キャプテン、癒し系ラジコン飛行船「SKYSHIP」の未来を語る(1/3 ページ)
タカラの「SKYSHIP」といえば、実際の飛行船と同じ仕組みで空を飛ぶラジコン飛行船だ。内部にヘリウムガスを満たした90センチの機体は部屋の中をぷかぷかと浮かび、コントローラを操作すると、ゆっくりではあるが上下左右へ自在に動く。墜落する危険はほとんどない。そんなスローなテンポが受け、ラジコン界の“癒し系”として、すっかりお馴染みになっている。
そしてタカラは、SKYSHIPの新しい製品バリエーションとして、CMOSカメラを搭載し、飛行船から見た風景を地上で見ることのできる「BIRDS EYE VIEW SKYSHIP」(バーズアイビュー・スカイシップ)の発売を計画している。青空に浮かぶ気球や飛行機を見上げながら、「あそこから、どんな風景が見えているんだろう?」と考えたことはないだろうか。その風景を実際に見せてくれるラジコンが間もなく登場する。
同社にお邪魔して、SKYSHIPの発売に至る経緯と、今後の商品展開について話を聞いた。応じてくれたのは、「SKYSHIP」の仕掛け人であり、飛行船をこよなく愛すタカラの天野幹俊氏(キャプテン)。さらに天野氏は、社内コンペに出品した、“夢”まで語ってくれた。
キドカラー号参上
「6歳の頃でしょうか。ある日、登校するために家を出ると、聞き慣れない“ブーン”という音が聞こえてきたんです。そして、家の軒先から巨大な銀色の物体が現れた」。
それが、有名な「キドカラー号」だった。キドカラー号は、日立製作所がカラーテレビ「キドカラー」を宣伝するために運行していた飛行船で、昭和43年9月から約半年をかけ、日本中の空を飛び回っていたのだ。
「その時のインパクトが大きかったんでしょうね。13年ほど前、数年先の玩具を開発するために技術研究所に配属されたのですが、飛行船のラジコンをじっくり開発しようと思いました」。
飛行船の魅力にはまり、大学では流体力学を学んだという天野氏。技術研究所では、SKYSHIPの原型となる試作機を製作し、もちろん飛行にも成功した。しかし残念ながら、当時はいくつかの問題から商品化には至らなかったという。
「当時は、ラジコンのメカニズムやモーターが現在のように小さくなかったうえ、エンベロープ(飛行船の気球部分。ヘリウムガスを入れるところ)に使うフィルム素材も厚かったんです。飛行船自体が現在のSKYSHIPより2周りほど大きく、コストを計算したら3万円くらいになってしまうことが分かりました。もう1つの問題は、ヘリウムガスの調達が困難だったことです」。
当時は現在と違い、“大人向け”の玩具に3万円も出す人はいなかった。また、ヘリウムガスは業務用の大きなボンベしか流通しておらず、玩具のために小さなボンベを開発できるような状況でもない。天野氏は、その後もことあるごとにラジコン飛行船の企画書を書いて提出していたが、次のチャンスが訪れるまでには10年もの歳月が必要だったという。
「2001年の終わり頃でしょうか。チョロQのラジコン版“デジQ”の記者発表会が行われたのですが、そのとき製品ロードマップを提示することになりました。企画書を出せといわれ、やはり飛行船を混ぜておいたら(当時の)社長の目にとまったんです」。
問題は時間が解決していた。エンベロープに使うフィルムは21ミクロンまで薄くなり、小型で高性能なモーターが安く手に入るようになっていた。ヘリウムガスも米国からアルミ缶の小型ボンベで輸入できる。「ただ、ボンベは市価で7000円と少し高価でした」。
タカラが目指していたのは、ガス込みで1万円を切ること。いくら昔に比べたら安くなったとはいえ、7000円のガスボンベを付けて目標の価格に設定できるわけはない。「そこで考えました。ボンベが高価になるのは、ガスを圧縮してコンパクトにしているから。つまり、圧縮しなければ安くできるはずだ、と」。
SKYSHIP用のヘリウムガスパックを初めて見た人は必ず驚く。一抱えもある段ボール箱にアルミ箔の袋を貼り付け、圧縮していないヘリウムガスをそのまま入れているからだ。しかし、サイズは大きくても、コストダウンの効果は絶大。この逆転の発想により、SKYSHIPはヘリウムガス込みで9980円という値段を実現した。
「SKYSHIPは、形だけの玩具ではありません。“遊び”込みの玩具ですから、値段もガス込みで考えなければいけません」。
こうして発売にこぎ着けたSKYSHIPは大きな話題となり、先行発売が行われた2001年4月14日には、銀座博品館の前に150人もの人が列を作ったという。ちなみに天野氏は“キャプテン”の出で立ちで店頭に登場し、「それが功を奏したのか、通りすがりの方にもずいぶんと買ってもらえました」。
そして発売から約2年半。SKYSHIPは約6万個(機?)を販売したヒット商品になっている。
ツェッペリンNT号&BIRDS EYE VIEW登場
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