検索
連載

AIの“タダ乗り”を防ぐKDDI「Buffmee」を試す 150コンテンツの連携に価値あるが、回答には物足りなさも石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

KDDIは7月28日に出版社やWebメディアなどの150コンテンツと連携した対話型AI「Buffmee」を開始した。AIの無断利用を防ぎ収益を還元する仕組みだが、複数メディアを横断した検索がしづらいなど課題も多い。月額980円に見合う価値を提供し、コンテンツが集まる好循環を作れるかが今後の焦点といえる。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

複数メディアを横断した使い方には慎重な姿勢 回答の浅さも課題か

 ただ、KDDI側は、こうした著作物の使い方に対して慎重な姿勢を見せる。長谷川氏は、「AIの学習に使われたり、AIが記事を取ってきたりすることで生まれるネガティブな部分は問題だと考えている」としながら、「書籍には作者の方がいて、思いを持って書かれている。コンテンツの中身を他のコンテンツに混ぜて回答するのではなく、その著者の考えがAIと壁打ちできることで理解できるようになる」ことに重きを置いたと話す。

 しかし、このような制約は、権利者であるメディアや著者を尊重している一方で、ユーザーの利便性を損なっている面があることも否めない。また、権利者側であるメディアや著者も一枚岩ではない。筆者は、むしろ上記のようにニュース媒体とミックスさせる形で使ってほしいと感じている。その方が、自分が盛り込めなかった最新の情報まで扱えて、ユーザー側の理解が深まるからだ。

Buffmee
右のコンテンツとの対話がコンセプトになっていることもあり、メディアを横断しての利用が難しくなっている

 筆者の権利ビジネスという観点でも、その方が好都合だ。Buffmeeは、ユーザーに課金した収益をメディア側とシェアしている。その分配には傾斜もあり、「プールに入った売り上げを利用度合いによって配分する形になっている」(同)という。収益面を重視するなら、通信関連の質問にはなるべく乗っていきたい――そんなふうに考える著者もいるはずだ。こうした要望にどう応えていくかは、今後の課題といえる。

 実際に使ってみると、AIが返す回答がやや浅いのも気になった。スマホに最適化したのか、回答が短く、どこか物足りない印象を受ける。ユーザーがどこまで知りたいかにもよるが、回答の長さを調整する機能があってもいいだろう。また、ソースに対して厳密になりすぎているせいか、「探してみたのですが、このノートには入っていませんでした…!」と無回答になることもあった。

Buffmee
実際に使ってみたが、ややあっさりした回答になることが多かった

 本サービスの着想元になったGemini Notebookでは、やや強引に関連する情報だけを引っ張ってきて、何らかの見解は示すことが多い印象を受ける。ソースとなる情報に尋ねたい話が含まれていなかったとしても、関連しそうな話がピックアップされれば、結果としてそれが役に立つこともある。情報との出会いを重視するのであれば、ゼロ回答は減らしていった方がいいだろう。

 現時点ではコンテンツ数も150と少ない。雑誌のバックナンバーも1冊で1つのコンテンツとカウントされており、体感だと、数十程度しかないようにも感じられる。実際、KDDIも「150のコンテンツはまだ始まりで、全然足りていない」(同)といい、コンテンツを持つ事業者への参画を呼び掛けている。

Buffmee
現時点では150コンテンツだが、これは雑誌のバックナンバーまでカウントした数字。多様性の確保は急務といえる

 全てのサービスが使えるプレミアムプランの月額料金である980円が1年間無料になるため、取りあえず加入して損をすることはないが、価格に見合ったサービスかという点には疑問符も付く。ユーザーが少なければシェアできる収入も低くなり、メディアが集まりづらい悪循環にもつながる。そんな負の連鎖をどう断ち切るかに、KDDIの手腕が問われることになりそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る