シェア急増の楽天モバイル 「スーパーホーダイ」や「iPhone販売」の狙いを聞く:MVNOに聞く(2/3 ページ)
楽天が楽天モバイル向けの新料金プラン「スーパーホーダイ」を提供。容量を使い切った後も、1Mbpsと比較的高速なデータ通信が可能なのが大きな特徴。このプランを中心に、楽天モバイルの戦略を聞いた。
端末の“三木谷割”にも期待? コミコミプランは終了
―― 端末の割引もありました。ここは、“三木谷割”の楽天モバイルとして期待されていたところだと思います。
大尾嘉氏 僕らがそう呼んだことは1回もないのですが(苦笑)、確かに端末の割引は2015年ごろからやっていました。MVNOに変える際に、スイッチングコストが高いという声が多かったからです。ただ、(新端末を出した際に)どうせキャンペーンをやるんだろという声があった(結果、買い控えが生じた)のも事実です。ですから、新料金プランでは、最低利用期間を2年、3年といっていただければ、そのぶん端末をディスカウントします。SIMカードのみの場合も、1万ポイント、2万ポイントという形で還元します。
例えばですが、1万9800円の端末は、2年の最低利用期間なら9800円、3年なら0円にプラスして200ポイントがもらえます。しかも、大手キャリアとは異なり、最低利用期間には自動更新もありません。大手キャリアの場合は、24カ月たった後、自動的にさらに24カ月縛られますが、僕らの場合は1年でも2年でも、最低利用期間後なら好きなときにやめられます。
(インタビュー時点で開始から)1週間ぐらいたったところですが、割引が最大になる3年にする方が多いですね。
―― 3年といっても、途中で機種変更はできるんですよね。
大尾嘉氏 はい。機種変更の値段まで下げることはできませんが、できることはできます。端末は僕らから買っていただいてもいいですし、量販店で新しい端末を買って、SIMカードだけ差し替えることもできます。
こうしたお客さまの声を聞いて、それに答えることを高速サイクルで回してきました。それがサービスの向上、改善に生きています。結果として、店舗も170になりました。
―― 端末とセットのコミコミプランはどうなったのでしょうか。
大尾嘉氏 コミコミプランはなくしました。コミコミプランの場合、高い端末は高いプラン、安い端末や低いプランというひも付きがありました。それを今回は切り離したというのが、大きな特徴になります。
そうはいっても、容量別の組み合わせプランは残しています。中には5分かけ放題がいらないという方もいますし、そもそも通話はいらないからデータSIMでいいという方もいます。そういった方は、組み合わせプランの方が安くなります。
倉澤氏 メインで打ち出しているものは分かりやすさ中心でスーパーホーダイですが、カスタマイズしたい方には柔軟に対応できるようにしています。
「自動更新なし」が格安SIMの決め手という人が多い
―― お昼の時間帯を300kbpsに制限していますが、このプランの比率が上がると、トラフィック緩和の効果もあったりするのでしょうか。
大尾嘉氏 結果として、ある程度あるかもしれません。ピークは遅くなるので避けようとなると、逆に帯域があることになる可能性もあります。そういったことをお客さまと一緒にやっていくことで、MVNOとして料金を低く抑えられます。
倉澤氏 コスト構造が悪化すると、中長期的にお客さまにご迷惑をおかけしてしまいます。設計は、そうならないようにしています。
大尾嘉氏 ただ、コストありきではなく、お客さまに対する値段ありきで、そこから逆算して、どうやったら実現できるのかをやってきました。
―― 店舗展開をしていますが、そこからの気付きは何かありましたか。
大尾嘉氏 スーパーホーダイの開発には時間がかかりましたが、お店を展開していてよかったと感じました。これがWebだけだったら難しかったと思います。今でこそ新しいカタログでは強く「自動更新なし」とうたっていますが、それがないことが決め手になっていたのも気付かなかったところです。
倉澤氏 うちに来られる方は、ちょうど2年縛りが切れたときに来るので、そこは強く意識しているのかもしれません。
関連記事
- 「通信利用制限でも最大1Mbps」 楽天モバイルの新プラン「スーパーホーダイ」
楽天は、「楽天モバイル」の新サービスとして、高速データ通信オフでも最大1Mbps、5分以内の国内通話無料の新プラン「スーパーホーダイ」を発表した。 - 楽天モバイルがメーカー認定整備済の「iPhone」を販売 オンライン限定
楽天モバイルが「iPhone SE」「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」のメーカー認定整備済品を販売する。新料金プラン「スーパーホーダイ」で契約した場合は、最大で2万円の端末代金割引を受けられる。 - 格安SIMにしない理由TOP3「2年縛り」「理解不足」「通信速度」 検討サービス上位は楽天・UQ・Y!mobile
MMD研究所はスマートフォンを所有し、格安SIMを検討しているユーザー対象とした「格安SIM検討者の意識調査」の結果を発表。今まで格安SIMにしなかった理由TOP3は「2年縛り」「理解不足」「通信速度」で、iPhoneユーザーは「iPhoneでも利用できるかわからない」が顕著となった。 - ICTの格安SIM市場動向調査 シェアトップは「楽天モバイル」
ICT総研は「2017年 MVNO格安SIMの市場動向調査」の結果を発表。格安SIMの利用者シェアトップは「楽天モバイル」で、利用者の平均満足度は「最適な料金プランの有無」「コストパフォーマンス」が高い。 - 「楽天モバイル」、かけ放題サービス開始 月額2380円
楽天が、「楽天モバイル」の通話SIM向けに、かけ放題サービスを提供開始。料金は月額2380円。「楽天でんわ」アプリを利用する必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.