Googleの「Native Client」とは?――エンジニアに聞いてみた
調査会社Net Applicationsが先週記者団に、「Googleはカリフォルニア州マウンテンビューの本社から流している一部トラフィックの出どころを隠している」と語ったことを覚えているだろうか。
Googleがこれに反論する形で今週リリースした「Native Client」は、オープンソースのランタイムエンジン、ブラウザ用プラグイン、コンパイルツールをセットにし、コンピューティングデバイス上のWebアプリケーションパフォーマンス向上を目指す。Native ClientをGoogleのChromeブラウザおよびGearsと組み合わせれば、MicrosoftのWindowsキラーとなるWeb OSができるとの見方もある。
わたしはNative Clientに携わったGoogleのエンジニアリングディレクター、ライナス・アプソン氏と、Native Clientのエンジニアリングマネジャー、ブラッド・チェン氏、Native Clientのプロダクトマネジャー、ヘンリー・ブリッジ氏にインタビューした。
質疑応答の全文はこちら(英文)に掲載しているが、手っ取り早く読みたいという読者のために主要部分を抜き出した。興味がある方は是非全文を読んで欲しい。セキュリティについて多くが語られている。
アプソン氏は、Net ApplicationsがなぜGoogleの一部トラフィックの出どころを突き止められなかったのかまったく分からないと話した。GoogleがWeb OSを開発中なのかどうかについては明言を避けた。
アプソン われわれはうわさについてはコメントしない。突拍子もないことを聞かれた時と同じだ。
―― Chromeを発表する以前、Chromeの存在を否定していたのと同じですか。
アプソン(冗談めかして) Chromeのような、宇宙エレベーターや飛行船のようなものだ。それについては言えない。
わたしの深読みなのかもしれないが、相手が知らないことを自分が知っている時のあの調子、誰かに話したくてたまらないが話せないというあの雰囲気が、アプソン氏にはあった。
明らかに、GoogleはいわゆるWeb OSの複数のレイヤーを構築している。それが何で構成されるのかは不明だが、それによってWebアプリは(将来的により一層)Webアプリよりも高速かつ安定したものになる。
優れたWeb OSスタックを構成するためChrome、Android、Gears、Native Clientに加えるとしたら何かという質問をアプソン氏は受け流し、こう指摘した。「Microsoftの独禁法訴訟以来、OSとは何なのか、わたしには分からなくなった。非常に幅広い線引きがされ、基本的にわれわれがWindowsと呼んでいるものがそれだということになった。コンピュータ科学の基本的な教科書では、OSとは何かの定義はもっと狭いものだった。わたしにはどうやっても、筋の通る理屈でOSを定義することはできない」
以下アプソン氏の発言だ。
しかしChrome、Native Client、Gearsでわれわれが何をやろうとしているのかは話せる。われわれは、デスクトップアプリケーションと同じくらいリッチで反応が良く、パワフルなWebアプリを人々が構築できるようにしたいと心から思っている。Webとデスクトップの間の溝を埋めたいのだ。それをオープンソースとオープン標準でやることに非常に力を入れている。
アプソン氏がこれほど夢中になれる理由は何か。もしうまくやれば、現在画策しているよりも一層、検索でMicrosoftを追い込める現実味が高まるからだ。検索とWebアプリを頂くGoogle OSなら、進化を続けるハングリーなWebユーザーの世界を決定的に覆す存在になるかもしれない。
ではGoogleはどうやってこれを流通させるのか。アナリストのロブ・エンダール氏などは、Microsoftの弱点はNetbookにあると指摘する。
(Googleの)戦略の中核にあるのはMicrosoftの追い落としだ。第1段階は主に、Windowsの価値の多くを取り去ってそれをクラウドに置くことだった。第2段階としてAndroid、Android用アプリケーションストア、Gearsを使って追い落としに掛かり、第3段階で現在Googleが地ならしを行っているエンタープライズにそのすべてを持ち込む。Windowsに真正面から向かっていくというよりは、スマートフォン、そしていずれはNetbookという側面から攻める。Windows Mobile 7のリリースが遅れ、NetbookでWindowsが問題になる中、もしもGoogleがシュートできれば、これまでのMicrosoftのどのライバルよりもいいシュートを決められる。Microsoftのこれまでの繁栄は、シュートできなかったライバルたちのおかげなのだ。
あなたはどう思うだろうか。Googleは携帯電話に加えてNetbookでもMicrosoftに勝てるだろうか。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR