Samsungが折りたたみ「Galaxy Fold」を投入する狙い、S10シリーズの本命は「S10e」?:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
2月20日(現地時間)に、米サンフランシスコで2019年最初の「Samsung Galaxy UNPACKED」が開催された。ラインアップは折りたたみ型「Galaxy Fold」や、「Galaxy S10」シリーズ。注目を集めたGalaxy Fold、本命といえるS10シリーズの狙いを解説する。
バリエーションを拡大し、成熟期の幅広いニーズにこたえるGalaxy S10
ただ、これはSamsungも折り込み済みの話だ。そのため、同社はGalaxy Foldと同時に、Galaxy S10シリーズも発表している。むしろ、数を稼ぐ“本命”はこちらといえる。超広角対応のトリプルカメラや、超音波方式の指紋センサー、インカメラの周りに穴をあけたパンチホール型のディスプレイなど、Galaxy S10シリーズは技術的に注目すべき点も多い。10年間の集大成と呼ぶにふさわしいモデルといえる。
筆者にとって、それ以上に興味深かったのは、ラインアップが3モデルに拡大したことだ。Galaxy S10には、通常版に加え、大画面版の「Galaxy S10+」と、プレミアムコンパクトをうたう「Galaxy S10e」の2つが兄弟機として用意されている。「Galaxy S8」以降、同シリーズは同時に大小2モデルを発売していたが、ここにGalaxy S10eが新たに加わった格好だ。
Galaxy S10eは、上位モデルのGalaxy S10やS10+とベースの仕様は共通している。プロセッサはQualcomm製の「Snapdragon 855」か、Samsung製の「Exynos 9820」を採用。背面のカメラも基本は同じで、F2.4とF1.5を自動で切り替える「デュアルアパチャー」にも対応し、超広角カメラも利用できるが、Galaxy S10、S10+に搭載された望遠カメラは省かれている。指紋センサーも画面内に埋め込まれておらず、側面上部に電源キーと一体のものが搭載された。
ディスプレイも有機ELだが、左右がカーブしていないフラットな形状で、上位モデルと比べるとベゼルも目立つ。解像度もフルHD+で、Quad HD+のGalaxy S10、S10+よりは低い。ハイエンドモデルとしての基本性能を維持したまま、人によっては“無駄”に感じてしまう機能をそぎ落としたのがGalaxy S10eといえる。iPhoneシリーズでいえば、iPhone XS、XS Maxに対するiPhone XRに近い位置付けで、Galaxyシリーズの主力になる可能性もある。
サムスン電子のIT&モバイル部門CEO、DJコー氏は「初代Galaxyを発売したときに掲げていたビジョンは、スマートフォンを民主化するというものだった」と語っていたが、Galaxy S10eは、その原点に回帰した端末だ。無駄をそぎ落とした分、価格も749ドル(約8万3000円)で、Galaxy S10の899ドル(約10万円)、Galaxy S10+の999ドル(約11万円)よりも手に取りやすい。
10万円を超えた価格で最上位モデルを買うのはさすがにためらうが、ミドルレンジまで落とすとスペック面での不満を感じる――Galaxy S10eは、そんなユーザー層に向けた端末だ。Appleに続き、Samsungもフラグシップモデルを3つのバリエーションに分けてきたが、この流れは他のメーカーにも波及するかもしれない。成熟期に入ってニーズが細分化し、ハイエンドモデル1台では、全ての需要を満たしきれなくなっていることがうかがえる。
日本では、2017年ごろから徐々に端末価格と通信料金が分かれた「分離プラン」が導入されてきた。2019年度はドコモもこれを導入する予定で、端末価格に対するユーザーの目が今まで以上にシビアになりつつある。日本での発売は現時点で未定だが、Galaxy S10eのような端末が求められる機運は高まっているといえるだろう。今後の動向にも、注目しておきたい。
(取材協力:サムスン電子ジャパン)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Samsungの折りたたみスマホ「Galaxy Fold」は何が新しい? 気になるポイントは?
Samsungの折りたたみスマホ「Galaxy Fold」の製品版が、ついに披露された。これまでも他社から2画面スマホや、ディスプレイを折りたためるスマホは発表されたが、Galaxy Foldは何が新しいのか? 現時点で判明している特徴をまとめた。
折りたたみスマホ「Galaxy Fold」発表 閉じると4.6型、開くと7.3型に 約22万円
Samsungが折りたたみスマホ「Galaxy Fold」を発表。閉じた状態では4.6型、開くと7.3型のディスプレイを利用できる。約22万円で4月26日に発売される(日本での発売は未定)。
「Galaxy S10/S10+/S10e」登場 3眼カメラや新指紋センサー搭載 実機を速攻チェック
Samsung Electronicsが、2月20日(現地時間)に米サンフランシスコでGalaxyシリーズの最新モデル「Galaxy S10」シリーズ3機種を発表した。今回は標準、大型、小型の3モデルを用意。3機種の特徴や違いを実機写真とともにレポートする。
Samsungが5Gスマホ「Galaxy S10 5G」を発表 欧米キャリアなどが取り扱い
Samsung Electronicsが2月21日、次世代通信規格「5G」に対応した「Galaxy S10 5G」を発表。韓国、オーストラリア、欧州、米国のキャリアが取り扱う。シリーズで最も大きな6.7型ディスプレイを搭載する。
CESで大人気! 折り曲げスマホ「FlexPai」への期待と不安
「CES 2019」で大きな注目を集めたRoyole(ロヨル)のフレキシブルスマホ「FlexPai(フレックスペイ)」。実際触ってみると、期待を感じる一方、一抹の不安も……。






