東京消防庁の調査(2014年)によると、「歩きながらや自転車に乗りながらスマートフォンや携帯電話等を使用したことがありますか」との問いに49.1%が「ある」と回答(対象:18歳以上の男女395人)。前方不注意で電柱や電車と衝突したり、駅のホームから転落したりする事故も発生しており、歩きスマホの自制を促すポスターや動画を目にしたことがある人も多いだろう。
歩きスマホは、日本だけの問題ではない。ドイツでも社会問題化しており、2015年の“若者用語大賞”には、「Smartphone(スマートフォン)」と「Zombie(ゾンビ)」を組み合わせた造語「Smombie(スモンビー)」が選ばれたほどである。
そんなドイツのアウクスブルクで、ある歩きスマホ対策が注目されている。それは、下を向いて歩いている人に“赤信号”を知らせるべく、路面に赤いLED灯を埋め込むという試みだ。
ドイツのテレビ局N-TVのニュースサイトによると、イヤホンをしてスマホを見ながら歩いていた15歳の少女が、路面電車に気が付かず亡くなった事故をきっかけに、アウクスブルク市は歩行者の動きを制御する必要があると判断。そのアイデアとして、路面に信号を埋め込むという手法を試すことにしたようだ。
路面で赤い信号灯が点滅していれば、“そこで止まれ”ということ。市の広報担当者は、この試みを、若者や通勤者が多く通行する2つの交差点に設置すると説明。この“信号”は「boden(地面)」と「ampeln(信号)」をかけあわせて「bompeln」と名付けられている。
現地の若者からは、“気が付かなかった”という冷ややかな声もあがっているそうだが、日本での反応はどうか。Twitterには、
「ドイツの歩きスマホ対策ってより、歩きスマホを助長するよなw」
「こういう設備を整えると、『じゃあ歩きスマホして大丈夫だ』という手合が涌いて増えるんだよなぁ……」
「歩きスマホで事故は自己責任だと思うし、改善策として違うと思うし、そこに金使うのはどうかと思うな」
と批判的にみる意見と、
「行政側がどうやって住民を守るかって考えると、こうなるのかな。ちょっとすごいな。いい意味ですごい。感心する」
「発想の転換ですね。この頃の日本人が最もニガテとすることかもしれませんね」
「人間がついやってしまう事の対策として、より安全な環境を作るってのは安全工学的に正しいとおもうな」
など、評価する声が入り交じっている。
なおアメリカ・ニュージャージー州では「歩きスマホ禁止」法案が議会に提出されるなど、世界的に対策が進められている。今後、世界中で様々なタイプの対策が登場しそうだ。
(花賀 太)
【関連リンク】
■Bompeln fur Smombies: Augsburg installiert Ampeln im Boden - n-tv.de
http://www.n-tv.de/panorama/Augsburg-installiert-Ampeln-im-Boden-article17527851.html
■歩きスマホ等に係る事故に注意!‐東京消防庁
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201503/mobile.html
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