小寺信良
急速に拡大するVOD事業の夢と現実(前編)(4/4 ページ)
VODが普及するための条件
VODが広く普及するためには、3つの条件のバランスをとる必要があると考えられる。その第1が、最初に述べたコンテンツである。超メジャーなコンテンツをいち早く、とまでは言わないが、インディーズのような映像ばかり揃えられても困る。有料配信であるが故に、お金を払っても見たいと思わせるコンテンツの質と量が重要だ。その点において、テレビ局のVOD進出は好材料となるだろう。
第2に、適切な料金体系であることだ。それは1本単価の問題もあるが、視聴期間が限定されるといったなんらかの制限があると、料金に見合ったサービスとは言い難い。つまり期間があるぐらいならば、レンタルビデオ屋で十分ことは足りるし、もっと言えば頻繁に再放送されるスカパー! でもいいわけである。VODの特徴である「いつでも」を捨ててしまえば、「放送のようなもの」になってしまう。
第3に、導入がわかりやすいことだ。例えばCATVやWOWOWなどは、街の電器屋に頼んでおけば、ある日おじさんがやってきておりゃおりゃと工事してくれて、書類にハンコをペンペンと押せば見られるようになる。届くのが電波か電線かの違いで、あとはテレビに向かってリモコン操作するだけである。
VODの対象となる顧客は、必ずしもIT戦士である必要はない。ネット回線など一度も引いたことがないおっちゃんが阪神戦を見るために契約するとして、果たして自力ですべての申し込みが可能だろうか。VODサービスはIPベースのソリューションではあるが、まずPCの接続が前提という考えを捨てることから始めなければならない。
次回は実際にVODサービスの契約と設置、視聴に至るまでのプロセスを体験して、VODの現実と未来を考えてみたい。
小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
3
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
幻の「ちいかわ」コラボ第3弾皿、捨てちゃうの? くら寿司に聞いてみた
-
8
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
9
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
10
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR