も進む/戻るが可能です。
後藤氏 フォルダを指定できるので、自分の好きな写真を枚数制限なしで入れられます。見る写真が大量だと、片方向の順送りだけでは見にくいので、両方向に動かせるようにしています。
―― 「アルバム」アプリでフォルダが作成できないのは残念ですね。
福山氏 そうですね。ファイルマネージャーアプリを導入してフォルダを作成していただければと思います。
―― タブレットと連携できる「Passtock」もできることが増えていますね。
福山氏 過去のPasstockは1人で楽しむ機能が中心でしたが、今回は友だちと一緒に楽しめるように、いろいろな提案をさせてもらっています。3GやLTEの電波がない場所でもBluetoothとWi-Fi通信で、簡単に相手とデータを送り合うことができます。
まだまだある、AQUOSスマホの便利機能
福山氏 カメラのファインダーをかざして使う「翻訳ファインダー」や「検索ファインダー」はよく紹介されていますが、「翻訳キャプチャー」と「検索キャプチャー」も便利です。画面下のナビゲーションキーをタップすると「お気に入り」内に「検索キャプチャー」と「翻訳キャプチャー」があります。ブラウザを使っていて、よく分からない言葉が出てきたときに呼び出して、文字を指でなぞれば検索結果が表示されます。ブラウザ上でも、言葉の意味や翻訳を簡単に調べることができます。
後藤氏 これはドコモやソフトバンクの端末(AQUOS)にも入っています。
福山氏 カメラには今回「リアルタイムHDR」が搭載されましたが、弊社の端末にはフォーカスを当てた場所によって明るさを調整できる「AEロック」という機能が入っています。iPhoneにも搭載されていますが、タッチしてフォーカスしたところに明るさが合って、ファインダー上でダイナミックに変わります。他社さんのモデルはフォーカスは調整されますが、明るさは変わらないはずです。
また、カメラのレンズカバーはガラスで、指の油が付きにくいコーティングをしています。ピクチャーライトも新たなものに変えて、輝度も従来より10倍明るくなっています。少しお金はかかっていますが、部品レベルで改善しました。せっかく明るいライトを搭載したので、通知パネルにオン/オフボタンを配置してモバイルライトも利用しやすくしています。
文字入力面では「地域おすすめ辞書」が追加されています。変換候補が増える機能で、お住まいの地域をチェックしてもらいますと、地域の施設名称や駅名などが候補として出てくるようになります。
―― どんな言葉が入っているのでしょうか。
福山氏 「関東」だったら「鳩サブレー」「横浜赤レンガ倉庫」「那須温泉」なんかが出てきます。数は地域ごとに違いますが、関東で700語入っています。ただ、もとの候補データもかなり充実しているので、気が付きにくいかもしれませんね。
夏モデルでは3キャリアからハイスペックなAQUOSが発売された。EDGESTスタイルとIGZOといった共通部分を持ちながらも、その個性は三者三様。au向けのAQUOS SERIE SHL25は、EDGESTがより際立つ工法と、女性が手に取りやすいやさしいデザインが大きな特徴で、AQUOSスマートフォンならではの便利機能も充実させた。ぜひ手にとって、ディスプレイの迫力と快適な操作性を体感してほしい。
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