なぜ今若者のアルバイト探しなのか? 「LINEバイト」が生まれたワケ
スマホ時代の求人情報サービスを――インテリジェンスとLINEは、新会社「AUBE」を設立。若者向けのアルバイト求人情報サービス「LINE」バイトをリリースした。
インテリジェンスとLINEが共同出資により設立した合弁会社「AUBE(オーブ)」は2月16日、若者向けのアルバイト求人情報サービス「LINEバイト」をLINEアプリ上で公開した。現時点でインテリジェンスが運営する「an」の求人情報10万件以上が掲載されている。
LINEバイトは、LINEアプリ内で利用できる求人情報サービスだ。新規登録は不要で、時給、エリア、職種、労働期間などの条件を入力すると求人情報のリストが表示される。検索履歴に応じた最新の求人情報をプッシュ配信するほか、求人情報をLINE上の友達とメッセージやタイムライン経由で共有できる。
AUBEはLINEバイトの運営を担い、インテリジェンスは法人の求人広告主獲得、LINEはユーザーの集客をそれぞれ務める。
なぜ今アルバイトなのか? LINEバイトが生まれたワケ
「オンラインとオフラインの垣根を越えた生活プラットフォーム」(AUBE 代表取締役会長舛田淳氏)を目指すLINEは、決済サービス「LINE Pay」やタクシー配車アプリ「LINE TAXI」などを発表してきた。若年層の集客に強みを持つLINEの特徴を生かす分野として、今回アルバイト市場に注目した。
AUBE 代表取締役社長の上土達哉氏は、LINEバイトを「スマホ時代の新しいプラットフォーム」であり、「多様化・複雑化する仕事探しの手助けをするもの」と位置づける。上土氏は、新会社設立と新サービス発表の背景として、「企業の労働力不足」「スマホ利用者の拡大」「求職者の志向性の多様化」「求職者のあいまいな仕事観」という4つの要因を語った。
上土氏によると、有効求人倍率は2014年12月に1.15倍を超えており、企業は人材難に陥っているという。そんな中、アルバイト応募者のうち約7割がスマホユーザーで、若年層の9割がLINEを利用しているという同社の独自調査に基づき、LINEと協力関係を結ぶことを決めたという。また、求職者は自宅からの距離や時給などの軸で仕事を探す一方で、最近は「なんとなく自分にできそうかどうか」「服装やルールが厳しくないか」など、さまざまな価値観を持つ求職者が増えてきた。上土氏は「アルバイトを探す人の7割近くは、明確な目的はなく何となく仕事を探しているという人たち。Googleのように検索するのではなく、何となく自分に合った仕事の情報が手に入るという世界観を築き上げたい」と説明する。
マッチング機能を強化 「LINE Pay」との連携も
今後は、より動作が快適になるというLINEバイトのネイティブアプリや、AUBEのオリジナル商品も随時リリースしていく。特に、企業と個人を結びつけるマッチング機能に注力していく予定だが、上土氏は「マッチング機能の詳細や、どういった基準でマッチングをするのかなどは現在検討中」と話す。舛田氏は、LINEバイトを決済サービス「LINE Pay」や、個人向けにオープン化された公開型アカウント「LINE@」と連携させる構想も明らかにした。求人が決まった際にお祝い金をLINE Payで支払うというようなことも考えているという。将来的に給料の振り込みもLINE Pay経由でできる可能性もありそうだ。
LINEは、LINE@のオープン化や、LINE Pay、LINE TAXIなど、生活に密着した新サービスを矢継ぎ早に発表した。その中でもバイト探しは若者の重要なライフイベントの1つとして位置づけられる。求人が決まれば特別なLINEスタンプをゲットできるなど、LINEならではの手法でこれまでインテリジェンスが取り込めなかった層にアプローチすることはできるのだろうか。マッチング機能を強化していく上では、個人情報をどこまで取得し、企業へ提供するのかというセキュリティやプライバシーの問題が再び注目を浴びそうだ。
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