「YouTube人気動画リンク集」は合法か(2/2 ページ)
合法に「リンク集」を運営するには
どうしてもYouTubeの人気動画リンク集を運営したい場合は、著作権侵害映像が入り込まないよう配慮する必要があるだろう。小倉弁護士は「ロボットで拾ってきてしまうのは仕方がないが、著作権侵害っぽいコンテンツにリンクを張ってしまっているのをスタッフが見かけたら、リンクを削除するようにスタッフに徹底しておいた方がよいと思う」とアドバイスする。
著作権侵害コンテンツのリンクを紹介するサービスを運営している事業者側が負う法的リスクとしては、(1)著作権法違反のほう助犯として刑事罰(懲役および罰金)に科せられる場合がある、(2)不法行為(著作権侵害)のほう助者として共同不法行為責任(連帯責任)を負わされるおそれがある――が考えられる。
「違法」と斬り捨てるだけでいいのか?
今の日本の著作権法を適用すれば、YouTube上の人気コンテンツの多くは違法で、それに対するリンクも違法となる可能性が高い。白田助教授は「法律家としては『アップロードされているコンテンツが著作権者の許可あるものかどうか判断できないならば、YouTubeを利用するべきではない。 YouTube上のコンテンツの存在は、ごく親しい友人以外には知らせるべきでない』と言うほかない」と語る。
その一方で「法律の解釈から導かれるこの結論は、GoogleやYouTubeの時代にふさわしいものではないと考える。新しい流通手段の可能性を封じることばかりに躍起になっていては、日本のコンテンツ産業がアメリカの先進サービスに支配されるような構造に陥ると危ぐする」(白田助教授)とも指摘する。
YouTubeにテレビ映像が載り、多くの人に見られるということが、これまでありえなかった新しい可能性を拓いていることは確かだ。忙しくてテレビをリアルタイムで見られない人もYouTubeなら見られるし(関連記事参照)、ネットは放送波の届く範囲を超え、海外からでも見てもらえる(関連記事参照)。
日本好きな外国人が日本のテレビ番組を見てさらに日本を好きになる、ということも実際にあり(関連記事参照)、例えばレイザーラモンHGは、YouTubeの映像が米国で人気となり、米国人のファンが増えているという。
「技術革新などで社会が新しい段階に移行する時、現実と法律の整合性が破たんする状況がしばしば見られる。しかし、その破たんがなければ、現実に調和した法律を作り出すことはできない」――白田助教授はこう指摘する。
家庭用ビデオデッキがその例だ。米国の映画業界は、ソニーがビデオデッキを市場投入した際、「テレビ放送された映画を、視聴者がビデオで勝手にコピーすれば、映画産業が損失を受ける」として長期の訴訟で攻撃した。
だが、映画業界はその後、ビデオのレンタルビジネスによって広大な“家庭内市場”を獲得。テレビとの競争で衰退しつつあった映画ビジネスをビデオが救った――という見方もできる。
「YouTubeが家庭用ビデオデッキと同じポジションにいるならば、法律や政府がよってたかってつぶしにかかるというのが、長期的に見てどうなのかな、と思う部分もある」(白田助教授)
小倉弁護士は、日本のテレビ局の対応について悲観的だ。「録画ネット裁判やまねきTV裁判から明らかなように、日本のテレビ局は、放送波が届く範囲を超えて番組が見られるということをとても嫌がる。『選撮見録事件』(※)で民放各社は、番組をタイムシフト視聴されることすら許せないとしている」
「テレビ局は、番組がいつどこで見られるのかをコントロールしたがっている。YouTubeに番組がアップロードされることが、客観的に見てテレビ局の利益になるとしても、悲しいかな、日本のテレビ局は聞く耳を持たないだろう」(小倉弁護士)
(※)選撮見録裁判
テレビ番組を1週間分録画し、好きな時間に視聴できる集合住宅向け録画サーバ「選撮見録」(よりどりみどり)が、テレビ局の著作権などを侵害しているとして、民法テレビ局5社が、販売元のクロムサイズに対して販売差し止め・廃棄などを求めた裁判。
大阪地裁は「著作物の複製をほう助していると類推される」として販売差し止め請求は認めたが、廃棄請求は棄却した。
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