アップルが自ら「アップグレードプログラム」を投入――KDDIも独自に提供し、iPhone縛りのユーザー続出か:石川温のスマホ業界新聞
AppleがiPhone 6s/6s Plusの発表に合わせて自前の「アップグレードプログラム」を導入した。iPhoneのリセールバリューの高さを生かした施策かもしれない。
今回、iPhone関連の発表で驚いたのが、アップルが「アップグレードプログラム」を用意してきた点だった。
当初は米国のみとなるが、ロイターによれば中国を含めた主要11カ国で開始するという(日本で導入されるかは確認中)。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2015年9月12日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円)の申し込みはこちらから。
SIMロックフリーのiPhoneで、毎月32.41ドルから44.91ドルを支払えば、12カ月後には、使用中のiPhoneを下取りに出して、新しいiPhoneを手に入れられるようになる。
これまでは24回払いにより、2年に1回というサイクルであったが、アップグレードプログラムであれば、毎年新製品を手にすることができる。
すでにアメリカのキャリアでは導入が進んでいたが、アップル自身が乗り出すことがちょっと意外であった。
ただ、このような施策はiPhoneのリセールバリューが高いという点が大きく作用している。
アップルとしては、先進国で下取りしたiPhoneを新興国などに、安価な中古品として流通させることで、さらなるシェア拡大を狙っているのだろう。
新興国には安価なAndroidスマートフォンが大量に普及している。それらのシェアを奪いうために、アップル自身が中古品の流通に乗り出したというわけだ。
実際、アップルは中古品の流通がしやすいように、iPhoneの仕様を決めた可能性が高い。なぜなら、今回のiPhone 6s/6s Plusは、対応周波数バンドによって3モデルが存在するが、いずれもチャイナモバイルが使用しているTD-SCDMAに対応してるのだ。
大量に流通する中国向けモデルだけにTD-SCDMAを搭載すればいいものを、あえて全モデルでTD-SCDMAを対応してくるのが、最初、不思議でならなかった。
「チップセットが対応できる通信規格が増えたから、たまたま対応できた」とも思えるが、このアップグレードプログラムと結びつけると、自ずとアップルの意図が見えてきた。
おそらく、日本など主要国で売られたiPhone 6s/6s Plusでも、1年後には中国に持って行き、チャイナモバイルでも安心して使える中古品として流通させるのだろう。
アップルが成長して行くには中国市場でのシェア拡大が急務のようだ。
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