麻倉怜士のデジタル閻魔帳
ビデオカメラ最新製品、その傾向と課題(2/3 ページ)
――次はパナソニックです。HDDタイプの「HDC-HS350」、メモリタイプの「HDC-TM350」いずれにも、合計915万画素(305万画素×3)の新MOSセンサーを搭載した「3MOSシステム」を採用しています。
麻倉氏: 昨年までの同社製品はかなり首をかしげてしまう画質であったことは否めないのですが、3MOSシステムも「HDC-SD100/HDS100」「HDC-HS300/TS300」と世代を重ねて第3世代となり、かなり改善が進められてきました。
画質に関しては記憶色指向が強いですね。以前からその傾向は強かったのですが、問題の解像感が改善されたために、結果的にそれを強く感じてしまいます。「肌は血色のよい肌色に」「緑は萌えるような緑」と人為的な絵づくり感が強いです。確かに赤ちゃんの肌はそれなりにきれいに映りますが……。
フレームに空が入り込むとそちらへ引っぱられてしまうなど、ホワイトバランスはまだ不安定です。階調で特に気になるのは白トビで、人肌を写す際には気になることが多いですね。ここは各社が力を入れてくるところだけに、気を付けて欲しいです。室内撮影では、非常にノイズリダクションをかけており、確かにCMOSにしては見た目、ノイズは少なく見えますが、とてものっぺりとしています。ソニーの裏面COMSへの、絵づくりでの対抗でしょうが、やり過ぎですね。
ただ、トータルとしては改良が進み、精細感も上がり、フルHDらしさを感じさせる映像となっています。合計915万画素(305万画素×3)の力を感じさせる画質、といえるでしょう。色を印象的にするのはパナソニックの伝統的な絵づくりですが、フルHDらしい精細感を手に入れたのですから、今後はぜひナチュラルな映像を仕込んで欲しいと思います。手ブレ対策については、広角/望遠ともにがんばっていますね。
――次は春に「HDR-XR520V/500V」で業界を驚かせたソニーです。今秋には、記録メディアにメモリを採用した「HDR-CX520V/500V」を投入してきました。
麻倉氏: HDR-CX520V/500Vは春モデルであるHDR-XR520V/500Vに搭載された「裏面照射型CMOSセンサー“Exmor R”」と「光学式手ブレ補正のワイド端強化」という自社が作り出した構造をさらに進化させており、まさに「王道」といえる製品作りですね。基本構造は春モデルから変化してないので映像はほぼ同じなのですが、改めて見てみると、暗部だけではなく明部のノイズ量も少なく、明部の的確な階調表現に驚かされました。
ブレ対策としては新たに「アクティブ」モードが追加されました。これはユーザーからのリクエストによるものではなく、開発陣が自ら欲しいと考え、その結果、実装されたそうです。自分たちの製品開発が市場を引っぱるという「王者の製品開発」と呼べる流れですね。ソフト面でもフレームアウトした顔を記憶して再フレームインした際に高速で検知するなど、基本的な技術を開発してリソースをリッチにし、市場を自分のペースに巻き込むという、ソニーらしいサイクルの構築に成功しています。
映像は情報量が多く、クセの少ないとても素直な画質です。フラットと形容してもいいでしょう。レンズは「Gレンズ」なのですが、シビアに見ていくと不満を感じさせることもあるので、欲を言えばレンズ自体の性能がもう少しあればと感じることもあります。レンズは画質に直結する重要な要素ですので、根本的な映像向上のため、高性能化は検討して欲しい部分ですね。ブレ対策はさすがに広角は素晴らしいですが、望遠側はもう少し頑張れるのではないでしょうか。
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