「燃えないノート」――電子機器標準化団体、バッテリーに関する規格策定へ(2/3 ページ)
委員会は、バッテリーセルの設計とともに、セパレーター、電解液の構成、陰極板と陽極板に使われるコーティング構造など、セルの内部部品に使われる素材の純度に注意を払っていく。
このほか、セル内汚染物質の測定方法と、汚染物質の量の変化がセルに及ぼす影響にも取り組んでいく、とグロッソ氏は説明した。
DellとAppleによるソニー製バッテリーセルのリコール事故の原因は、同バッテリー内に混入した汚染物質だった、とソニーは認めている。
リチウムイオンセルの外観は、スープやニューイングランド式ブラウンブレッドの缶詰に似ているが、内部はロールケーキのようになっている。
コーティングされた2枚の金属の薄片が絶縁層によって隔離され、コイルに巻き込まれている。このコイルが電解液の入った金属製容器に納められ、封入されている。
「外部が極めて高温だったり、過剰な量の電流が流れたり、過充電が生じたり、コイルの層の間でショートが発生した場合、セルが壊れる可能性がある」(グロッソ氏)
「今回のリコールにつながったのは、このショートによる事故だった。非常にまれなことだが、製造過程で混入した金属粒子がセル内でショートを起こし、発火を引き起こすことがある」と、Dellのエンジニアリング担当副社長、フォレスト・ノロッド氏は、8月22日付のDellのDirect2Dellブログで記している。
Dellの「最近起きている事故のそもそもの原因は、適切な量の――あるいは適切でなかったかもしれないが――金属粒子が、セル内の誤った位置に入り込んだことにある」と同氏はブログで記している。
「まれに、こうした汚染物質はショートを引き起こして大量の熱を発し、セル素材を壊すことがある。これによりさらなる熱と酸素が発生する。セル内にある可燃物質に、酸素と熱が加わる――すべて発火を引き起こす要因だ。このプロセス全体が急速に起こるため、バッテリーパックの安全装置でこれを防止することができなくなる。安全へのカギは、クリーンな製造プロセスと重要な部分への粒子の混入を防ぐセル設計だ」(同氏)
したがって、委員会は、問題点を故意に加速・悪化させることでこうした事象の発見方法を探るなど、テストにも焦点を当て、事故防止への努力を進めていく考えだとグロッソ氏は述べた。
Cisco、Lucent、IBM、Motorolaなどもメンバーとして参加する重要部品委員会は、常にバッテリーにだけ注目してきたわけではない。同委員会が今年4月に策定した最初の標準規格「IPC 9591」は、電子機器で使われるファンを規定するためのものだ。
今年2月に開かれた同委員会での議題は、電源と部品設計、そしてバッテリーも同委員会が手掛ける分野だ。重要部品委員会は2年前に設立。母体のIPCは、製造規格を通じて電子業界間の橋渡し役をうたう業界団体として1957年に設立された。
「バッテリーは3番目の議題だった。『バッテリーは重要だ。議題に入れよう』ということになったが、これに対処する新しいチームを結成することはなかった」とグロッソ氏。
「バッテリーに検討すべき課題があることを、皆認識していたのだと思う。しかし当時は、不安レベルをあるべきところまで引き上げることができなかった。そして2カ月前、わたしは中心的な役割を果たしているチームのパートナーに対して『この問題を進めるべきだ。合同ミーティングをいつ開こうか』と呼び掛けた」(同氏)
グロッソ氏は、プロセッサやチップセットなど広範な部品調達を管理しているDellの調達部門に籍を置いており、同社のモビリティ製品部門とは別であるため、Dellによるバッテリーパックのリコール計画については一切知らなかったとしている。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
8
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
9
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
10
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR