MSのポストWindows「Midori」の構想が明らかに

 事情筋によると、米MicrosoftはWindowsに続くOSの開発を進めており、このOSは「Midori」のコードネームで呼ばれている。このOSは開発者にどんなメリットをもたらすのか。

 SD Timesのデビッド・ワージントン氏は、Microsoftが取り組んでいるこのポストWindowsの全体像に関する詳しい情報を入手した。

 この開発プロジェクトは非常に重要なため、Microsoftはエリック・ラダー氏にその指揮を託した。同氏はサーバ・ツール事業の元責任者で、ビル・ゲイツ会長の薫陶を直接受けたグループの実力者の1人だ。

 何人かの事情筋がMidoriの情報をこつこつと集め、それらをつなぎ合わせてMidoriの全体的な戦略の核心に迫ろうとしてきた。だが、ここにきてワージントン氏が一気に脚光を浴びることになった。垂ぜんの的となっていた「ブツ」、つまりMicrosoftが厳重に管理している社内ドキュメントを手に入れたからだ。

 ワージントン氏はこう説明している。「Midoriは、Microsoft ResearchのOS『Singularity』から派生したもので、そのツールとライブラリは完全なマネージドコードだ。Midoriは、ネイティブハードウェア(x86、x64、ARM)上で直接動作するとともに、『Windows Hyper-V』ハイパーバイザー上、さらには1つのWindowsプロセス上でも動くように設計されている」

 さらに、ワージントン氏はこう述べている。

 「Microsoftの目標の1つは、Midoriアプリケーションを既存のWindowsアプリケーションと共存させ、相互運用するための選択肢や、新しいMidori環境への移行パスを提供することだ」

 また、Midoriではコンカレンシーに重点が置かれる。コンカレンシーは、マルチコアプロセッサが主流になる中で開発者が直面している主要な問題の1つだ。「ドキュメントによると、Midoriは、タスクコンカレンシーに加えてローカルおよび分散リソースの並列利用に対応する、純粋に非同期型のアーキテクチャで開発される。また、Midoriでは、分散型でコンポーネントベースのデータドリブンアプリケーションモデルが用意され、電力やそのほかのリソースの動的管理がサポートされる」とワージントン氏は記事で述べている。

 Midoriは、Microsoftが「Windows後」の世界に提供するフレッシュで魅力的な技術だ。だがわたしは、Midoriが開発者にどんな影響を与えるかに一番関心がある。Microsoftのドキュメントに目を通したワージントン氏が述べている内容から見て、Midoriは開発者にとって非常に面白みのあるOSだ。

 「Midoriのプログラミングモデルは、ステート管理に対応する見込みだ。Microsoftはドキュメントで、ステート管理はWindowsで課題となっていると認めているが、このプログラミングモデルでは、API、アプリケーション、開発者が制約モデルに移行することで、この課題がクリアされる」とワージントン氏は述べている。

 さらに、「Midoriのプログラミングモデルは、サービス指向アーキテクチャに特に有効だろう。このモデルでは、アプリケーションをサービスに分解し、異なる階層に分散して運用できるからだ」とワージントン氏は記している。

 また、ワージントン氏はこう指摘している。「Midoriのプログラミングモデルは、Microsoftのコンポジットアプリケーションプロジェクト『Oslo』と関連している可能性があり、メタデータに依存するだろう。OSによるアプリケーション管理の信頼性を高めるためだ」

 Microsoftはほかにも面白い仕掛けを用意している。MidoriはMicrosoftのクラウドコンピューティング戦略にとっても重要だ。

 「Midoriのドキュメントは、このOSが、ノンブロッキング型オブジェクト指向フレームワークAPIを備えるものとして構想されていることを示している」とワージントン氏。「『いったん作成されたオブジェクトには変更を加えることができない』という不変性の概念が体現されようとしている。.NETプログラミング言語の採用で得られる高い検証性を生かして、アプリケーションの真正性確保を促進しようとする試みだ」

 ワージントン氏は、Microsoftのドキュメントは、同社がプレゼンテーションレイヤで「既存のWindows GUIモデルときっぱり決別しようとしている」ことを示していると述べている。「既存モデルでは、アプリケーションは自身の表示を、1度に1つのスレッドだけを基に更新しなければならない。そのために、OSの安定性に影響する問題や、マルチスレッドアプリケーションが作成しにくいという問題が生じている」

 以上は、MicrosoftがMidoriで計画していることのほんの一端にすぎない。同社はMidoriを、研究部門のインキュベーション(事業創出に向けた)プロジェクトと位置付けている。ワージントン氏は長文の記事でMidoriを詳しく取り上げている。

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この記事の著者

Darryl K. Taft
Darryl K. Taft

ソフトウェア開発分野を中心に、25年以上にわたってスクープを探し、取材・執筆している。『Government Computer News』(GCN)をはじめ、IT専門メディアを発行する複数の出版社に勤務経験がある。国際学会「Association for Computing Machinery」(ACM:計算機協会)のメンバー。

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