「AQUOS R9」のデザインが変貌を遂げた理由 ハイエンド推しから“情緒的価値”追求にシフト(2/2 ページ)
AQUOS R9とwish4の新デザインの狙いを、シャープとデザイナー三宅一成氏が語った。人との関わりと空間との調和を重視「巨神兵のような」カメラデザインが話題になっている。ジャパンモダンなデザインで海外展開も強化する。
「AQUOS wish4」は再生プラスチックを多用
AQUOS wish4はAQUOS R9と共通のデザイン言語を持ちつつ、異なる素材でそのボディーを形作っている。背面は60%再生プラスチックを試用し、しっとりとした表面塗装を施して手触り良く仕上げた。
巨神兵のようなカメラバンプの部分にガラス素材を活用して、アクセントとしている。
カラーバリエーションはブルー、ホワイト、ブラックの3色。Y!mobileでは限定色としてピンクも展開する。
“日本発スマホ”でグローバル化を進めるシャープ
AQUOS R9のデザイン戦略を理解する上での重要な文脈となるのが、シャープが海外戦略強化の方針を打ち出していることだ。展開国は従来のインドネシア・台湾に加え、シンガポールでも販売する。
国内市場も変化している。スマホ販売のほとんどを携帯キャリアが独占する構造が徐々に変化しつつあり、メーカーが独自にSIMフリーモデルを販売するケースが増えてきた。これを小林氏は「日本がグローバル化している」と形容する。
小林氏は「日本メーカーが少なくなり、中国系やアメリカ系のブランドが勢いを増している」状況を指摘し、「日本らしさのリニューアル」の必要性を強調している。
日本のモダンデザインを得意とする三宅氏との協業も、日本発のスマホを実現していく上で、訴求力を持つ可能性がある。グローバル化した日本市場と、シャープが進出を目指す海外市場の双方に通用するアイデンティティーを持たせたデザインリニューアルといえる。
R proやsenseはどう変わるのか
AQUOS R9/wish4で大きくデザインチェンジしたところで気になるのは、現行ラインアップに残された「pro」と「sense」のデザインチェンジだ。
AQUOSの最上位ラインproシリーズはR9世代ではラインアップから外れる。小林氏は「1回スキップ」と表現しており、再度投入する意欲はあるようだ。このproシリーズはライカ監修の1型カメラを目玉としており、まさにカメラ中心のハードウェアデザインの象徴のようなモデルだった。
AQUOS R9の新しいデザインがproやsenseに取り入れられるのかという問いに対して、直接的には「将来の製品には言及しない」(小林氏)と答えている。
一方で小林氏は「当然デザインにおいては、UXと製品性が表裏一体にあるものなので、商品ごとに、たとえ仮に三宅さんにデザインをしていただくにしても、やっぱり一個一個根本から考えていく形になる」とも言及している。カメラが主役のproシリーズが新デザインを採用するとしたら、AQUOS R9とは大きく趣の異なる容貌となりそうだ。
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