訪日外国人向けプリペイドSIM、各MVNOの本人確認の実状:SIM通
最近、MVNO各社から訪日外国人向けプリペイドSIMカードが登場しています。その多くは、データ通信専用で、本人確認が必須ではありません。そのため、MVNOによって、本人確認の有無、する場合の確認方法に違いが出ているようです。
MVNOの広まりで多種多様なサービスを持つSIMが登場したことから、日本のユーザーにとってモバイル通信サービスの利用の幅は大きく広がりました。ですがSIMの販売によって日本でのモバイル通信利用が最も便利になったのは、実は日本を訪れる外国人観光客の人達かもしれません。
外国を訪れた際は現地でプリペイドSIMを購入し、それを普段使用しているスマートフォンに挿入して利用するというのが、海外でモバイル通信を最も安価に利用する方法として知られています。
日本のキャリアは防犯などの理由からプリペイド方式のサービス提供に消極的であったため、従来は外国人が日本でSIMを手に入れること自体容易ではありませんでした。ですがMVNO各社が訪日外国人向けにプリペイド方式のSIMを提供するようになったことで、日本でも外国人がSIMを差し替えて、安価にモバイル通信を利用できるようになったのです。
しかしここで気になるのが、プリペイドSIM購入時の本人認証です。現在、音声通話機能付きのSIMは本人確認が義務付けられていますが、訪日外国人向けSIMに多いデータ通信専用のSIMに関しては、本人確認が必須ではありません。そうしたことから、訪日外国人向けのSIMを提供する各社の本人確認に関する方針には、現状ばらつきがあるようです。Webサイトに掲載されている情報から、各社の対応を確認していきましょう。
パスポート番号の入力を必須とするなど、本人確認に最も厳しい対応をとっているのは、日本通信の「b-mobile VISITOR SIM」「b-mobile PAYG SIM」です。本人確認が必要な音声通話機能付きのb-mobile PAYG SIMは、パスポート写真のアップロードが必須ですが、データ専用のb-mobile VISITOR SIMは、アクティベート時にパスポート番号の入力が求められる仕組みとなっています。
また、NTTコミュニケーションズの「Prepaid SIM for JAPAN」も日本通信のデータ専用SIM同様、アクティベート時にパスポート番号の入力を求められます。購入時は店舗によってパスポートの提示を求められる場合があります。
事前にWebで購入し、空港受取やホテル受取を利用する際については、空港は郵便局預かりとなるためパスポートなどの本人確認書類が必要になり、ホテルだと事前に申し入れておく必要があるようです。この2つの受取方法については、他のMVNOも同じです。
ちなみに「Prepaid SIM for JAPAN」は、関西空港とお台場に訪日外国人向けSIMの自動販売機を設置しており、こちらは購入時に備え付けられているスキャナーにパスポートを読み取らせる仕組みを持っています。詳しくは以下の記事を参照ください。
◆訪日外国人向けプリペイドSIM即日開通へ!SIM自動販売機設置
ソネットの「Prepaid LTE SIM」の場合、パスポート情報は必要ないものの、日本の住所または滞在先の住所を入力する仕組みをとっています。
購入時にパスポートの提出を求めているのが、テレコムスクエアの「Wi-Ho! Prepaid SIM」です。こちらもデータ通信専用のSIMながら、取扱店でパスポートを提示しないと購入できない仕組みをとっており、ある意味それが本人確認となっているようです。
一方で多く見られるのが、購入時にパスポートなど公的機関が発行する証明書などを提出する“場合がある”というケース。インターネットイニシアティブ(IIJ)の「Japan Travel SIM」や、ビッグローブの「NINJA SIM」などがそれに該当し、通常は購入時やアクティベート時にパスポートは必要ありませんが、何らかの場合に提示が求められる可能性があるようです。
また、現時点でプリペイドSIMの本人確認を明記していないサービスもいくつか見られます。U-NEXTの「U-mobileプリペイド」やテレキュートの「COMST T-SIM」、日本チケット商協同組合の「JTA SIM」、そしてタイ・台湾などで展開しているYokoso Japan SIMという会社が提供する「Yokoso SIM」などがそれにあたります。現時点では販売やアクティベート時にパスポートの提出や番号入力が必要ないと考えられますが、将来にわたってその限りではないという点には注意すべきでしょう。
このように、現時点では各社まちまちの対応となっている、プリペイドデータ通信SIMの本人確認。ですが現在、テレコムサービス協会のMVNO委員会によって、データ通信専用SIMの本人確認に関する議論が進められています。将来的には、今後定められるであろうガイドラインに従う形で、各社共に本人確認の統一が図られることになりそうです。
(文:佐野正弘)
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