News | 2002年11月20日 01:21 PM 更新 |
HD-TVは、現行のSDレベルとは異なり、画質が大きく向上している。良質なコンテンツを豊富に揃えるためも、セキュアな著作権保護技術は重要だ。田中氏は、あくまで個人的な考えと前置きした上で、「DVDにはCPRMやCPPMなどの著作権保護技術があるが、HDであるということを考えると、もっとコンテンツプロバイダーから見ても安心できるようなものにしたい。なるほどこれだったら安心そうだと確信してもらえそうなものをできるだけ提供していきたいと思っている」と言う。
悩ましいのは、再生専用ディスクの私的複製だ。田中氏は私見の続きとして、その抜本的な見直しも必要ではないかと示唆する。「私的複製ができるというのは、ユーザーにとっての既得権だったという考え方がありますが、ユーザーのそうした権利と、ハリウッドがコンテンツの権利を守りたいということは、どうしても相反する。コンテンツがHDであるだけに、1回だけコピーを許すということが本当に許容されるかどうかということも、慎重に議論しないといけないでしょう」。
今後は、インターネットなどを通じて高品位なコンテンツが配信され、AV機器もネットワークに接続されていく。それもこの問題を難しくする。「インターネットの世界では、ちょっとしたセキュリティホールがある大変なことになってしまいます。よほど真剣に考えないといけません。1回コピーを認める場合でも、それがセキュリティホールにならないように非常な配慮が必要。一方、(再生専用ディスクの)コピーを禁止するのであったら、(DVDのように低価格化行うなどの)それなりのことをしないといけないのではないでしょうか」。
また、田中氏は、デジタル放送の録画について、「それに対してはアナログ出力も含めて、全部著作権を保護する仕組みをちゃんと入れないといけないと思います」とBlu-ray Discに搭載されている著作権保護機能の一端を明かしてくれた。
これには、もちろん理由がある。それは、HDというコンテンツを考えた場合、著作権保護をきちんとしておかないと、放送コンテンツが録画コンテンツにならなくなってしまう可能性があるからだ。「著作権保護をちゃんとやっておかないと、そのおかげでいいコンテンツが出てこなくなってしまいます。コピーできることがユーザーメリットといいながら、これでは結局、デグレードになってしまう」(田中氏)。
発売は来年後半ぐらいか…
リライタブル規格の策定を終え、今後は、再生専用ディスク、追記型ディスクへとファミリー展開を行っていくBlu-ray Discだが、発売時期はいつになるのだろうか……。
その点について、田中氏に尋ねたところ「発売時期に関してはコメントできる状況にない。しかし、規格そのものは、商品設計に入れる状況にある。現在は、そういう状況を踏まえた活動を行っている」と同社の状況を話してくれた。
ただし、田中氏は「基本的には、できるだけレコーダにROMの再生環境を入れ込むことが重要だと思っている。その認識は、皆さん共通だと思う。ROMを再生できるようにしてから発売したい、という価値観は(私たちも)だいたい合ってます」と言う。それから考えると、少なくとも再生専用の規格が策定された後にBlu-ray Discレコーダが発売される可能性が高いのではないだろうか。
[北川達也, ITmedia]
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