KDDIが「学割天国U18」で“段階制”のデータ定額を打ち出した理由:石野純也のMobile Eye(1月3日〜13日)(1/3 ページ)
KDDIがauの春モデルと春商戦に向けた学割を発表した。auの学割は“段階制”のデータ定額が最大の特徴。MVNOやY!mobileに対抗し、若年層を獲得しておきたいKDDIの思惑が見え隠れする。
春商戦は携帯電話市場で最大の商戦期だ。ここに向け、KDDIがauの春モデルと学割を発表した。割引以上にデータ容量の追加に重きを置いた2016年に対し、「学割天国」と名付けられたauの学割は“段階制”のデータ定額が最大の特徴。各種条件を満たすと、5分間の通話定額とデータ定額のセットで最低2980円(税別、以下同)からとなり、金額的にもインパクトを出してきた。この学割は、MVNOやY!mobileに対抗し、若年層を獲得しておきたいKDDIの思惑が見え隠れする。
auスマートパスや家族の契約があれば、最低料金は月額2980円に
まずは、学割の詳細な内容を見ていこう。1つ目の学割は「学割天国U18」で18歳以下のユーザーが対象。もう1つが、25歳以下が対象の学割で、こちらは「学割天国U25」と呼ばれる。シンプルなのが学割天国U25で、大容量プランの「データ定額20」「データ定額30」が500円引きになる。
ただし、学割天国U25はあくまでオマケ的な存在。メインともいえるのが、18歳以下のユーザーに向けた学割天国U18だ。学割天国U18最大の特徴は、段階制のデータ定額プラン「U18データ定額20」にある。名称こそ“データ定額20”だが、実際は4段階に料金が分かれており、使ったデータ量に応じて変動する。3GBまでが5390円、3〜4GBまでが6200円、4〜5GBまでが6900円で、5〜20GBまでが7500円だ。この金額には、5分間の通話定額「スーパーカケホ」や、ネット接続料の「LTE NET」も含まれている。
この状態で、KDDIや提携企業の固定回線を一緒に契約すると、「auスマートバリュー」が適用され、料金が下がる。auスマートバリュー適用後は、3GBまでが3980円、3〜4GBまでが4790円、4〜5GBまでが5490円、5〜20GBまでが6090円で、それぞれ1410円の割引が受けられる。この金額は、データ定額5やデータ定額20、LTEフラットに対するものと同じだ。
最低料金が2980円になるには、さらに家族も同時に新規契約をしなければならない。18歳以下のユーザーと家族がau回線を持つと、それぞれの料金から1000円が割り引かれる。結果として、3GBまでの料金プランが2980円になるというわけだ。もちろん、他のデータ利用量でも、この割引額は同じ。割引適用後の金額は、3〜4GBが3790円、4〜5GBが4490円、5〜20GBが5090円になる。
条件が2段階あって少々複雑だが、学割天国U18特有の魅力は、「段階制のプランが選べることと」「トータルの金額が通常契約より安いこと」「家族が契約した際の割引があること」の3点に集約される。
段階制のメリットは、使うデータ量に応じて金額が変わるため、あまりデータを使わないユーザーも、データを大量に使うユーザーも、納得して契約ができるところにある。逆に言えば、損をしづらいプランといえる。
個別に1700円のスーパーカケホ、300円のLTE NETとデータ定額を契約すると、3GBの「データ定額3」を選んだ場合、合計の料金は6200円になる。U18データ定額20は、3GBの場合で通常よりも810円安く設定されている。また、auの場合、4GBのデータ定額がないため、4GB利用するユーザーは5GBの「データ定額5」を選び、7000円支払わなければならないが、U18データ定額20だと6200円で、その差は800円になる。
データ量 | 通常のプラン | U18データ定額20 | 差額 |
---|---|---|---|
3GB以下 | 6200円(3GB) | 5390円 | 810円 |
3〜4GB | 7000円(※4GBがないため5GBを選択) | 6200円 | 800円 |
4〜5GB | 7000円(5GB) | 6900円 | 100円 |
5〜20GB | 8000円(20GB) | 7500円 | 500円 |
auスマートバリューや家族の新規契約がなくても、料金設定は安い |
2980円という数字を打ち出したかったためか、U18データ定額20はセット料金という体裁で、既存のプランと比較がしづらい部分はあるが、トータルの金額同士で見れば、学割のお得度の高さが分かるはずだ。KDDIの田中孝司社長が「究極の学割を作っていきたい」と胸を張るのもうなずける。
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