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NFCで決済ビジネスに乗り出すアップル━━Apple Payで将来的にFeliCaの搭載はあり得るのか石川温のスマホ業界新聞

「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」および腕時計型端末「Apple Watch」に搭載されるモバイル決済機能「Apple Pay」。iPhoneにNFCが搭載されることで何が起きるのか。

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「石川温のスマホ業界新聞」

 iPhoneがついにNFCの搭載に踏み切った。事前の噂ではiPhoneの背面にあるリンゴマーク部分にNFCのアンテナが載るということだったが、実際には本体の先端部分にアンテナが内蔵され、リーダーライターに突き刺す感じで決済が行われる。

 「Apple Pay」という新サービスではまずは米国からスタートし、VISA、マスターカード、アメリカンエクスプレスカードなどと提携。全米22万の店舗でNFCによる決済が可能となる。マクドナルドやサブウェイといったチェーン展開をする飲食店、Wallgreens、Macy’s、WHOLE FOODS Marketなどの小売店でも対応する。

 さらにリアル店舗だけでなく、ネットやアプリを使ったサービスに対しても、決済が可能になるという。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2014年9月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。


 決済時にはタッチIDによる指紋認証が必要だ。対応アプリも比較的簡単に作れるようだが、このタッチIDの指紋認証がセキュリティが高いと理由から、「カード情報が盗まれにくい」とアップルは判断しているようだ。

 指紋認証においては、富士通が先行的に導入していたが、やはりアップルがうまいのは単に端末に搭載するだけでなく、指紋認証をアプリ販売だけでなく、こうした決済までに拡大した点にある。単なる物作りに止まらず、仕組み作りまで拡大してしまうところが、アップルの垂直統合ビジネスの強みと言える。

 アップルがNFCを搭載したことで、iPhoneの新しい可能性も広がろうとしている。日本においては、KDDIがマスターカードと組んで「au WALLET」を提供中だ。au WALLETカードにはNFCが埋め込まれているが、いまのところ、具体的な活用は行われていない。au WALLETとiPhone、Apple Walletが連動するようになると、日本でもNFCで決済できるところが増えるのは間違いなさそうだ。

 ただし、au WALLETはau IDベース、Apple WalletはアップルIDベースであるところを考えると、ビジネスモデルで競合するところも出てきそうだ。田中社長も「アップルのビジネスモデルがどうなるかが気になる。au WALLETの対応はまだ何も見えていない」という。

 今回、iPhone 6/6PlusではNFCのみの対応で、残念ながらFelicaには非対応だ。当然ながら、日本ではモバイルSuicaとして改札も通れないし、楽天Edyとして買い物もできない。

 ただ、今後も、iPhoneがFeliCaを非搭載にし続けるかといえば決してそんなことはないようだ。

 FeliCaの場合、端末にチップセットを搭載するにはフェリカネットワークスへライセンス料を支払う必要がある。日本向けAndroidでおサイフケータイを作るメーカーはもちろん支払っている。

 だが、アップルとしては全世界で発売するiPhoneのために、わざわざFeliCaのライセンス料を払うのはばからしい。

 もし、フェリカネットワークスがビジネスモデルを変更し、フェリカのライセンス料をフリーにするといったことになれば、iPhoneにもフェリカが載るだろうが、やはりそれは無理というものだ。

 そうなると、「iPhoneには今後もFeliCaは載らないのか」と絶望的になってしまうが、実際の所はわずかな望みがあるらしい。

 あるキャリア関係者によれば「フェリカネットワークスがボリュームディスカウントを導入すれば、可能性はゼロではないはずだ。来年あたりに期待したい」という。

 実際の所、FeliCaが載ったNFCチップというのはすでに存在している。このままではFeliCaは自動改札しか使われず、それ以外の決済手段がNFCに置き換わってしまう可能性もありえる。アップルのNFC搭載はFeliCaの滅亡につながりかねないだけに、フェリカネットワークスの大胆な決断が求められているといえる。

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