「月額490円の意味は?」「isaiの今後は?」――「au HOME発表会 with au 2017 冬モデル」一問一答(2/2 ページ)
KDDIが「au HOME発表会 with au 2017 冬モデル」を開催した。そこで行われた質疑応答の様子を簡単にまとめてみた。
囲み取材
―― 携帯電話の契約はパーソナルなものだと思う。au HOMEに加入したとして、「家族」はどのような扱いになるのだろうか。
渡辺氏 au HOMEには「家族招待」という機能がある。例えば夫がau HOMEに加入したとして、その奥様のau IDを「招待」すれば、奥様もau HOMEの機能を使うことができる。契約は1つでも、家族全員で家の情報を把握できる。
―― 家族間のプライバシーを守りつつ、家族全員で家の状況を共有できるということか。
渡辺氏 そういうことになる。
―― auひかり契約者以外でもau HOMEを利用できるようになるわけだが、加入者目標数はあるのか。
渡辺氏 外部には公表できないが、目標数値は設定している。
今までは「auひかりユーザー限定」だったので数はそれほど多くなかったが、これからは3000万、4000万と(契約可能な)ユーザーが広がるので、しっかり数を増やしていきたい。
―― 他社のインターネット回線でもau HOMEを利用できるようになるが、(au HOME利用に必要な)「au ID」を取得できるのはau契約者のみとなっている。また、Google Homeと連携するようになる「うたパス」や「ビデオパス」もau契約者限定のサービスとなっている。
今回の取り組みをきっかけに、これらを他社ユーザーにも開放する考えはないのか。
渡辺氏 au HOMEの利用には「auひかり」または「au携帯電話」の契約が必要となる。そのため、auと全く無関係の(他社)ユーザーは使えない。
―― とりあえず「家族に1回線」あれば使えるのか。
渡辺氏 家族のどなたかがauの契約回線を持っていれば、その「オプション」という形で使うことはできる。また、家の固定回線がauひかり、スマホ(携帯電話)が全員他社という場合でも、auひかりの「オプション」として使うことはできる。
―― au HOMEのコラボレーション型ともいえる「with HOME」のパートナーに、子会社であるビッグローブなどの名前がある中で、同じく子会社であるUQコミュニケーションズの名前がないのが気になる。
KDDIグループ全体の戦略にも関わると思うのだが、アカウント(契約者)数をグループ全体で増やしていくという流れの中で、「au HOME for UQ mobile」「au HOME for BIGLOBE」のような形で子会社にもサービスを開放する方向性はあるのか。
渡辺氏 基本的な考え方として、auだけではホームIoTサービスを普及させることはデバイス面でもサービス面でも困難だ。
ユーザーベースで見ても、auは(全携帯電話契約数の)30%程度。残りの7割の人にホームIoTサービスを使ってもらうには、弊社が(au HOMEのために用意した)サービスプラットフォームを使ってもらって「ビッグローブのホームIoTサービス」として提供するという方向性はアリだと思っている。
そこはauの顧客ベースにこだわらず、広がりをもって提供していきたい。それがwithHOMEのコンセプトだ。
―― IoTサービスプラットフォームのMVNE(MVNOの業務を支援する事業者)的なものと考えて良いか。
渡辺氏 そうだ。ただ、単純にプラットフォームを提供するだけではなく、自社でも「au HOME」としてサービスを提供している。そのプラットフォームを一緒に(さまざまな企業で)活用してもらうことで、広がりをもっていきたい。
―― au HOMEの他社回線対応をサービス開始と同時にできなかったのはなぜか。
渡辺氏 開発面の都合で(他社回線対応が)このタイミングとなった。
ただ、サービス開始時の発表よりも、スマートスピーカーが出そろってきた今回の発表の方が大きな意味を持っていると思う。
今まで、さまざまな企業がホームIoTサービスにチャレンジきたが、うまく行かないことも多かった。そのためにホームIoT自体がネガティブな印象を持たれることもあったが、今回の発表のようなものが出てくることで印象を変えられると思っている。
―― 7月にauひかり限定でau HOMEのサービスを始めたわけだが、ここまでの手応えはどうか。
渡辺氏 (契約数は)想定通りではある。
既存契約者からは「設定が難しい」「家の中で使えると思ったら(Z-Waveの)電波が届かない」といった申告を頂いている。弊社でも実利用を想定したシミュレーションや試験を行ってきたが、実際のユーザー宅の状況は千差万別なので、その辺を学習した上で訪問設置サポートや故障時の駆けつけサポートといった我々の強みである「お客様へのサポート」を拡充しながらやってきた。
これから、本格的にユーザー獲得に動くことになるが、この3カ月間はその準備期間として運用部門も含めてトレーニングしてきたという感じだ。
―― Google Home(Google Assistant)を使って電気を消すといったことは、(知識さえあれば)現在でもできる。しかし、このような訴求の仕方では、「IoTを使うにはauを契約しなければならない」「au HOMEを契約しないとIoTが使えない」と思い込む人が出てきかねないと思う。
その観点から、月額490円を取る意味と利点をもう少ししっかりと説明する必要があると思うのだが、どうか。
渡辺氏 確かに世の中にはすでにIoTデバイスはたくさんある。リテラシーの高い人なら、自分で機器を買ってきてつないで、アプリをインストールして設定できる。これなら月額料金はかからない売り切りモデルで行ける。
我々はそうではなく、設定のサポートから含めてトータルで安心できる環境を作り、1つのアプリの中で室温が分かり、部屋の開閉が分かり、カメラや家電をコントロールできるアグリゲート(統合)した環境を提供するために月額490円を頂くというモデルを取っている。
とはいえ、機器の購入時には一定の代金がかかってしまう。そこで、月額料金を頂く代わりに機器の購入代金をなるべく抑えるようにしている。
―― NTTドコモが「M」(参考記事)のようなオリジナル端末の企画に積極的な取り組みを見せている。元々、このようなことはauの始めたことだと思うが、今後どのように端末を展開していくのか。
山本氏 7月に「au Design Project」の展覧会を東京の丸の内で開催した(参考記事)。その時に昔ながらのケータイからスマホまで並べて展示したのだが、アンケートを見ると「こういうのが欲しかった」というユーザーがいた。
上層部には怒られるかもしれないが、そのようなオリジナルモデルに取り組みたいとは思っている。
(今回発表したisai V30+について)isaiのネーミングはauオリジナルだが、ハードウェアはグローバル仕様と国内仕様のミックスとなっている。ネームにせよ、ハードウェアにせよ、ソフトウェアにせよ、「オリジナルモデルをやってみよう!」という気概を持って、auとしてチャレンジしてみたい。
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