Intelのロードマップから見た“Mactel”の未来
Appleは、状況をしっかり見ずにIntelプロセッサの採用を決めたわけではない。その移行の理由――スティーブ・ジョブズ氏の言うようにIntelプロセッサのワット当たりのパフォーマンスが高いからか、それともネットに出回っているもっと複雑な説明の中に真実があるのか――はさておき、AppleはIntelに、同社のCPUが未来の道だと説得されなければ、この決断を下すことはなかっただろう。
AppleとIntelの秘密会談の内容については部外者は誰も知らない。だが、Intelが前回の開発者会議で示した将来計画は、“Mactel”構想が現実のものとなる上で、大きな役割を果たしたに違いない。
マクロの観点では、Intelが掲げているCPUロードマップのほとんどは、「より多く、より小さく」の一言に要約できる。注釈を加えると「より多く」はマルチコア化を指す――ちょうど、デュアルプロセッサのPower Mac G5に搭載された2個のPowerPCプロセッサを、1つのシリコンチップにまとめたような状態のことだ。Intelは、来年には、デスクトップ用とモバイル用のPentium系プロセッサの70%をマルチコア製品として出荷することになるだろうとしている。
「より小さく」とは、Intelが現行の回路線幅90ナノメートルから、65ナノメートルへと移行することを指している。線幅が細ければ細いほど、1枚のシリコンウエハーから切り出せるチップの数が増え、競争の激しい環境であればこれがチップの低価格化を促す可能性があり、また、プロセッサの高速化も期待できる。
分かりにくいロードマップ
ミクロのレベルでは、Intelのロードマップは急速に分かりにくくなっている。Intelプロセッサのモデルの数は、米国の議員が連邦議会に出す地方開発助成案の数をも上回るほど。新型コアの開発コードネームには都市名が使われるが、製品として売り出す際にはモデルナンバーに変わり、それはデュアルコアか否か、64ビット拡張命令のEM-64T対応か、ハイパースレッディング機能を備えているかといった点はもちろん、アーキテクチャ、スピード、キャッシュサイズ、対応するマザーボードのソケットタイプなど、ありとあらゆるものと関連付いている。こうした状態には、Intelの社員でさえ混乱しているに違いない。
Intelは、実に多種多様なプロセッサを提供しているが、現在のデスクトップ用の最先端64ビット製品を列記すると――デュアルコアのPentium Extreme Edition 840、デュアルコアのPentium D 840、830、820、シングルコアのPentium 4のうち2Mバイトキャッシュの600番台と1Mバイトキャッシュの500番台(多すぎて全モデル挙げられない)、そしてCeleron Dの300番台(これも同様)となる。これらはクロック周波数が2.5G~3.8GHz、線幅は90ナノメートルだが、デュアルコアのPentium、およびコードネームでCedar Millと呼ばれるPentium 4ベースのシングルコアプロセッサは、2006年前半には65ナノメートルプロセスへと移行するはずだ(5月2日の記事参照)。
Intelの主力モバイルプロセッサであるPentium Mは、2006年中にコードネームでYonahと呼ばれる65ナノメートルのデュアルコアプロセッサにハイエンドの座を譲ることになる。Pentium MもYonahも32ビットなので、少なくとももう1世代は先へ進まないと、64ビット“Mactel”ノートは拝めないかもしれない。
Intelは、自社のプロセッサに対応したチップセットの主要な設計・供給元だ。チップセットは、CPUとのやりとり、メモリ、周辺機器などを制御する補助チップ群。最新のPentium用チップセットには915、925、945、955などがあり、PCI Express、DDR2、最大4Gバイトのメインメモリ、500MHz~1.066GHzのフロントサイドバスをサポートしている。多数のチップセットのうち幾つかは旧来のDDRにも対応しているが、Intelは他社よりずいぶん早くDDR2への移行に踏み切ったため(一部には早過ぎたとの声もある)後戻りはしないだろう。これら900番台のチップセットは、Intelの当面の推奨チップセットとなりそうだが、Yonahプロセッサの市場投入に合わせて、コードネームでCalistogaと呼ばれる新モバイルチップセットの準備も進められている(3月3日の記事参照)。
AMDが起こした訴訟の影響は
Intelが自社のCPUとチップセットについて公開済みの情報は2006年までのもので、その先はまだない。とはいえEM-64T、マルチコア、PCI Express、DDR2などは登場してまだ間もないため、少なくとも向こう1~2年は驚くような発表はないだろう――もちろん、ライバルAMDに絡んだ話は別だが。
AMDは、Intelによる独禁法違反行為によって市場シェアの大幅拡大を阻まれ、Dellなどの大手ベンダーへの製品販売機会を絶たれたとしてIntelを提訴している。どちらの側が正しいか、またどちらが勝訴するかは、技術的観点ではAppleの未来にほとんど影響しない――AMDのCPUはx86/Intel完全互換なのだ。しかし、長期的には、第2の競合サプライヤーの存在が“Mactel”の低価格化を促すことになるかもしれない。
(By Jon L. Jacobi, Macworld.com)
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