News | 2002年11月28日 05:51 PM 更新 |
実際、DVD-RAMのランドグルーブ方式は、当初より、処理が大変忙しく難しいという点が指摘されていた。DVD-RAMのリードに対応したドライブが少ないのもこのためだ。簡単に設計ができないため、ドライブを製造できるメーカー自体が少ないのである。AOD-RAMでは、こういった難しさに配慮し、より設計が行いやすい方向に修正したというわけだ。「昔のランドグルーブに比べると随分作りやすいと思います」(山田氏)。
2つ目の理由は、メモリの単価が大幅に安価になったことだ。
DVD-RAM規格を策定した当時は、まだメモリの単価が高く、ランドとグルーブの切り替え時に必要となる「バッファメモリ」の単価が無視できなかった。1トラックごとにランドとグルーブを切り替える方式であれば、バッファメモリが少なくて済む。DVD-RAMでこうしたやり方が採用された裏には、こういう事情もあった。
しかし現在では、メモリの容量と単価は、当時とは比較にならないほど大きく、しかも安価になった。64Mビットのメモリがあれば、ADOの転送レートである36Mbpsで、2秒近くのバッファリングを行える。その価格は、ドライブ価格の高騰につながるようなものでは、もちろんない。
つまり、蚊取り線香方式を採用し、ピックアップを最外周から最内周まで飛ばしたとしても、それほど大きなコストアップにはならいのだ。「昔だったら大変ですが、今となってしまえば、そういうところは問題ない。ですから、安くて作りやすいほうがいいでしょう」(山田氏)。
新たな圧縮技術を採用したアプリも採用へ
DVDフォーラムでは、現在、AOD規格の策定と平行して「HD-DVD9」と呼ばれている新しい映像アプリケーションフォーマットの策定も進めている。
HD-DVD9とは、映像圧縮方式に従来のMPEG-2ではなく、より効率のよい圧縮技術を採用し、赤色レーザーを使用した現行の片面2層のDVDにHDTV品質の映像を2時間記録しようというものだ。
実際に採用される圧縮技術は、まだ確定していないが、MPEG-4やH.264など、最近では低ビットレートで高品質な画質を得られる圧縮技術が出てきた。HD-DVD9では、こういった最新の映像圧縮技術を使用する方針。HD-DVD9はこれでHD-TV並みの高画質を実現しようという再生専用のアプリケーションフォーマットなのである。
山田氏によると、「HD-DVD9で使用されるアプリケーションフォーマットは、AODでも採用される予定」という。また、これをベースにビデオレコーディングフォーマットなどの拡張も行われるようだ。「HD-DVD9で採用される映像圧縮技術は、再生専用のアプリケーションだけでなく、ビデオレコーディングフォーマットでも採用する予定です」(山田氏)。
HD-DVD9の策定は現在進行中で、基本的にはADO規格と同じ時期、つまり2003年夏ぐらいに策定される予定だ。
気になる製品化の時期だが、同社では、「AOD規格に対応したドライブを来年中に発売する予定」とし、「民生用レコーダとPC用の2種類の製品展開を考えている。もちろん、DVDの読み出しは最低限サポートする」という。
また、民生用のレコーダでは、現在大ヒット中の「RD-Styleシリーズ」同様に、「HDDを搭載した製品を考えている」とし、「HDDに記録した映像を場合によっては、再エンコードしてメディアに記録するというのもありかな」と話していた。
[北川達也, ITmedia]
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