「iPhoneによく似た」は過去の話に 中国メーカーから革新的なスマホが続々登場:山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)
2018年は中国のスマートフォンメーカーから新たな本体デザインのスマートフォンが次々と登場した。2019年もその勢いは止まりそうにないようだ。1月にはMeizuとVivoから「完全ホールレス」なスマートフォンが相次いで発表された。
スマートフォンのイノベーションは中国メーカーが作る時代に
AppleのiPhoneの販売不振のニュースがここのところ話題になっている。最大の理由は中国国内の景気減速であり、中国市場で思ったほど販売数を高められなかったことが原因と判断されている。しかし今のiPhoneには以前ほどの目新しさや革新性が感じられなくなったのも事実だろう。
Appleはブランド力を維持するためにも本体価格を高めにしている、だがスマートフォンとしての性能だけではなく本体の仕上げや質感も、もはや中国メーカーのハイエンドモデルが変わらぬものを出している。「iPhoneが買えないからHuaweiを買う」ではなく、今や「HuaweiのカメラがいいからMate 20やP20を買う」消費者が増えているのだ。そして何かにつけ「iPhoneによく似た」といわれた製品が多かった中国メーカーのスマートフォンも、今やそんな冠詞を付けられることもなくなった。
世界初の折り曲げ可能(フォルダブル)ディスプレイを採用したスマートフォンも中国メーカーから登場した。ディスプレイ埋め込み型指紋認証センサーの採用はVivoが最初だったし、ノッチ廃止となるパンチホールディスプレイの搭載製品もSamsungにわずか数時間先駆けてHuaweiが発表した。中国メーカーは貪欲に新しいテクノロジーの採用を進めている。
今回発表されたホールレスデザインをAppleがすぐに採用することはないだろう。Lightning端子の廃止そのものがiPhoneの今のビジネスモデルを変えることになるからだ。iPhoneの5G対応も自らQualcommにけんかを売りつけたことで大きく遅れることになる。さらに2019年に続々登場するだろうフォルダブルディスプレイの採用も「少数モデルで多くの消費者をカバーする」iPhoneの製品展開を考えると、Appleは採用しにくい。中国で起きているスマートフォンのイノベーションは、Appleのビジネス展開を大きく上回る速度で動いているのだ。
もちろん新しい技術が消費者に受け入れられるかどうかは未知数である。片面が電子ペーパーを採用した両画面スマートフォンはここ数年日の目を見ず、2018年冬にVivoとNubiaから登場した両画面カラーディスプレイの端末もユーザーニーズがあるかどうかは分からない。だが今の中国メーカーはべーパーウェア(コンセプトを発表したものの発売されなかった製品)作りに躍起になっているのではなく、実製品を市場に送り出しているのだ。そして実製品を購入した消費者からのフィードバックこそがメーカーにとって大きな武器となる。
2019年は先進国に続き中国のスマートフォン市場も停滞が続くだろうが、それが各メーカーに危機感を与え、他社に差別化できる製品の開発へとつながるはずだ。2019年も中国メーカーからあっと驚くような技術やデザインを採用した製品が登場することに期待したい。
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