総務省のガイドラインもクリア 半永続割り引き「docomo with」の狙いを読み解く:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
ドコモが2017年夏商戦向けモデルを発表した。端末以上に話題を呼んだのが、割り引き込みの料金プラン「docomo with」だ。docomo withにはどのような狙いがあるのだろうか。
端末限定料金プランという位置付けでガイドラインをクリア
実質価格がマイナスとなると、総務省の「モバイルサービスの提供条件・端末に関するガイドライン」をどうクリアしたのかは、気になるポイントだ。1月に改正された同ガイドラインには、「事業者は、スマートフォンを購入する利用者には、端末を購入しない利用者との間で著しい不公平を生じないよう、端末の調達費用および関連下取り価格に照らし、合理的な額の負担を求めるのが適当である」と記載されている。
このガイドラインの文言をストレートに解釈すると、合理的な額の負担どころか、実質価格がマイナスになるdocomo withには、総務省からすぐに待ったがかかるようにも思えてくる。ところがドコモは「docomo withは割り引きではなく、料金プランである」という理屈で、ガイドラインをクリアした。吉澤氏も次のように力説する。
「端末購入補助のルールがあるが、基本的に、docomo withは期限を定めていない。ガイドラインに照らして問題ないということは、(総務省も)確認している。『1500円割り引き』と言っているが、実際にはタリフだ」
本稿でも初出時に“割り引き”とカッコ書きで記載したのは、そのため。期限を定めておらず、先に試算したように利用期間に応じて対象端末の価格が無限に変わる可能性があるため、端末購入補助に当たらないというわけだ。端末の購入をサポートする1500円の割り引きではなく、Galaxy Feelやarrows Beを購入した人専用の料金プランと考えれば、理解しやすいだろう。
こうした建前を守るため、docomo withを契約したSIMカードを、他の端末に勝手に差し替えても、割り引きは継続するという。中古販売店で過去のドコモ端末を買ってきたり、家電量販店でSIMロックフリー端末を買ってきたりして、Galaxy Feelやarrows Beが契約端末として登録されているSIMカードを挿しても、1500円の割り引きは受け続けることができる。永続的に割り引きを受けたければ、ドコモで非対象端末への機種変更をしなければいいというわけだ(端末購入補助を適用せず定価で購入すれば、機種変更をしてもdocomo withは継続する)。
もちろん、このようなある種「裏技」といえる使い方を推奨することが、docomo withの主な目的ではない。吉澤氏は主なターゲット層を「基本機能をメインに使ったり、フィーチャーフォンを長く使って、乗り換えたスマートフォンも長く使ったりする層だと思う」と語っている。いわばライトユーザー向けの料金プランで、対象をミッドレンジモデルに絞ったのも、端末にお金をかけないユーザーが気軽に買える価格を設定するためだ。
一方、Galaxy Feelやarrows Beは、あくまで「第1弾」という位置付け。今後については「これで終わりではなく、状況を見て判断していきたい」(吉澤氏)といい、ユーザーからの要望次第では、ハイエンド端末にも拡大する可能性があることに含みを持たせた。
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