麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」
CESで分かったデジタルの新しいトレンド(3/5 ページ)
――今回の松下はわずか1インチ大きな103インチでした。LG電子もサムスンと同じ102インチを披露しました。なぜ“100+数インチ”の攻防になるのでしょうか?
麻倉氏: これらの“世界最大”は、50インチPDPを4面取りするマザーガラスを使って作られているからです。プラス数インチは、マザーガラスのミミ(マージン)の部分まで使い切ることで実現しているのです。松下の場合も、尼崎工場での4面取り用マザーガラスを使っているのですが、センターのミミのところを若干多めにとってギリギリまで使って作りました。松下がイチバン心配だったのは、開幕前日に発表して苦渋をなめた一昨年前のLG電子のように、開幕日のサムスンブースに103インチを超えるプラズマが展示されてはいないかということでした。しかし、サムスンブースには昨年と同じ102インチが展示されいるだけでした。たった1インチとはいえ、松下の“世界最大”は画期的なことといえるでしょう。
――好調な松下を象徴している出来事でしたね。
麻倉氏: ええ。松下のすごいところは、大きいだけでなく画質が優れている点です。松下は2005年に米国でプラズマテレビのシェアを50%にまで広げているのですが、これはサプライチェーン改善や店員教育の徹底などのほかに、2005年のビエラが非常に画質がよかったというのがシェア拡大に大きく貢献しています。今回の103インチには2006年モデルの最新パネルが採用されているのですが、これがまた非常にキレイになっているのです。単に大きいものを作るのだけでしたら、突貫精神で「えいやっ」で作れるかもしれませんが、画質がともなったものを作るというのは、なかなか難しいのです。今回のCESでは、“画質”という日本のコアコンピタンスをあらためて再認識しました。どこのとは言いませんが、ライバルの100インチを超えたプラズマ・テレビの画質は驚くほどのものでしたからね。この103インチは販売も視野に入れており、売り出すとしたら10万ドル、5万ドル、2つの選択肢がある……といったウワサも出ています。
――CESでの大画面そのほかの動きは?
麻倉氏: “ビヨンド・ザ・フルHD”ということで、1080PのフルHDは今や当たり前の時代となったことが今回のCESを通して実感しました。もはや単に高精細さを争う段階ではなく、その一歩先となる色再現の争いがCESでは繰り広げられました。そのひとつが、LEDによって色域を広げるという技術を盛り込んだディスプレイを各社が出してきたことです。サムスンとソニーは両社による液晶生産拠点S-LCDで作った82インチの世界最大液晶テレビにLEDバックライトを組み合わせて展示していましたが、特にソニーのは世界で初めて動画色空間規格の「xvYCC」にも対応しており、撮影した映像の色をそのまま再現できるというスグレモノです。このような技術的なもののほか、SEDが米国で初めてショーデビューしたということもトピックスですね。SEDがまず米国で狙うのはプロフェッショナル向け市場。SEDならではのホンモノの色再現性を訴えて、支持を獲得しようとしています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR