使ってみれば、まるで別物――iPhone 6s/6s Plusは“スマートフォンを再発明”した(2/4 ページ)
iPhoneは長足の進歩を遂げたが、根幹となるユーザー体験の部分は「初代iPhone」を改善し洗練させていく道程だったのだ。しかし、iPhone 6s/6s Plusに触れて、その状況が変わるのではないかと感じた。「6s」の真価はどこにあるのだろうか?
きれいな写真が撮れるから、「とてもきれいな写真が撮れる」へ
正直なところ、iPhone 6s/6s Plusは3D Touchの部分だけでも十分に魅力的だ。しかし、両機の魅力は3D Touchだけに留まらない。なかでもカメラ性能の向上は、実際の使い勝手のよさに直結する素晴らしいものになっている。
Appleはカメラにおいても、ハードウェアとソフトウェアをうまく調和させて「きれいな写真/動画を撮影する」ことに重きを置いてきた。これは当たり前のようだが、かなり難しい。多くのAndroidスマートフォンが、カメラデバイスのスペック表の数字は立派なのに、iPhoneほど手軽にきれいな写真が撮れずにいる。これはハードウェア的にいくら高性能なカメラデバイスを搭載しようとも、ソフトウェア側の画像処理がお粗末であったらきれいな写真が撮れないということの証左である。
さて、iPhone 6sとiPhone 6s Plusのカメラだが、Appleはこちらも先代からの抜本的な刷新を図った。
まずメインカメラは、画素数をこれまで(実にiPhone 4s時代から!!)の約800万画素から約1200万画素に増やし、センサーデバイスも一新したのだ。新型センサーは先代同様に像面位相差AF対応の裏面照射型CMOSだが、隣り合う撮像素子で光が混じり合うクロストークを防止する「ディープ・トレンチ・アイソレーション」を導入。さらに階調表現をより自然にする「ローカルトーンマッピング」を改善したりと、画素数を増やすことで起こるノイズ増加などのネガティブ要素を払しょくするための技術を取り入れている。画素数の増加に合わせて、動画撮影の高度化も図られ、最大4Kのムービーが撮れるようになった。
iPhone 6s Plusで撮影。画素数が1200万画素に上がっただけでなく、画像処理エンジンのソフトウェアも一新されて、従来よりもさらに精緻で美しい写真が簡単に撮れるようになった。水面の波紋や水滴の質感、背景の建物の緻密な描写に注目してほしい
iPhone 6s Plusで撮影。忍野八海のわき水を撮影。光の反射、水面の揺れる様子、泉の底まで光が透過していくグラデーションと沈んでいるコインの様子など、高画素化に加えて巧みな画像処理でとても美しく描かれている
またセルフィー需要で重要度が高くなっているインカメラについては、約500万画素に向上。輝度が足りない時にディスプレイを強く発光させてフラッシュ代わりとするRetina Flashという新機能も搭載した。
このようにiPhone 6s/6s Plusでは、カメラ性能というスペック部分でも高度化を図ったのだが、それで終わらないのがAppleらしいところだ。今回はハードウェア的な高画素化を行ったことにあわせて、ソフトウェアも徹底的にチューニング。作例も見てもらえば分かるが、これまで以上に精緻で美しい写真が撮れるようになっている。もともとiPhoneのカメラは、“細かな設定をしなくても、シャッターを押せばきれいな写真が撮れる”という簡単さが特徴だったが、今回はそれが「とてもきれいな写真が撮れる」にレベルアップした印象だ。
そして、さらに圧巻なのが4Kによる動画撮影である。これまでもソニーモバイルのXperia Zシリーズをはじめ4K撮影ができるスマートフォンはあったが、iPhoneでもこれに対応。標準状態ではフルHDモードだが、設定を変えることで4Kモードでの撮影ができるようになった。
関連記事
- Appleらしい「ユーザー体験の再発明」――iPhone 6s/6s PlusとiPad Proが作り出す新たなスタンダード
2015年のApple新商品発表会では、iPhone 6s/6s Plusをはじめ、iPad Pro、Apple Pencil、新しいApple TVといった多彩な製品が披露された。今回の発表で、Appleは世界に何を示したのか。あらためて振り返ってみたい。 - 「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」正式発表
Appleが、iPhoneの新モデル「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」を発表した。【詳細更新】 - 「iPhone 6s/6s Plus」は何が変わった?――「iPhone 6/6 Plus」との違いをチェック
名前も見た目もあまり変わっていない「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」だが、iPhone 6/6 Plusから何が変わったのか。新機能やスペックの違いを確認しておこう。 - 幼年期の終わり――「watchOS 2」で本格普及に入るApple Watch
「Apple Watch」は2014年9月の発表以来、多方面から注目を集めたが、その一方でソフトウェアは発展途上の感が否めなかった。だが、「watchOS 2」がリリースされたことでその状況も変わりそうだ。この新OSから、Apple Watchの新たな可能性を考えたい。 - 画面サイズ以上に“大きな進化”――iPhone 6とiPhone 6 Plusで広がるスマホの可能性
国内外で注目され、大きな影響力を持つiPhoneがフルモデルチェンジを果たし、「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」という、ふたつのiPhoneになった。画面サイズの拡大が注目されるが、実際に使い勝手はどうか。試用リポートをお届けしたい。 - 新たな歴史が始まった“特別な日”――iPhone 6/6 PlusとApple Watchから見えた未来
世界中の主要なジャーナリストや、各国キャリア首脳などのVIPを、Apple本社のあるカリフォルニア・クパチーノに集めて行われた2014年のプレスイベント。そんな中で発表された「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」、そして「Apple Watch」から見えたものとは――。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.