日本にサマータイムは有効か(3/3 ページ)
かつて日本がサマータイムを導入したのは半世紀以上前だ。一方、韓国でも1988年のソウルオリンピックの年に、一時的にサマータイムを実施したことがあるが、今の韓国ならともかく、急成長国家の20数年前、しかもオリンピックという特殊事情が絡むと、これもあまり参考にならない。
最近の実験では、北海道が昨年札幌商工会議所の主催でサマータイムを実施した。今年も行なうそうである。
国内ではもっとも規模の大きい実験だと言えるだろうが、残念ながらこの実験では、交通機関のダイヤや信号プログラム、放送などのシステムまでずらしたわけではない。この実験はどちらかといえば「大人数で早寝早起きをやってみた」というものであり、この結果を本来のサマータイムの結果として合わせ込むのは無理がある。
全国規模で本格的なサマータイム実施にかかる費用を考えると、経済的な効果はかなり相殺されるか、ヘタをすれば実施初年度は大幅な「サマータイム赤字」を産む可能性は非常に高い。
サマータイムの効果に関しては、経済的、身体的な効果に関して議論は進んでいる。しかしいつもこの手の議論ではそうなのだが、どうも精神の健康面、「メンタルヘルス」の議論が抜けているように思えてならない。
米国でサマータイムを体験すると、筆者は日が傾いた黄金色に染まる街並みを歩きながら、いつも父のことや、赤坂溜池の夕日のことを思い出す。自分の長い影法師を踏みながら、家路につくのはなかなか気分がいいものである。そうした中で誰かのことを考えたり、また自分の人生を考えたりすることで、自分自身を見つめ直すきっかけができれば、「早く家に帰る」効果はあったと言うべきだろう。
国の制度としてサマータイムを導入すべきかという点に関しては、現時点では降って湧いたような話で、障害が多いと言わざるを得ない。しかしこれをきっかけにして、それぞれの業態や会社単位で就業時間を前にずらすなどの試みがあってもいいのではないかと思う。
それはたとえば「夕焼けを見ながら家に帰ろうプロジェクト」でもいいじゃないか。しゃっちこばらず、サマータイムのオイシイところだけをもらっちゃえばいいのである。こんな夕焼けを見ながら家に帰れるのであれば、幸せだろう(mpgファイル、約11.1Mバイト)。
そしていきなり制度化の前に、そういう粋な計らいが認められるような社会基盤作りが、先にあるべきだ。まずはみんなして、気持ちのいい夕暮れを体験してみるというのは、悪くない考えだろう。
それがきっかけで会社を辞める者が出てきても、それはそれでしょうがないことではないか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR