MS「条項は消費者利益にかなう」 公取と全面対決
Windowsの使用許諾契約をめぐり、米Microsoftが独占禁止法違反に問われた問題で、公正取引委員会は10月25日、Microsoftに対する第1回審判を開いた。Microsoft側は「競争の阻害はしていない。全面的に争う」と対決姿勢を表明した。
審判は、Windowsの使用許諾契約に含まれていた条項が独占禁止法違反(不公正な取引方法)に当たるとして、公取委が7月に出した排除勧告を同社が拒否したため開かれた。審判官が同社の主張を聞き、排除命令を出すかどうかを決めるもので、裁判の一審に当たる。
公取委によると、同社はPCメーカーとWindowsの使用許諾契約(OEM契約)を結ぶ際、Windowsに使われている技術がPCメーカーの特許権を侵害する恐れがあっても、PCメーカーは訴訟などを起こさないと誓約する「特許非係争条項」を盛り込み不当に拘束、公正な競争を阻害した。
同社は審判で、同条項はむしろ競争を促進していると主張。「特許に触れる技術をWindowsに搭載している可能性がある場合、OEM契約締結前に申し出てもらい、交渉で解決しようというのが条項の目的だ。お互いに訴訟リスクを回避することで、PCの機能開発の安定性を保ち、技術革新を促進できる」とした。
さらに同条項には、「不当な提訴」を回避するという正当な目的があると説明した。「新しいWindowsの発売後に特許権の侵害を主張され、訴訟により販売を差し止められるという危険性を回避するためだ」(同社)。
また同社は、同条項が消費者利益にもかなっていると主張する。PCメーカーと同社間で訴訟が起きると、PCが出荷停止に追い込まれる恐れがあるなど、消費者にもデメリットがあるというのがその理由だ。
さらに「非係争条項は米国では認められている。国によって適法・違法が分かれると、国際的なメーカーにとって大きな足かせになることを理解して欲しい」と訴えた。
ソニー「バイオの機能が盗まれる」と危惧
一方公取委は、同条項が特にPCメーカーのAV機能開発意欲を削ぎ、競争を不当に制限したと主張した。
公取委によると、AV機能に関連する特許を多数持つソニー、松下電器産業、三菱電機の3社が、同条項削除を求めて2000年からMSと交渉してきたが、MSは応じなかったという。
ソニーは公取委に対し「『バイオ』のAV機能がWindowsに搭載されると、バイオの独自性が出せなくなってしまう。このまま同条項の効力が続くと、AV機能を搭載したPCやデジタル家電製品の開発をやめることになりかねない」と訴えたという。
松下や三菱も、自社が持つMPEG関連特許などがWindowsに搭載されてしまった場合、同機能をライセンス購入したいメーカーは、両社ではなくMSと契約すればいいことになるため、「特許をタダ乗りされる」と危惧したという。
さらに公取委は、MSがWindowsのサンプルコードのリバースエンジニアリング、逆コンパイル、逆アセンブルを禁止しているため、メーカーによる特許侵害の検証が困難で、メーカーは泣き寝入りを余儀なくされていると指摘した。
MSはこれに対し「同条項の対象になるのは、過去に特許をとった技術のみ。将来の技術開発意欲は損なわれないはずだ」と反論した。
またMSは利用契約時、同条項を含む直接契約に加え、同条項を含まない「システムビルダー契約」も提供してきた。OEMメーカーは両方を自由に選べるため、同条項を強制してきたわけではないと主張した。
しかし公取委によると、システムビルダー契約は直接契約よりもライセンス料が高い上、直接契約の場合には付属するリカバリーディスクが付属しない、といったデメリットがある。このため、ほとんどのPCメーカーが直接契約を余儀なくされていたという。
MSは「事実関係があやふやなため、このままでは答弁できない」とし、同条項が具体的にどのメーカーのどういった開発意欲をそぎ、どう競争を阻害するのか、釈明を求めた。
次回審判は12月20日。
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