被災者を支える、地元ケーブルテレビの死闘 (後編)(1/4 ページ)
筆者が長岡市のケーブルテレビ局、エヌ・シィ・ティ(以下NCT)に滞在した11月6~7日の間にも、余震は続いている。体に感じる微震は数知れず、震度3クラスの余震も、筆者が滞在中に3度あった。ガクガクと首を振る液晶モニタを片手で押さえながら、編集を続ける。
震災直後のJR長岡駅のロータリー付近を捉えた映像には、公衆電話に長蛇の列を成す人々の姿が映っている。携帯電話が不通になっているのだ。ロータリーの縁石に座り込んで一心にメールを打つ人の姿も写っている。後で知ったことだが、NTTドコモだけはメールが使えたようである。
筆者も幼稚園ぐらいのころに、かなり大きな地震を経験している。そのときに一番恐ろしかったのは、普段は正確に時を告げるゼンマイ式の柱時計が、どこか歯車でも外れたのか、狂ったような勢いで回転し始めたことだ。普段ちゃんと動いているものが、突然動かなくなったり異常な動作をしたときに、人間は言いようもない不安を感じるのかもしれない。
クラブの帰りだろうか、ジャージ姿の高校生が数十人も、タクシープール内に集まってしゃがみ込んでいる。普段はこんなに徒党を組んで一緒に行動することはないだろうが、やはり心細いのだろう。それぞれ同じ学校の制服同士で固まっている。
NCTがあるあたりの住所は「学校町」と言う。元々大学の学部があった関係で、今でも学校が多い地域だ。
復興に休みはない
阪神淡路大震災に比べて今回の新潟中越地震は、夕飯時であった割には、火災が少なかった。これは電力会社がすぐに送電を停止し、ガス会社が元栓を閉めたからだと言われている。都市ガスというのはいったん止めてしまうと、それを復旧するのに、ヘタすれば1世帯あたり100万円クラスのものすごいコストがかかるのだそうである。それはそうだろう、多少なら漏れてもいいようなものでもないし、安定したガス濃度にするためには、管の中に入り込んだ空気を全部抜かなければならないのである。
火災が起きるのは、震災直後よりも送電が再開されたときに起こりやすい。送電が開始されることで、壊れてショートした部分から出火するのである。家から出て避難した人の多くは、揺れの合間を見計らって家に戻り、ブレーカーを下げた。市の広報カーの呼びかけに応じたものだ。これも阪神淡路大震災の教訓だろう。
だがNCTの取材テープには、ガス爆発と思われるアパートの火災現場が写っていた。爆発したのは7時半頃だというから、地震があって約1時間半後のことである。
編集作業のほうも夕方になって、本日(11月6日)行なわれた天皇皇后両陛下の避難所お見舞いの素材が入ってきた。それを編集して1分半ほどのニュースに仕上げ、7時前には1回目の放送を出すことができた。
NHKでは同じニュースを10分ほど前に出しているが、向こうは独自取材で素材電送、こちらは民放共同取材のテープをどこかの局でダビングして貰って、車で持って帰るのである。速報性では組織力に敵わないが、お見舞いのシーンだけで1分半という、地元らしい丁寧なニュースに仕上がったのではないかと自負している。筆者なりに、お見舞いの気持ちを込めたつもりだ。
放送制作部の伊能(いよく) 部長の心遣いで、夕食にそばと天ぷらをご馳走になる。繁華街も人が少なく、被害はさほど受けなくても、今後の見通しを悲観して再興を断念した店も多いという。
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