「FREETEL」のプラスワン・マーケティングが民事再生手続きを開始 「とりかえ〜る」などの受付を停止
11月にMVNO事業(FREETEL SIM)を楽天に売却したプラスワン・マーケティングが、民事再生手続きの開始を東京地方裁判所に申し立てた。スポンサー候補企業のもと、事業の再生を目指すという。
FREETEL(フリーテル)ブランドで携帯電話端末の開発・販売を手がけるプラスワン・マーケティング(POM)は12月4日、東京地方裁判所に民事再生手続きの開始を申し立てた。MAYA SYSTEM(東京都新宿区)をスポンサー候補として、事業再生に向けた具体的な協議を進めているという。
手続き開始に伴う影響
この手続きの開始に伴い、以下のサービスの利用受け付けが停止される。当該サービスの今後については、スポンサー候補であるMAYA SYSTEMなどと協議した上で改めて告知するという。
- とりかえ〜る
- 特別買取サービス
- PREMIUM端末補償
- FREETEL Coin
「民事再生」とは?
「民事再生」は個人・法人の倒産手続きの1つで、民事再生法に基づいて行われる。法人の場合は事業を継続させることが前提となる。類似の制度として会社更生法に基づく「会社更生」もあるが、それと比較した際の民事再生のメリットは以下の通り。
- 会社更生手続きよりも手続きが簡便
- 既存株主は株主の権利を留保できる
- 手続き開始前の経営陣の交代が必須ではない(≒再建に携われる)
POMの今後は?
裁判所が民事再生手続きの開始を決定した場合、POMは「債権の届出・調査」「再生計画案の作成」「債権者集会での再生計画案承認」「裁判所への再生計画提出」と手続きを進める。最終的に裁判所が再生計画を認可すると、POMの民事再生は正式に始まる。
ただ、民事再生が始まっても油断はできない。計画通りに経営再建が進まない場合など、裁判所が職権で「破産」手続きに切り替える場合もある。破産となった場合、法人の財産を全て債権者に配分することになるため、最終的に法人が消滅することになる。
POMは一部を除くMVNO事業(FREETEL SIM)を楽天に約36億円(負債込み)で売却した(関連記事)ものの、資金繰りが悪化。「資金繰り破綻によりエンドユーザーの皆様にご迷惑をおかけする事態を回避するため」民事再生を選択したという。ユーザーの便益を守りつつ、事業をどう再生させるのか注目が集まりそうだ。
関連記事
- 個人向けMVNOで回線数1位、単月で黒字化も 「楽天モバイル」好調の要因
個人向けのMVNOでは回線数が1位となった「楽天モバイル」。FREETELのMVNO事業を継承したことで、さらにその規模を拡大している。そんな楽天モバイルの戦略を、事業責任者の大尾嘉宏人氏が語った。 - 楽天はなぜFREETELのMVNO事業を買収したのか? 楽天 大尾嘉氏に聞く
業績が低迷したFREETELのMVNO事業を承継した楽天。これにより、楽天モバイルの回線数は140万を超える。楽天はなぜ、FREETELの買収を決めたのか? 同社のMVNO事業を率いる執行役員の大尾嘉宏人氏に聞いた。 - 楽天のMVNO回線数が140万を突破 FREETELと合わせて
楽天が、買収したFREETELの通信サービスを合わせた回線数が140万を突破したことを発表。FREETELブランドは2018年1月に「楽天モバイル」に統合される。FREETELユーザーが手続きをする必要はない。 - 楽天がFREETELのMVNO事業を買収 プラスワンは端末事業に専念
楽天が、プラスワン・マーケティング(FREETEL)のMVNO事業を買収。プラスワンは11月1日から分割会社になり、端末事業に専念する。 - 「2017年春頃から製品ラッシュが始まります」――増田社長が語る、FREETELの逆襲
スマートフォン本体、データ通信料、5分かけ放題を含めた「スマートコミコミ」を提供するなど、MVNO事業を強化しているFREETEL。一方で2016年の端末はやや勢いが弱まった感もある。これはなぜか? 増田社長にFREETELの戦略を聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.