熱烈なファンに応える期待の1台――「Galaxy Note8」の魅力を読み解く:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
8月23日(米国東部時間)、Samsung Electronicsが「Galaxy Note8」を発表した。熱烈なファンの多い「Galax Noteシリーズ」最新モデルの魅力をひもといていこう。
ついに「デュアルカメラ」搭載に踏み切ったSamsung 日本ではどうなる?
そして3つ目の特徴が「デュアルカメラ」である。Galaxy Note8には、2つのアウトカメラが搭載されている。1つはGalaxy S8/S8+などと同じ「1200万画素・F1.7」のカメラ。元々明るく撮れると定評のあったGalaxyシリーズのカメラだが、Galaxy Note8でも、これは踏襲されている。ここに、もう1つ、2倍相当の望遠カメラを加えたというのがNote8のデュアルカメラだ。
2つ目のカメラが搭載された結果、ワンタッチで光学2倍ズーム相当まで被写体に寄ることが可能になった。デジタルズームではつぶれてしまっていたディテールも、この方法なら鮮明に残せる。また、2つのカメラで被写体と背景を見分けて深度の情報を記録し、ボケ味を強調した写真が撮れるようになった。撮った写真のボケの強弱を、後から変更することもできる。
とはいえ、デュアルカメラを使って光学ズームを実現するという技術は約1年前にAppleが「iPhone 7 Plus」で実現している。その後ASUSもこれに追随し、8月に発表された「ZenFone 4 Pro」にも同様の機能が搭載されている。デュアルカメラは業界のトレンドとして、フラッグシップモデルには必要不可欠な要素になりつつある。しかし、それ自体は目新しいものではない。Samsungもそれを分かっているのか、iPhone 7 Plusと比較しながら「両方のカメラに光学手ブレ補正が搭載されているのはGalaxy Note8だけ」とアピールしていた。
ここまで見てきたように、Galaxy Note8は熱狂的なファンの期待に応える端末として、最新の機能を盛り込み、高い完成度を実現した。米国では9月15日に発売される予定で、すでに大手キャリアが続々と取り扱いを表明し、予約を受け付けている。Galaxy Note7を購入したユーザーに割引を提供するなど、手厚いキャンペーンも展開される見通しだ。Galaxy Note8の売れ行きがよければ、事故のイメージを完全に払拭(ふっしょく)できるだけに、Samsungとしては否が応でも気合が入るというわけだ。
翻って日本ではどうか。現時点ではどのキャリアも取り扱いを表明していないが、例年通りであれば、NTTドコモとau(KDDI)から発売される可能性が高い。グローバルと異なり、日本ではGalaxy Note 7の先代前に当たるGalaxy Note5が発売されなかったという特殊な事情もある。2年ぶりの登場が期待されていたGalaxy Note7も、冒頭に上げたリコールに伴い発売を予定していたドコモ、auともに市場への投入を断念せざるを得なくしまった。結果として、もしGalaxy Note8が日本で発売されれば“3年ぶりのGalaxy Note”ということになる。
確かに日本でもGalaxy Noteのユーザーはリピート率が高く、「Galaxy Note Edge」ユーザーの受け皿になることは期待できそうだ。一方で、2世代分のブランクが、売れ行きにどう影響するのかは未知数だ。スマホに大画面のみを求めるユーザーは、すでにGalaxy S8+や他社の大画面スマートフォンに機種変更してしまっている可能性もある。平均的なスマホの利用期間が2年から3年に伸びていることを考えても、徐々にユーザーは減りだしてしまっている。ここにどう歯止めをかけるのかは、キャリアやSamsungにとって腕の見せ所といえるだろう。
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